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「日常の悩みとジェンダーギャップとの関連性」、見てみました。

Insight Tech 伊藤です。不満買取センターを運営し、独自のデータ×独自のAIで「声が届く世の中を創る」ことを目指しています。

世界経済フォーラム(WEF)は3月31日、男女平等がどれだけ実現できているかを数値にした「ジェンダー・ギャップ指数」を発表しました。調査した156カ国のうち、日本は120位。前回2019年12月の121位から順位を1つ上げたものの、依然低い水準となりました。

いろいろなニュースでジェンダー・ギャップ解消の必要性・重要性が叫ばれていますが、どんな実態・課題があるのかを知るために、弊社が運営する不満買取センターの会員を対象に「日常の悩みとジェンダーギャップとの関連性調査」を実施しました。

今日はその結果から見える「今」と「課題」をお伝えします。

女性の悩みは「家庭」と「仕事」の「両立」

日頃の不安や悩みをみると「家事の負担」や「育児や子育て」など多くの項目で女性が不安や悩みを抱える傾向が顕著。共働き世帯では「仕事と家庭の両立」で男女差が拡大している状況が見られ、男性の関与・協力意識の低さが垣間見えます。

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女性の9割は異性を羨ましく感じた経験あり

女性の約9割が「異性(男性)がうらやましい」と感じることがあると回答していることに加えて、ジェンダーギャップが起因する不安や悩みを抱える人も7割を超えています。
一方、男性はいずれも約4割が「特にない」と回答。多くの女性が「男性が有利になる状況」が多いと感じており、これが不安や悩みを助長していることが明らかになりました。

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女性の2-3割は出産や育児・子育てでキャリアを断念

女性は結婚、出産、育児がキャリア形成(社会的な活躍)に影響を及ぼす人が多く、自分よりも配偶者の仕事を優先する傾向が男性より目立ちます。約8割の人が今後自身のキャリアを断念する可能性があるとしており、自身のキャリア形成の先行き不透明感・不確実性が不安を助長していることがうかがえます。

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キャリア断念後、女性の6割は再挑戦したい

育休や産休などでキャリア形成を途中で断念してしまう女性の中で、勤務先への復職や新たなキャリア形成などに再挑戦しようと考えている人は全体の約6割に上ります。
しかし、一定期間のブランクによって「昔のように体力・気力が続くか心配」や「周囲に迷惑をかけてしまうかも」といった自信のなさや不安を吐露し、再挑戦を躊躇する意見が目立ちます。

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「女性活躍社会」を実感している女性は3割未満

「女性が活躍できる社会づくり(働きやすい環境づくり)」が進んでいるという実感は女性で3割未満、男性でも5割未満と全体的に低く、性別差も見られます。共働き世帯の回答に限定しても同様の結果となり、「社会におけるジェンダーギャップ」が未だ解消されていないことが確認されました。

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必要なものはルールよりもマインドの変革

「女性が活躍できる社会づくり」に対する期待や要望のフリーアンサーを文章解析AI「アイタスクラウド」で解析した結果、「託児所や保育園を増やす」といったハード面、「時短勤務や育休取得の推進」のようなソフト面の充実だけではなく、「日頃の家事や育児への協力意識」のようなマインド面の変革を求める声が多いことが明らかになりました。

「子育て女性の苦労や境遇への理解」や「職場復帰の後押しとなる環境整備」などのサポートや相談しやすいコミュニティを整えることが女性活躍社会への寄与が大きい潜在的な課題となっています。

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相談サービスへのニーズは存在するも利用は限定的

仕事に関する不安や悩みを相談できる相手は身近にいる「家族や友人」が大半を占めます。
カウセリングや専門家のアドバイス、ネット上の匿名コミュニティを実際に利用したことがある人は全体の数%程度しか存在しませんが、これらを今後利用したいと思う人は1割程度存在し、潜在的な期待・ニーズがうかがえます。

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Generation Z(高校生)の声

今回実施した調査の結果を踏まえ、GenerationZ世代(高校生)からは以下のような提言がなされました。理想的な社会像の実現に向け、自身として意識・行動することへの決意がうかがえる内容である一方で、カウンセリングのようなプロの助言を受ける機会が限られていることが意外であったとの指摘が両チームで共通しています。未来を担う世代の活躍をサポートする機能が求められていることがわかります。

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アンケート結果に対する提言と今後の展開

(課題のまとめ)

ジェンダーギャップ指数2021や今回のアンケートの結果を見る限り、日本社会には依然として根深いジェンダーギャップが存在しており、女性の社会的な活躍やキャリア形成の推進を妨げる原因になっています。

政府・自治体がハード(保育施設などのインフラ拡充)やソフト(女性活躍推進法などの法律や職場ルール)の整備を進めるだけは不十分であり、生活者自身が潜在的に抱いている「男女の役割に対する固定観念や女性に対する差別的な評価や扱い方」を払拭するマインド変革を促していくことが、ジェンダーギャップの解消には重要と考えます。

日本では自分の不安や悩みの相談にカウンセリングや専門家のアドバイスを利用している人がほとんどいない。アクセシビリティの問題に加えて、利用に対するネガティブイメージや心理的バリアがあると考えられます。

(提言)

これらを踏まえると、ジェンダーギャップに関する不安や悩みを気軽に相談・シェアできるコミュニティを育てつつ、女性特有のメンタルケアや就労に関する不安を解消に導くメンタリングやコンサルタントのような支援サービスを受けやすい気運を醸成し、活躍に向けた心理的バリアを解消することこそが、日本のジェンダーギャップ解消に向けた第一歩になると考えられます。活躍に向けた心理的バリアをなくし女性の自己肯定感を高めることが、結果として男性の協力意識の高まりを促すことも期待できます。

【調査概要】

調査名 : 「日常の悩みとジェンダーギャップとの関連性調査」 あなたの日常生活や働き方に関するアンケート

調査対象: 不満買取センターに登録している全国20歳から49歳までの男女

調査期間: 2020年12月18日から2021年1月6日

調査方法: 不満買取センターのサービスサイト上でのアンケート

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