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小説/『シヴィル・エンジニアの異世界復興』 3頁め

3.異世界復興?

 時は、1か月前までさかのぼる〜

 私の名前は、詩杏(シアン)社会人1年目、建設コンサルタント会社に所属している。普段は、橋や道路を造り維持管理するための構造計算や計画を行い、図面の作成を行っている。
 昨日は、金曜日で土木女子会(ドボジョ会)の集まりがあり、今日は土曜日で休日のはずだった……
 目をあけると……見慣れたいつもの景色ではなく、液体で満たされた容器の中??……に入っているようだ‥‥。
 変な夢だなぁ……と思いながら、再び眠りにつく。

「朝だよ、起きて」

 眠い目をこすりながら、目をあけると四角丸可愛い物体が、ゆらゆらしながら話しかけてくる。
 体は。長方形のコンクリート供試体と円柱供試体2本で構成された姿をしている。
 仕組みは分からないが、ゆらゆら空中に浮かび、話す事ができるようだ。

「今日から、この世界をよろしく頼むよ」

 四角丸い可愛い物体が、再び話しかけてきた。

「この世界をよろしくって、どういう事?」

 突然のことで、頭の中が???でいっぱいになっていると、四角丸可愛い物体が説明してくれる。

 ・ここは異世界であること。
 ・体は借り物、精神のみ転生していること。
 ・異世界の復興を手伝って欲しいこと。
 ・変異生物『アズラエル』と戦って欲しいこ
  と。
 ・1度にこの世界にいられるのは、5日間
  (120時間)であること。
 ・現実世界の1日間が、異世界の5日間であ
  ること。

 まだ、伝えることは多くあるが、必要な時にまた教えるとのことであった。

「自己紹介がまだだったね、僕の名前はクリン、これからよろしくね、君の名前は?」

「私の名前は、シアン」

「シアンか良い名前だね」

「名前も聞いたことだし、さっそくだけど、武器を選んで欲しい」

 シアンの目の前に、碧く耀く特大の武器が浮かび、部屋の中が、煌めいた。
 剣、刀、弓、槍、銃、杖、鞭、本

「この中から、好きなものを一つどうぞ」

 シアンは、怒涛の説明を受け、頭が混乱する。
 また、夢かな……と思い、ほっぺをつねるが……、痛い……、現実のできごとのようだ。
 シアンは、一旦考えることを諦めて、この世界を受け入れる事にした。

「クリンさん、何となく状況分かったけど……
この武器は、何に使うの?」

「僕もシアンって呼ぶから、クリンって呼んでいいよ」 
 クリンは、ゆらゆらしながら楽しそうに、話しかけてくる。

「分かった、これからはクリンって呼ぶね」

 クリンと呼ばれた、四角丸可愛い物体は、嬉しそうにゆらゆらしながら、話し始める。

「武器は、『アズラエル』と戦ったり、シアンの能力を引き出す為に使うから重要だよ!!」

 どうやら、武器によって何らかの能力が引き出されるようだ……

「クリン、この武器かなり大きいんだけど、もっと小さいものないの?」

 身の丈を遥かに上回る武器を、目の当たりにして、シアンはたまらず叫ぶ。

「それは心配しなくて良いよ、使用者の意思で大きさは、自由自在だから」

 武器の大きさが自由自在なことに、とりあえず安心したシアンは、言われるままに武器を選び始める。
 うーん、剣と刀はかっこいいけど……近接戦闘は避けたいし……、不器用だから銃と弓は、当たらないかな……、槍と鞭も近中距離か……魔法が使えそうな杖と本はどうかな……
 悩みに悩んだ挙句、シアンは、本を選ぶことにした。

「クリン、聞き忘れてたけど、これから戦う『アズラエル』って何者?」

「この世界の原生生物が変異して、凶暴化したものだよ……生存圏拡大が『アズラエル』のせいで阻まれているんだ‥‥」

 クリンによると、今いる地域は成長前の『アズラエル』しか生息していないため安全らしい。

「シアン、話ばかりしててもしょうがないから、外に出て実際に『アズラエル』相手に訓練してみようよ」
 クリンは、満面の笑顔で部屋のドアを開け、シアンを外に誘い出す。

 シアンが外に出ると、眼下に森が広がり、遠くに街が見える。
 先程までいた小屋を中心に半径10メルカほどは、碧い障壁に包まれている。

「さあ、まずはステータスの確認をしようか」
 クリンは、シアンにステータスを、確認するよう促した。
 シアンは、とまどいながらも先程選んだ本の中表紙に表示された、ステータスを確認する。

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基本情報
  〇 名前   シアン
  〇 性別   女性
  〇 称号   転生者
ステータス
  ■ L V  【 I 】
  ■ H P  【 I 】【■■■】
  ■ M P    【 I 】【■■■】
装備
  ◇武器‥クエタ=アーカイブ【 I 】
      栞(碧)×1
      栞(緋)×1
  ◇防具‥ナノ=ローブ【 I 】
スキル
  ■ 空間認識【 I 】
  ■ 物体操作【 I 】
  ■ 物理障壁【 I 】

特殊能力
  ◆ ライブラ【 I 】
   情報を可視化できる。
   (知識・経験を得ることで情報量追加)
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 選んだ武器(本)は、碧色の栞が付属しており、クエタ=アーカイブという名前……
 防具は、胸元に栞を収納できる漆黒のローブで、ナノ=ローブという名前……

 ステータス、装備、スキル(×3)、特殊能力(×1)は、すべて【 I 】表示で、HPとMPはゲージが追加されている。

 このステータスで戦えるんだろうか‥‥と
シアンが考えていると……
 クリンが待ちきれないと言ったように、話しかけて来た。

「ステータスの確認もできたから、さっそく『アズラエル』と戦って貰おうか」

「戦い方教わってないよ」とシアンはクリンに詰め寄るが、何とかなるからと、取り合ってくれない。

「少し小屋から離れるよ」
 クリンはふわふわと、森の中へ入って行く…

                4頁め

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       2023.3.4(プロット修正版)

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