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"苦情対応マニュアルのひな形"を紹介します

今回は、"苦情対応マニュアル"についてです。

デイサービスの運営情報調査票をみると、下記のようなチェック項目があります。

相談、苦情等の対応のための取組の状況の確認事項:

・利用者又はその家族からの相談、苦情等に対応する仕組みがある。
・相談、苦情等対応の経過を記録している。
・相談、苦情等対応の結果について、利用者又はその家族に説明している。
・利用者又はその家族に対する説明の記録がある。
・相談、苦情等対応に関するマニュアル等がある。

「施設のマニュアルを作成しなおさないと」
「苦情が多すぎるから研修をしたい」

というリーダー・管理職におすすめな内容になっています。

では早速いきましょう。

苦情解決マニュアル

このマニュアルは、社会福祉法第82条の規定をふまえて適切な対応を行うことにより、利用者様等が安心して利用できる環境を整え、苦情等に対し迅速な改善を図るための対応手順及び留意事項を定めるものです。

基本姿勢

基本姿勢は下記の3つです。

  • 苦情申出人(以下「申出人」)に対して謙虚で真摯な態度で応対する。

  • 苦情は申出人の評価を満足に変えるチャンスと捉え、信頼関係の再構築に努める。

  • プライバシーや人権の尊重に努め、知り得た情報(個人情報等)の管理を徹底する。

苦情への対応

(1)~(5)にように行います。

(1)会社全体で対応する。
(2)事実確認を行う。
(3)初期対応を慎重に行うことが、苦情解決を左右する。
(4)相談には、下記のことに留意する。

  • 苦情対応は、業務の中でも優先して取り組む必要がある。

  • 誠意をもって対応する。

  • 不快な思いをさせたことについてはまず、謝罪する。

  • たらい回しはしない。

  • 曖昧な回答は避ける。その場しのぎの安直な返答は、トラブルが大きくなる。

  • 苦情があった場合、速やかに苦情受付担当者(以下「担当者」)に引き継ぐ。

(5)申出人(利用者)に接する態度

  • 相手の言い分をよく聞く(すぐに否定しない)。

  • 言い分がわからない時は、適宜確認する。ただし、話の腰を折らないように注意する。

  • わからないことは、よく調べてから確実な情報を回答する。

  • 事実確認を十分に行い、事実に基づいた対応をする(早合点、思い込み等、自分勝手な判断はしない)。

  • 言い訳、弁解、責任転嫁はしない。

  • 感情的にならず、冷静に対応する。

  • 「出来ること」と「出来ないこと」をはっきり伝え、過大な期待を抱かせない。

  • 情報の透明性を常に意識し、申出人への説明責任を果たす。

  • 不当な要求等には、毅然とした態度で対応する。

苦情への対応手順

受付→確認→調査→記録、の手順で行います。

1,受付

  • 「基本姿勢」に十分配慮する。

  • 申出人との面接は、個室で行う(プライバシー・人権の尊重)。

  • 面接は、2 名以上で対応する。

  • 申出人の状態(認知症、精神疾患等)を踏まえ、状況を把握する。

  • 担当者以外の者が苦情を受け付ける場合は、内容を詳細には聞かず、速やかに担当者に引き継ぐ。

  • 申出人から、解決までどの程度の時間をいただけるかを確認する。

2,確認

苦情内容の詳細を確認します。

  • 苦情の受付年月日

  • 申出人氏名

  • 担当者名(対応職員)

  • 受付方法(面接、電話、手紙、その他)

  • 発生日時

  • 発生場所

  • 申出内容(職員の接遇 ・サービスの質や量・権利侵害・利用料 ・被害、損害・その他)

  • 発生状況

  • 現在の状況

  • 申出人の要望(調査してほしい ・回答してほしい・改善してほしい・謝罪してほしい ・被害、損害を賠償してほしい・話を聞いてほしい ・教えてほしい ・その他)

※苦情内容を「苦情受付書」に記入し、復唱する。必要に応じて、申出人の確認サインをもらう。

3,調 査

  • 苦情内容に沿って、その事柄と直接かかわっている職員に確認する。

  • 関係職員からも、事実関係を聴取する。

  • 必要に応じて、関係機関等を活用する。

4,記 録

  • 「苦情受付書」に、対応経過を記録する。

解決に向けて

解決に向けては、解決案の提示→解決案の実施→解決結果の記録→記録の保存、の順に行います。

(1)解決案の提示

  • 担当者は、受け付けた苦情を苦情解決責任者(以下「責任者」とする)に報告する。

  • 責任者は、苦情内容及び調査結果に基づいて解決案を作成し、申出人と話し合い、解決に努める。

  • 解決案について、必要に応じて第三者委員※からアドバイスを受ける。

  • 円満に苦情解決を図るため、責任者は申出人に対し、適宜、検討状況を報告する。

  • 解決が不調な場合、自治体の定める委員会、もしくは国民健康保険団体連合会等の機関を紹介し、苦情解決に当たる。

※第三者委員とは、苦情解決の社会性・透明性を確保するための、外部人間で構成される委員会

(2)解決案の実施

  • 合意した解決案を、迅速かつ確実に実施する。

(3)解決結果の記録

  • 担当者は、苦情受付から解決までの経過と結果を「苦情受付書」に記録する。

  • 責任者は、「苦情解決結果報告書」を迅速に作成し、申出人及び第三者委員に通知する。

  • 申出人に改善の約束をした場合は、責任者は「改善結果報告書」を作成し、申出人及び第三者委員へ通知する。

(4)記録の保存

  • 「苦情受付書」「苦情解決結果報告書」「改善結果報告書」の保存年限は、今後における事業の円滑な運営の資料とするため5年とする。

苦情対応をサービス向上のキッカケとする

苦情対応マニュアルは、利用者さんが「苦情を言うことで不利な扱いを受けるのではないか」と躊躇したりすることがないよう、苦情や相談を大切なものとして受け止める姿勢があることを伝えるものです。

苦情については、「あの人は言いそう…」などの先入観は待たず、現状を正確に把握し、その原因や背景を明らかにしましょう。

どんな苦情に対しても、解決にはまず現状の仕事の質を問い直し、高める契機にしていきます。

職員の対応に関する苦情は、職員への指導水準が問われる問題として受け止め、原因や背景、どうあったらいいのかを検討しましょう。

その結果によって、適宜、接遇研修や理念研修、面談などを通してサービスの質の向上を図ります。

利用者様同士の苦情についてはジャッジする姿勢ではなく、公平な態度と受容的態度を持ち、他のご利用者の気持ちを理解する契機になるよう取り組みます。

おわりに

いかがだったでしょうか。

今回は、苦情解決マニュアルをそのまま使える形でご紹介しました。

責任者の交代が激しいこの業界で、書類の不備はよく起こりがちです。

これを機にもう一度自施設の書類に不備がないか確認してみてはいかがでしょうか。

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