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【Weekly不満】外出先で思い知るおむつ替えの難しさ ほか(~2022/5/8)

こんにちは。Insight Tech CEO 伊藤です。「声が届く世の中を創る」の実現に向けて不満買取センターを運営しています。

このnoteでの連載として「先週の生活者不満」をお届けしています。

この企画は毎週月曜~木曜日に放送されているJ-WAVE TOKYO MORINING RADIOの毎週木曜日のコーナー「データから導く<Better Life>」と連動しております。毎週ナビゲータの別所哲也さんに先週の生活者不満からみえる「Better Life」をお届け頂いています。是非ラジオもお聴きくださいね。

先週の生活者不満(~2022/5/8)

注目するのは「前の週と比較して増加が目立ったキーワード」。そのキーワードの出現件数を反映したワードクラウド(下図)をみると「先週はこんな不満が目立ったみたい」という理解ができます。

先週は3年ぶりに行動制限のないGWであったこともあり、「渋滞」がトレンドワードとして目立ちました。「久しぶりの遠出なのに渋滞でうんざり」という不満が多く寄せられています。

そのような中で今週は①「SDGs」、②「自動車税」、30代女性で増加した③「おむつ」に注目します。

どこもかしこもSDGsって言っているけど・・・

先週は「SDGs」についての不満が増加しました。GW期間中にSDGsに関わる様々な番組やコンテンツが放送・発信されたことが影響しているようです。

※Insight TechではSDGsに関して意識調査を実施しました。詳細は以下をご覧ください。

生活者の多くがSDGsについて多くの情報に触れていることもあり、SDGsに関連した取り組みに関して「本質的に意味があるのか?」を考えながらもやもやしているようです。具体的には・・・

SDGsの取り組み!にのって、紙のパッケージのお菓子が出てきているが、紙って地球に優しいの...?結局袋開けたら銀の袋だから、パッケージの種類って変わってないのでは?と思ってしまう。(20代・埼玉県)

といった不満。
環境負荷を下げるための各社の取り組みが本当に効果があるのかと疑問に思う意見です。ライフサイクルコスト全体で見た負荷の軽減を客観的に示すことでSDGsの取り組み効果がより高まることが期待されます。

また、SDGsにある「ジェンダー平等」に関して、女性からみた格差の是正が話題になることが多いですが、男性から見た偏りや不平等を不満に感じる声も集まっているようです。

SDGsで男女平等を謳っているのに、コラーゲンとか美容成分入りのドリンクを女性向けみたいに書いている。思いっきり男性差別してるのをやめてほしい。(30代・千葉県)

結構どこの店舗も男性トイレの中にオムツ替えの台が無い。昨今はSDGsやジェンダー等未来志向であるべきだと思う。父親だけの子守りで女性トイレにしかオムツ替えが無いのがとても不便です。改善お願いします。(40代・奈良県)

社会的な負荷軽減・格差是正に向けた企業等による対応を、「話題になっているトピックスへの対応」とするのではなく、より本質的な社会課題としてより広く・深い目線で考え、行動することが求められているようです。

何でもかんでも「SDGs」に絡める今の世の中に不満。大切な概念であることは確かなのだが、それ一辺倒になって字面に固執し、本質を見逃している気がする。(20代・宮城県)

まさにその通りですね。
SDGsに関連した取り組みが、結果として、新たな負荷・課題や不平等・格差を生み出してしまっては本末転倒です。

生活者はSDGsというキーワードに敏感に反応し、より本質的な目線で企業や社会の取り組みを評価しているようです。

短期的なブームに終わらせないためにも、企業や地域においては、より本質的な取り組みを「継続」することと、その効果を「客観的に説明」することが求められます。このことが、生活者の意識や行動を継続的に変容させることにつながると考えられます。


自動車税、長く大切に乗ると高くなる・・

「自動車税」についての不満も増加しました。自動車税の納付通知が送付されるタイミングであることが影響しているようです。

この「自動車税」不満においても「本質的なSDGs」に関わる声が寄せられました。「なぜ自分の自動車を長く大切に乗ると自動車税が高くなるのか?」という不満です。

自動車税が13年超乗ってたら軽自動車だと12,900円に上がるのが不満。長く大事に乗ってる方がエコロジカルだと思うのに。逆に下げて欲しい。(50代・滋賀県)

軽自動車の税金で、新車新規登録から13年を経過したら増税になるが、SDGsと言っているのに税金を上げるのはおかしい。(40代・大阪府)

自動車税の振込用紙が届きました。
しっかりメンテナンスして長年乗っている愛車の税金が登録から13年経過したという事で値上がり!この制度はどうなのかなぁといつも思います。車は非常に快調です。(50代・大阪府)

自動車税金の事ですが、古ければ古いほど金額を上げないで欲しいです。排気量もそれほど新車と変わらないのでは?と思うので、金額をずっと同じであって欲しいです。(30代・岩手県)

自動車税は車検証に記載されている新規登録の日から、13年以上経過すると高くなります。これは一般に環境負荷が高い古い自動車の乗り換えを促進する狙い等があるようです。

一方で、生活者からすると「一台を長く乗るほうが結果として環境負荷がすくないのでは」「新しい車を一台作る負荷のほうがおおきいのでは」等の潜在的な疑問があり、これが「なぜ愛着を持って大切に乗ることがいけないのか?」との不満につながっているようです。

先の「SDGs」に関する不満で見られた生活者心理と同様に、「なぜそのような取り組みが必要なのか、有効なのか」、について、より本質的・多面的に捉え、数値等で客観的に説明することが生活者の納得感を高め、結果として生活者の考え方や行動を変容させることにつながると考えられます。


外出先で思い知るおむつ替えの難しさ

先週は30代女性において「おむつ」の不満が増加しました。なぜこの時期に「おむつ」の不満が増えたのでしょうか。

この背景には「行動制限のないGWで外出・遠出する人が増えた」ことが影響しているようです。

早速紐解いていきましょう。
具体的には以下にような「おむつ不満」が寄せられています。

スーパーのトイレなどで赤ちゃんのおむつを替えるとき、カバンを置くところがないので、おむつを取り出しにくいし、オムツ替えがしにくい。カバンを置いたり掛けたりするところがほしいです。(30代・愛知県)

サービスエリアのトイレに、チャイルドシートやおむつ替え台付のトイレが手前にあると、便利だけど、使わない人が普通に入って、逆に使えなくて困る。奥の方にしてほしい。(30代・大分県)

子供のおむつを変える場所が少ない。授乳室とおむつ替えコーナーやっと見つけたと思ったら、女性専用...子育てに性別が必要?パパと来てる子はどうなるの?ジェンダーレスだの、パパママ二人三脚育児だの言う前に、子育てにやさしい日本であってほしいと切に願う。(30代・鹿児島県)

共通するのは「外出先でおむつ替えがしにくい」という点です。

一般におむつを付けている期間が2~3年だとすると、今おむつを付けている赤ちゃんの多くはコロナ禍の外出自粛の中で多くの時間を過ごしている赤ちゃんであり、「おむつをして外出する」ことがあまりなかったことがこのような不満につながっているのかもしれません

行動制限が緩和される中で、GWに赤ちゃんを連れて外出する世帯が増え、結果として「外出先でおむつ替えがしにくい」という不満がこのタイミングで増加したと考えられます。

先々週のトレンドワードになった「髪の毛湿気問題」や「バッテリー不満」と同様に、「以前よりも外出するようになった」ことに起因する不満といえそうです。

とくに「おむつ」の場合、「コロナによって赤ちゃんを連れて遠出する経験が出来なかった」という制約が不安・不満を助長していると考えられます。

行動制限が緩和されることは喜ばしいことですが、それに伴い、様々な不便や不満が生まれるようで、これを先回りすることがビジネス価値に繋がりそうです。


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