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ハムハウス イギリス文化遺産:400年前の貴族屋敷
こんにちは、ともえです。記念すべき第1回目はイギリスの歴史文化遺産のハムハウス&ガーデンをご紹介します!
私は建物を見るのが好きなのですが、歴史に疎いので、ブログを通して勉強していきます!
ナショナルトラストってなに?
ハムハウスは、イギリスのロンドンにあり、ナショナルトラストに登録されています。
ナショナルトラストとはイギリスの歴史的文化遺産を維持・保護する団体で、現在500ほどの土地・建物が登録されています。
このナショナルトラストを見学するのが実に楽しい!というのも、昔の貴族の家や家具、貴重なコレクションがそのまま展示されていて、その時代の人々の暮らしを目で見て楽しむことができます。どの建物も入った瞬間に、その時代の空気を感じられ、過去にタイムスリップしたかのような感覚を味わえます。
ハムハウスの場所と料金
場所はロンドンの西南エリア、リッチモンド付近にあります。ロンドン中心部からは車で1時間、電車で1時間半ほどの距離です。
入場料は大人14ポンド(2023年現在)です。ナショナルトラストは期間によっては無料セールをしている時期もあるので、要チェックです。
ハムハウスの概要
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こちらが外観です。
いや~玄関まで遠い。遅刻した時大変。(貴族は走らない)
ハムハウスは1610年にスチュアート様式で建築され、1626年に国王チャールズ1世より、お学友だったウィリアムさんに譲られたそうです。スチュアート様式とは17世紀にイギリスでよくみられた建築様式で、ハムハウスのようなデザインの外壁が特徴だそうです。
ウイリアムさんの死後、娘のエリザベスさんが家主となりましたが、このエリザベスさんがなかなかのすごい人物だったそうで、調べてみました。
野心家エリザベス・マレーの生涯
生い立ち
エリザベス・マレーは1626年に王室とも交流があった貴族の娘として生まれます。当時の女性としては異例なことに、しっかり教育を受け、ファッションにも精通していたそうです。かなりの御家柄だったことがわかりますね。
不倫疑惑と夫毒殺疑惑
エリザベスは1648 年にライオネル・トールマシュ卿と結婚します。ライオネルとの間に11人の子供がいましたが、その後、生き残ったのは5人だけだそうです。自分の子供が6人も亡くなるとは、現代ではなかなか考えづらく、心苦しいですね。当時は子供が成人まで健康に育つのは難しかったのでしょう。
その後、夫は長い間健康状態が悪く、亡くなってしまいますが、エリザベスが日頃から毒をもっていたという説があります。というのも、エリザベスはかの有名なオリバークロムウェルと不倫関係にあったと噂されていたからです。不倫に関してはあくまで噂で、目立つ彼女へのやっかみだったのかもしれませんね。
真実はわかりませんが、既に人生が濃い!
この毒殺疑惑に関しては、旦那さんが実際に証言していた説と周囲の作り上げた噂説がありました。真実はわかりませんが、いつの時代も人間は話を膨らませるようで。
南北戦争後の立ち振る舞い
エリザベスは王党派貴族でしたが、1642年から1651年のイングランド南北戦争で王党派は戦争に負け、ハムハウスを譲ってくれた国王チャールズ1世は処刑されてしまいます。
息子のチャールズ2世は亡命しますが、彼が亡命している間、王党派のエリザベスは王室支持者と内密に連絡をとっていたそうです。そして、チャールズ2世が王政復古で国王として戴冠した際、エリザベスに年金を与えることにしたそうです。
監視が厳しい中、色々と暗躍していたようです。かなり聡明でやり手な印象が伝わってきます。短く言うとすごく気が強そう。笑
再婚と家具集め
夫の死後、エリザベスは1672年にジョン・メイランド公爵と再婚します。ちなみにこのジョンさんも再婚で、奥様が亡くなった後にエリザベスと結婚したそう。夫妻は豪華な暮らしで有名で、頻繁に旅行に行き、世界中の家具を集め始め、職人も雇いました。そして、ハムハウスは豪勢な屋敷へと変貌していきます。
エリザベスのセンスやこだわりが光る家となったわけですね。この頃の彼女の暮らしは楽しかったのではないでしょうか。
エリザベスの晩年と亡霊
エリザベスは健康上の問題で、晩年は1階だけで過ごし、71歳でこの世を去りました。彼女が亡くなった後は、300年間子孫がハムハウスを所有していましたが、1948年にナショナルトラストに譲渡されました。
ところでハムハウスは、エリザベスの幽霊が出ることで有名だそう。かなり強めな印象の女性なので、思いの丈の念が残ってるのかもしれませんね。
しかし、私が訪問した際は、嫌な感じは全くせず、むしろ穏やかかつ厳かな空気でした。むしろ家具が綺麗に残されていて、ここに携わった人々がものを大事に守ってきた丁寧さを感じました。もしかしたら、この家が大好きで出てきちゃうのかもしれませんね。笑
さらっと調べただけですが、人生の濃さが半端じゃないです!ここには書ききれませんでしたが、政治関係の話が多かったので、歴史好きな方は是非、彼女と夫たちの政治関係を調べてみてください。
ハムハウスの内装
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さて、やっとハムハウスの中へ入ります!!
グレートホール
中に入ると豪華な玄関ホールがお出迎えしてくれます。2階まで吹き抜けになっており、壁には絵画が飾られ、床は大理石です。この美しい空間を思わずゆっくり見渡してしまいました。
こちらのホールは晩餐会前のゲストの交流場として使われていたそうです。映画やドラマで見るような部屋です。天井にも彫刻が掘ってあり、こだわりが見えます。
階段の装飾
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階段の近くには礼拝堂やおトイレがありました。トイレを見たときは、こんな広いお屋敷なのにトイレがこんな端っこに~間に合うかしら~!と思いました。笑
写真は撮っていませんが、昔のトイレはサイズが小さく、確か便座が木でした。家具やドアの大きさ、段差などから、昔の人の体型が想像できて、なかなか興味深かったです。イギリス人は昔は小柄だったよう。
ハムハウスは3階建てのようですが、私でも上るの大変~!と思ったので、エリザベスさんが晩年は1階で過ごしたと聞いたときは納得でした。
そして、この階段の絵画コレクションも素晴らしいですが、気になったのは手すりの装飾の細かさ!見えますでしょうか。花なんて飾らなくても彫刻で作っちゃうもんね~といった贅沢を感じます。笑 よく見ると大砲があったり、軍事力を示すものが多いですね。現場でも隅々まで見てしまいました。
2階から見た玄関
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2階から先ほどのホールを見渡せます。大理石の床と絵画がよく見えますね。床の模様がおしゃれで、400年前に作られたなんて思えません!
庶民目線だと、2階と1階で家族の会話とかできそうです。玄関から「折り畳み傘取ってー!」みたいな。貴族はそんなことしないが、自分が住むとを想像するという楽しみ方もあります。
2階には当時のベッドやテーブル、箪笥など家具一式が飾られていました。
グリーンクローゼット
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特に目を惹かれたのがこちらの緑のお部屋。壁の装飾がとても美しいです。奥にいらっしゃるのはボランティアのガイドの方。ナショナルトラストの建物内にはいつもボランティアの方がいらっしゃって、そのお屋敷や家具、家主のことを教えてくださいます。自分が好きな建築だったら、ボランティア側も楽しそうですよね。
こちらのお部屋、グリーンクローゼットと呼ばれ、イギリスで唯一、完全な状態で保存されている17世紀のクローゼットだそうです。
えええ、すごいじゃないですかー!!いや、確かにこの部屋だけ異彩な空気を放っていました。息をのむ感じですね。壁の模様といい天井の絵画といい、個人邸とは思えないほどの装飾。美しいの一言でした。
中までは入れませんが、ドアから覗くだけでも、美しさに感動します。
窓から見た景色とティーポットの茶渋
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こちらは窓から見える玄関から門までの景色です。ドラマに出てきそうな景色。馬車で来客が来るのを窓から見てたのでしょうか。門で忘れ物に気づいたら取りに戻るまでの道のり遠いな、とか考えてしまいました。笑
家具は日本のキャビネットもあり、当時は中国や日本の装飾が人気だったようです。印象的だったのが、中国のティーセット一式が茶渋が残ったまま飾られていました。茶渋で当時の人が生きていた証を見せる、なんともイギリスらしい展示です。
茶渋の生々しさになんだか重々しい念を感じたので写真は撮らずですが、あの忙しい人生の中、彼女にもほっと一息ついて、お茶を飲む時間があったのでしょうか。どんな時にどんな気持ちでお茶を飲んでいたんでしょうね。
隠し扉について
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実はこのハムハウス1階に隠し扉がありました。玄関ホールのここ!このやじるしの奥は、質素な廊下になっており、そこにある小さな扉を開けると、上の階に繋がっている螺旋階段がお目見えします。映画のようで興奮しました!
古い建物を見学すると、隠し扉を結構見かけます。非常用ですかね?また隠し扉についても、調べてみたいです!
地下の保存庫へ
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とにかく広かったので、写真はほどほどに地下へ向かいました。地下には奉公で住んでいた子供とメイドさんの部屋や食糧庫がありました。こちらの写真は酒樽の保存場です。食糧庫は厳重な金属の扉で守られていたのが印象的でした。泥棒から食料を守るための設備だそうです。
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さて、こちらはキッチンです。
机の上にスパイスの材料となる木の実や葉がおかれており、ガイドさんが何のスパイスになるでしょう?と一つずつ説明してくだいました。
確かに、スーパーで売られているものって、既に粉末になっていますよね。元の形を見る機会はあまりなかったので、すごく勉強になりました。他の見学者さんたちも参加してくれてクイズ大会みたいでおもしろかったです。ヨーロッパで馴染みのあるものはすぐ答えていらっしゃって、スパイスで異文化交流を感じました。笑
スパイスの原型を見て、自分がどれだけ自然と掛け離れた生活をしているのか思い知らされました。それと同時に、昔の人は一つずつ手で擦って作っていたのだなと感慨深かったです。
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こちらは薬草づくりの部屋です。今でもハーブティーなどで使われるお花や草が飾ってあります。
今も昔も暮らし方はそんなに変わらない、そんなことに気づかせてくれるお屋敷でした。今は作る過程が見えないことが多いけれど、昔と使っている材料は何も変わらない。
屋敷の外へ
野菜畑
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さて、お屋敷から出ると広大な中庭とともに畑を見学しました。様々なお花と野菜が植えられており、とにかく広い。
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都会の喧騒から離れて、自分たちの庭で食べ物を作る。そんな生活もいいなあと思わせてくれる素敵なお庭でした。ここまで、広大な敷地を手入れするのは大変でしょうね。
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不揃いな形が、味があっていいですね。スーパーでは形になったものしか見られませんが、この葉っぱはなんの食べ物だろう?と友人と推測するのが楽しかったです。かぼちゃ、瓜、トマト、タマネギ、りんごやベリー系もありました。大きなお屋敷で自分の畑で採れた季節のものを食べる。とても豊かなことだと思います。
静寂の裏庭
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お屋敷の裏側に出ると裏庭が。ひ、ひろい。入る前はこんなに広いと思っていなかったので、進むたびに驚愕していました。笑
裏庭は表と違って、静かで幻想的な空間でした。この日は雨のため、裏庭まで訪れる人がおらず、ここだけ森の中にいるような澄んだ空気でした。
住んでいる人も一人になりたい時、ここに来ていたのかもしれませんね。
秘密のラベンダー畑
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さて、もう帰ろうかとしたところ、なんとラベンダー畑を発見!! なんという美しさ。手入れされたイングリッシュラベンダーガーデン。
イギリスの本気を感じました!!
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ため息が出るほど美しかったです。
庭の形も日本と全然違いますよね。三角や立体の形に切り取っているのがとても特徴的です。日本のわびさびと正反対な感じです。国によって庭の形も変わりおもしろいですね。
出口へ続く道
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緑のカーテンを抜けて出口へ向かいました。お屋敷も豪華でしたが、この広大な自然が敷地内にあることに豊かさを感じました。
ハムハウスにはカフェやお土産屋さんやチャリティーショップもあり、じっくり見学しようと思えば半日は楽しめるのではないでしょうか。私は2時間ほど滞在したかと思います。
あとがき
イギリスのナショナルトラスト、いかがでしたか。今回記念すべき第一回に、このハムハウス&ガーデンを私が選んだ理由は、この家が美しいだけではなく、エリザベス・マレーの生き様に興味をもったからです。400年前に女性で政界にまで声をあげた彼女には、きっと様々な苦悩があったのではないでしょうか。
実際の彼女がどんな人だったかはわかりません。とても優しい方だったかもしれないし、意地悪だったかもしれない。ただ、この家に足を踏み入れた時、居心地のいいあたたかな空気を感じました。それは、彼女がこの家に愛着を持っていたからか、もしくは彼女の子孫、またはナショナルトラストの方々がこの家を大切に扱っているからかもしれません。
大切に保管されている家具を見て、一つ一つの物に愛着を持って大事に扱うこと、私に他の文化遺産も訪れたいと思わせるきっかけをくれたのが、このハムハウスでした。
彼女の思いが色濃く残る家。日々多くの人が訪れ、何百年も前の家具が忘れ去られず輝き続けています。彼女も喜んでるといいですね。
今回は家主の人生が色濃く出た記事になりましたが、次回の歴史も楽しみです。こうやって歴史あるものを現代まで保護し、大切に手入れする運動は素晴らしいですね。
ここまで読んでいただき誠にありがとうございました。
余談
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チャリティーショップを眺めていると、あれ?
ハム太郎さん、こんなところで会えるなんて笑
イギリスでハム太郎を見る日が来るとは。
もしかして人気なのでしょうか。日本のアニメはこんなところにまで届いていますよ。ちょっと嬉しいですね。
では、また。
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