家族と過ごす時間をつくるための時間術〜優柔不断で完璧主義でも定時で帰る方法〜
▷ 優柔不断で完璧主義だと仕事は遅い
ぼくは仕事が早くはない。
あえて「遅い」と書かなかったのは、ちっちゃなプライドみたいなもので、まあ普通だと思う。
早くない理由はいくつかあるのだけど、シンプルに分析すれば「優柔不断な完璧主義」というところ。完璧主義ゆえに優柔不断になるのか。優柔不断ゆえに完璧主義にならざるをえないのか。
「手を抜くことにもっと真剣になる」というのはわりと意識しているところで、そうしないといつまでも仕事が終わらない。。。
そんな仕事が遅いぼくだけど(面倒だからもう「遅い」と言い切ってしまおう(笑))繁忙期や特別な理由がなければ基本的には17時までしか仕事はしない。
娘が生まれてからの6年間。
「18時のお迎え」「21時の寝かしつけ」というのは、夫婦ともに最優先のアポイントメントとなっている。
娘を保育園に預けるようになってから、この時間はずっと変わらない。もっと早くなることはあっても、これより遅くなることは基本的にはないのだ。
娘が生まれるまではずっと、夜中まで仕事をするのが当たり前だった。
夕方までは現場に出て、帰宅してから事務仕事。適当に夕飯を食べたら適当にキリの良いところまで仕事をして、風呂入って寝る。
24Hはどこまでも、ぼくの時間で、どう使おうと誰かになにか文句を言われる筋合いはなかった。
それが、娘が生まれたことで一変。
仕事が終わらない。
いつも何かに追われてる気がする。
寝不足だし、頭が常に混乱状態で、自分が何をしているのかよくわからない。
はじめての子育てに緊張が続く。
妻からのSOSにもうまく応えられない。
家事育児も全部やらなきゃと、無駄に完璧主義に抱え込もうとして叱られる。
当時を思い出すと、大変だったという感情だけは思い出せるけど、自分がいったい何をしていたのかはよく思い出せない。
そんな頃から6年。
いまは、残業なしで、穏やかに楽しく働けるようになった。
しかも6年前よりもずっとたくさんのことをできるようにもなっている。
それは、いままで2時間かかってた原稿書きが10分で終わるようになったとか、クリティカルなアイディアが悩まなくても出てくるようになったとかってことは(残念ながら)なくて。
それは、仕事が遅い課題だった「優柔不断な完璧主義」の改善とは違うところで時間の使い方を変えたから。
いまでも原稿に時間はある程度かかるし、モヤモヤと悩んだりする。
でも、原稿にかける時間や、モヤモヤと悩む時間を確保できるようになった。
そして何よりも、家族と一緒に過ごすための時間を当たり前につくれるようになっている。
仕事が早く終ることが嬉しいのじゃなくて、その時間で家族でご飯を食べたり、おしゃべりしたり、遊んだりするのが嬉しいのだ。
***
先日、ぼくがこの6年間でどうやって「優柔不断と完璧主義」を直さずに(←直せよ!)家族と過ごすための時間をつくってきたかをお話しました。
普段は家事シェアや部屋づくりの講演が多い中、珍しく時間についての話。
せっかくなので、そのときに紹介した時間をつくるための工夫をご紹介したいと思います。
6年間のトライ・アンド・エラー。家族と過ごす時間をつくれない、と悩んでいる人の参考になれば幸いです。
▷ 「時間」の捉え方を見直す2つの大前提。
具体的な時間術の前に、時間の捉え方を見直しました。
これをしないと自分がなぜ時間をがんばって生み出さねばならないのかが、わからなくなってしまうから。
■ 前提1> 「家事をするために」時間をつくるんじゃない。「家族と過ごすために」時間をつくるんだ!
今回の講演会も「普段忙しい経営者の男性が家事をするために時間をつくる方法を知りたい」という依頼でしたが、「普段忙しい経営者」が「家事するために」時間をつくるなんてまぁ、ないだろうなと思うのです。
「遊ぶため」「自分の時間を作るため」ならいざしらず。100歩譲って「子育て」のためならつくるかもしれないけど、「家事」のために時間はつくらないだろうなと。
なぜなら、彼らにはその「必要性」がないから。いや、あるんですよ。本当は。でもきっと必要性があるとは思っていない。
だからまず、
「家事をするために」時間を作るんじゃない。
「家族と過ごすために」時間をつくるんだ。
と言うのを大前提としました。
「家族と過ごす時間」というのは、ただ食器を洗うとか、風呂掃除をするだけを指すわけじゃない。
団らんをしたり、一緒に遊んだりも含まれる。家事も育児も団らんも全部含めて「家族と過ごす時間」。
食器洗いのために時間をつくる気にはなれなくても、家族と過ごす時間ならつくる価値を感じてくれるかもしれない。
■ 前提2> 家族ができると時間は家族の「共有財産」になる
ぼく自身は、家事するためだろうと、家族と過ごすためだろうと、そのために時間をつくることに疑問は抱かなかった。でも、子どもが生まれてから圧倒的に時間に対する概念が変わったのです。
それが、
時間は家族の共有財産
だということ。
ぼくが夜遅くまで仕事をしたり、休日に仕事をするということは妻に時間拘束を強いることが前提になります。
働いているのはぼくで、忙しいのもぼくで、ぼくだって好きで夜遅くまで働いているわけじゃなくて、そもそもぼくの時間だから自分の好きに使って何が悪い?
じゃないのです。
その忙しい時間、妻はワンオペを強いられることによって、自分の自由を失っている。
これはもちろんお互い同じ。
いままでは100%自分のものだったはずの時間は、家族ができたことで「共有財産」になったのです。
共有財産だから、勝手に使われたらイラッとするし、「なんで?」という気持ちになるのも当然のこと。
じつは、ぼくはスケジュールを夫婦で共有することへの抵抗感がずっとあった。
なんだか管理監視されているような気持ちになってしまって。
でも時間が共有財産だと思うようになってから、その抵抗感がいっさいなくなりました。
だってお互いのスケジュール、家族のスケジュールを共有しておかないと時間をうまく使うことはできないのだから。
▷ 時間という予算を3つの投資にあてる
限られた時間という予算。
頭が混乱していた6年前は、ほとんどのことをスキマ時間で行っていて、いったい自分が何にどのくらいの時間を投資しているのかがさっぱりわからなかった。
これじゃいかん、と思い時間を3つの大切なことにちゃんと配分していこうと考えました。
① 自分への投資:睡眠・読書・学び・癒やし など
② 家族への投資:家事育児・幼稚園の行事・家族の行事 など
③ 仕事への投資:仕事・仕事にまつわる繋がりや集まり
■ 投資① 自分への投資
「親の健康こそが、子育ての一丁目一番地」だと思っているので、睡眠や身体のメンテナンスは大事な自分への投資時間です。
仕事が忙しくなると、真っ先に削られていく部分ですが、ここが削られるととたんにあらゆるパフォーマンスが下がるというリスクもはらんでいます。
また、新しいことを学んだり、気分転換をしたり、ということにも自覚的になろうと決めました。
■ 投資② 家族への投資
これをおざなりにすると、あっという間に家庭は地獄になります。
絶対におざなりにしちゃダメ。思わず融通をきかせたくなったりもする時間ですが、家族への投資こそが家族との信頼貯金を高めてくれるので、信頼貯金の使い込みには要注意。
ちょっとずつ、福利で増やしていきたい(笑)
■ 投資③ 仕事への投資
仕事への投資だって大切。わりと無尽蔵に増えていきがちだけど、上手に調整していきたいところ。
ぼくはこの仕事への投資が上手にできていないことが課題でした。
時間をたっぷり投資したわりに実入りが少ない(笑)文字通りの収入ということではなくて、費用対効果の悪さに改善の余地がたっぷりありました。
▷ 時間投資へのポートフォリオを考える
それぞれの投資時間に対して、自分がどのくらい時間を費やしているのかを考えてみました。
6年前、娘が生まれる前はだいたいこんな感じ。
仕事の合間に、家族の時間があり、睡眠前後にすこし自分の時間がある感じでした。
いまはだいたいこんな感じです。
自分や家族、仕事の時間バランスはいまのところベストかなと思っています。
もちろん、日や時期によってこのバランスは変わるけどこの割合は自分の中での理想的なポートフォリオとして描けています。
で、このポートフォリオ。
適当に思い描いてもべつになんの意味もない。
「このくらい時間使ってるから、もう少し家族と自分の時間増やしたいなぁ」と思って終わりです。
事業の予算管理だって同じですよね。
しっかり見直そうと考えているのにふわっと「人件費が○円くらいで、材料費が○円くらいで、あとはまぁ色々雑費ですね」なんて言われたらブチ切れ案件です。
つまり、時間についても何にどのくらいの時間を使っているのかを把握することからスタートさせました。
▷ 時間の計測は新しい発見に溢れてる!
そこで、自分が行っている行動をひたすら計測することをはじめました。
いまはもうやっていませんが、2年位ずーっと計測をしていました。
そのときに使っていたのがこのアプリ。
【計測していた時間一例】
・メール返信にかかる時間
・仕事の中で「移動」に使っている時間
・会議の時間
・SNSを眺めている時間
・資料をつくるのにかかっている時間
・食器洗いにかかる時間
・トイレ掃除にかかる時間
・本を読んでいる時間
・TVを見ている時間
・料理をつくるのにかかる時間
PCからもスマホからも使えるので、「いまからメール返信するぞ」と思ったらスタートをポチり。終わったらポチる。
そんな感じで仕事から家事まで計測していました。
そうすると、ずっとちゃんと活動しているはずなのになぞの時間が出てくるんです。
【なぞに溶けていく3種類の時間】■使途不明時間:なにをしていたのかよく分からない時間
■浪費時間:なんの投資にもつながらない無意味な時間
■節約時間:もっと効率化できる時間
見たいわけでもないのになんとなくTV見てた(浪費時間)とか、寝ようと思ってベッドに入ったのに1時間位経ってた(使途不明時間)とか、1時間で仕上げようと思っていた資料作成に2時間かかってたとか(節約時間)。
たくさんの「こんなはずじゃなかったのに!」が見えてくる。
で、こうした時間の積み重ねが結構な時間になっていたのです。
この時間の計測ってめちゃくちゃ面白くて。
例えば「本を読む時間を週に5時間はつくろう」と決めたとして、それが数字で如実に出てしまうわけです。だから、なんとしても1日1時間くらいはどこかで確保しようと工夫するし、達成できたら素直に嬉しい。
逆に、提案のプランニングにかける時間を割り出して「あれ、こんなに時間かけてたらぼくの時給ってめちゃくちゃ安くなってないか」とかにも気づくことができる。
なんとなくだった時間に輪郭が与えられることで見えてくることって山のようにあります。
▷ 時間のムダを省くためにやった3つの削減
そうした中で、時間を大きく削減できる要素が3つ見つかりました。
■ 移動時間
■ 人とのやり取りの時間
■ 集中できていない時間
これらを少しずつ工夫しながら削減していくことにしました。
■移動を辞める
・通勤を辞めるためオフィスを引き払った
・移動時間省くため打ち合わせの9割をオンライン化
オフィスを借りていた頃は、通勤に往復1.5時間もかけていました。
通勤時間に本を読んだりするのもいいけど、しなくていいならしたくない。
そう思って、もうオフィスを借りるのをやめて家庭内のワークスペースの快適化に力を注ぐことにしました。
打ち合わせの移動時間もバカになりません。
1Hの打ち合わせのために往復1Hなんてざらです。交通費もかかる。
オンラインで打ち合わせができてしまえば、移動時間がまるっと浮きます。
なので、よほど理由がない限り打ち合わせや取材(撮影などがない場合)はほとんどがオンラインです。
そのかわり、直接お会いしたい人や、伺いたい場所へはなるべく出ていくようにしています。息抜きになるし、直接会うことの楽しさってやっぱりあるので。
これだけで、週に10時間くらいの時間を生み出すことができる。
そう思ったら、移動をなくすというのはまるで時間の錬金術のようです。
■やり取りを減らす
・メール返信は1日1回
・打ち合わせのスケジューリングも自動化
・コーディネートのお客様とのやり取りはLINEに(メールだと、「お世話になっております」から始めるやり取りをLINEだと省略できる。スタンプだけとか、関係性もより近づく)
時間の計測をはじめてから、とにかく面倒くさかったのがメール返信の時間の記録。
だって、メールが来たら返信して、ちょっと手が空いたらメールチェックして、返信があれば返してってやっていたから。その度に記録なんてしていらんないし、とにかく面倒くさい。
というか、こんなに一日中メール返信に追われているのか! と愕然としました。
なんていうのかな、ぼくはもともと喫煙者だったので、語弊はあるかもしれませんが「一服」の感覚に近い感じでメールチェックと返信をしているなと感じました。
作業が一段落したり、集中力が切れたりしたらメールチェック。そんな無意識の習慣がついていた。
で、これをまとめるために1日1回のチェックに。
緊急度の高い連絡などはこの限りではありませんが、メールチェックの回数を減らすようにすると時間の細切れがなくなっていいなと感じています。
・スケジュール調整を自動化
そして、最近導入したスケジュール調整アプリがもう最高です。
自分のGoogle Calendarとtimerexを連携させて、自分がどの時間帯なら打ち合わせできるかを表示させることができます。
この生成された自分のスケジュールURLを、打ち合わせしたい相手に送信。
後は、上記のような一覧から先方が都合のよいところをクリックすれば、予定調整が完了します。
その予定は、お互いのGoogle Calendarなどに自動で反映もされるので、クリックしてくれたかどうかの確認の必要だってありません。
そして、さらにいいのがZOOMと連携させて、当日のURLも同時に自動生成されるところ。
意外と、ZOOMを立ち上げてスケジュールつくって先方にメールしてってのも面倒だったりして。それらが一発で終わるのは奇跡のようでした。もう手放せない。
■集中力を保つ
・ランチ後に眠くて集中力が落ちることが判明。重たい食事を避けて、スタンディングデスクで仕事。
・スマホは基本的には「おやすみモード」通知が来ないように
時間の計測をしていたら、一日の中で圧倒的に集中力が落ちる時間帯があることに気が付きました。それがランチ後。
ご飯の後って、むちゃくちゃ眠くなるんですよね。
で、自宅で仕事してるもんだからなんとなくYou Tubeとか見始めちゃって、時間を無駄にしてしまったりとか。
資料作成とか作業に取り組んでも、30分で終わる作業に1時間以上かかったりとか。
このランチ後の1時〜2時くらいまでは、とにかく集中できない。
そこで、ランチに重たい物を食べるのを極力やめて(揚げ物とか食べると睡魔がやばい)スタンディングデスクを導入して立って仕事することに。
当たり前ですが、立ってると眠くなりにくい(笑)
最初は足が痛かったり、落ち着かなかったりしましたが気がつけば今では仕事中ほとんど座ることがなくなりました。
立ってるほうが腰も痛くないし、眠たくもならないし、運動にもなるし。いいことしかない。
・スマホは常におやすみモード
LINEがね。ずーっとブーブー鳴るんです。
大事なLINEから、関係ないLINEまで。ずーっと。
メールも、メッセンジャーも、とにかく通知をOFFにしないと「ぶー」って鳴るたびに、ぼくの綿毛のような集中力はどこかへ飛ばされてしまう。
だからスマホはずっとおやすみモードです。
妻からはLINEがつながらないっていつも叱られます。ごめんなさい。。。
と、言うことで。
色々としている時間の工夫をまとめました。
細かいところではもっと色々とありますが、これらをすることで夜中まで仕事するとか、家族との時間が全くとれないとかってことはなくなった。
いまだ「優柔不断と完璧主義」は解決していないのだけど(笑)
それでも、こうした工夫をしたことで優柔不断に迷う時間も、もう少し丁寧に仕上げたいんだというときに費やす時間も持つことができます。
家族と過ごす時間がない、という人のお役に立てたら幸いです。
では、また明日。
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