富士山のような自己肯定感を持って羽ばたいて行け!

娘は産まれたばかりの頃から、ずっと毎日が楽しそうだ。

朝はお日さまとともに目覚めると「さあ、今日もピカピカのいち日がはじまる!」とばかりに飛び起きる。
赤ちゃん時代は目覚まし時計代わりにいつもピッタリ、すずめの鳴き声と同時に泣きだしていた。

彼女にとって毎日は、失敗と挑戦の冒険。

失敗すれば「ナイスファイト!」とハイタッチ。
成功すれば「最高だね!」とハイタッチ。

いつの間にか失敗への不安よりも、挑戦したい好奇心の方が大きくなっていた。

「よし! ちょっとチャレンジしてみる!」

ウキウキしながら、彼女はいつだってそう宣言する。

嫌いな野菜もぺろりと舐めてガッツポーズ
(舐めただけで食べてはいない。。。)

牛乳をコップに注ぎ損ねても「でも、自分で入れようとしたもんな」とひとり深くうなずいている。
(こぼしたことを忘れてはいけない。。。)


そんな彼女は最近大きな挑戦をした。
バスで席を譲ったのだ。

通学で使っているバス。娘は席に座り、ぼくはその少し奥に立っていた。

そこにお姉さんが乗ってきて、娘の向かいに立った。
落ち着かなげにお姉さんをチラチラ見る娘。
すると唐突に声をかけた。

「あのー。座りますか?」

小1の子どもに突然「座りますか?」と声をかけられたお姉さんもさぞびっくりしたことだろう。近くで見ていたぼくだってびっくりした。

お姉さんは「大丈夫よ」とにっこり。
だが娘は食い下がった。
「いや、わたしもうすぐ降りるんで」
まだ降りるまで10分弱はある。。。たとえ席を代わっても10分近く立ちっぱなしの子どもが目の前にいたら、お姉さんもさぞかし気まずかろう。

「わたしももうすぐ降りるから大丈夫だよ」とさらりと受け流すお姉さんは、本当にふた駅ほどでぼくたちより先に降りていった。代わっていたらやっぱりお姉さんは気まずかっただろう。

そのお姉さんと入れ違いで、もう少しご年配の女性が娘の向かいに乗ってきた。

しばらくは、何ごともないかのように静観していた娘だったが、バスが降りる駅に近づいてきたそのとき。

「席、座りますか?」

セカンドチャレンジ!

「ああ、大丈夫よ。座ってて」
女性もやはり6歳の子どもに席を譲られるのは忍びないのか、にっこりと断った。
しかし娘は、降車ボタンを押し「わたし次降りるんです」と席を立とうとした。

女性は「ありがとう」と、娘がバスから降りるのと入れ違いに席に座ってくれた。


バスを降りてから娘は嬉しそうにぼくに言った。
「わたし、バスの中で席譲るチャレンジしたんだよ!」

見てた?見てた? とその目は語っていた。

「なんで、席を譲ろうと思ったの?」
ぼくは不思議だった疑問を口にしてみた。すると、娘はさも当然のように答えた。

「だって、いつも席譲ってもらってるから、譲ろうかなって」

優しさのペイフォワードだ。

おいしいお菓子はみんなで分け合いたい。
プレゼントして喜ばれるなら、プレゼントしたいし
席だって、譲って喜ばれるなら譲りたい。

彼女は、断られる不安よりも受け入れられる喜びへの挑戦を優先した。

そんな娘の話を聞いて妻は言った。

「富士山のような自己肯定感を持って成長すればいい」

ぼくも、心から同感である。

では、また明日。

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三木智有|家事シェア研究家
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