Google公式ドキュメントに学ぶSEO入門|SEOの誤解と上位表示に最も大事なこと
SEOに関するGoogleの公式ドキュメントを改めて読みました。前職ではSEOに携わっていましたが、ストリートワイズばかりで腰を据えて勉強したことがなかったので、このタイミングで全ページを網羅的に学習。新たな発見も多かったので、ここに共有します。
合わせて、これまでに上村が訪れたカリフォルニアのGoogle本社と、日本のGoogle法人の写真も載せますね。
SEOの3つの役割|上位表示だけではない
まず、自分が認識を新たにしたのは、SEOの役割には、大きく下記の3つがあると言うことです。
クロール/インデックスを制御する(サイトマップ、正規化など)
検索結果での表示のされ方を制御する(構造化、ガイドラインの遵守など)
ランキングを上げる(コンテンツ開発、Core Web Vitalなど)
「SEO=上位表示」でもなければ、全ての施策が「上位表示」につながるわけではありません。「何のページを検索結果に出すか」「どういう見せ方で出すか」という制御もSEOの取り組みになります。
「◯◯はSEOに効果がない」という文言は、実は「◯◯は上位表示に効果がない」という意味かもしれません。それでも、見せ方の制御やクロール/インデックスの制御に資するのであれば、それは立派なSEOです。
ランキングを上げる|コンテンツ、サイトエクスペリエンス
「コンテンツの質」が最重要ドライバー
とはいえ、皆さんが気になるのは上位表示の仕方だと思うので、この3つ目から話したいと思います。
ランキングを上げる最も重要なドライバーは、「コンテンツ」です。
とはいえ、何をすればコンテンツの質を上げられるのか、具体的な方針が欲しい方もいるかもしれません。
Googleは、コンテンツの自己評価のための質問を持っています。例えば、下記のような質問です。
こうした質問は、自身のコンテンツを評価し、改善点を見つけるのに役立ちます。
SEOといえば、サイトのHTMLの書き方や、外部リンクをいかに構築するか、ということにばかり目がいってしまうかもししれません。ただし、後述するように、HTMLの書き方の大半は上位表示のためではなく単にGoogleに認識してもらうためや、見え方を制御するための施策であり、外部リンクの有用性は、過去に比べて相対的に低くなっています。
なぜコンテンツが大事なのか。それを考えるもう一つのヒントに、「Googleが掲げる10の事実」があります。
これは、Googleがビジネスを行う中で発見し、日々検証している重要な事実で、その中には下記が含まれています。
ストイックですよね。コンテンツクリエイターにも同じようなバリューを求めているような気がしてなりません。特定のことに特化した、質の高いコンテンツにバリューを置いていることがわかります。
また、Fun factとして、Googleには検索結果の品質を評価する「検索品質評価者」という役割が存在し、人の目でページを評価して検索エンジンにフィードバックしているそうです。何かと舐めがちなアルゴリズムですが(ハックできるんじゃないかと思いがち。実際はそんなことないのだが)、しっかりと人の目も入っていることを考えると、ますます身が引き締まりますね。
検索品質評価ガイドライン:https://services.google.com/fh/files/misc/hsw-sqrg.pdf?hl=ja
速さを追求する「サイトエクスペリエンス」
Googleの10の事実には、下記のようなトピックもあります。
これは、Googleが上位順位で重視するもう一つの指標「サイトエクスペリエンス」に関係します。
サイトエクスペリエンスには、大きく「サイトのセキュリティ(HPPTS化)」と、「表示速度」の問題があるのですが、HTTPSは大半の企業ですでに採用されているので、問題は表示速度になります。
企業のサイトを診断していると、トップページの表示スピードが遅いサイトに多く出くわします。凝った動画や大きめの画像を入れがちなファーストビューですが、その表示速度にこだわることが上位表示につながります。
表示速度を含め、Googleが重視することを強く推奨しているのが、Core Web VItalsです。
本稿ではその詳細には触れませんが、コンテンツの「次点」として、技術的なテコ入れをするならここから手を入れるといいでしょう。
SEOの誤解|過去のベストプラクティス、今の最重要事項
黒魔術
かつて自分がSEOに関わっていた頃、「サイト内に特定のワードをもっと入れたい」と思い、デザイナーさんに相談したら、後から「いまだにそんな黒魔術が本当に有効なのか・・?」みたいなことを言われたことがありました(デザイン性を少し損ねる依頼だったので、さもありなん・・・)
デザイナーさんの言う通りで、サイト内のキーワード数などは、Googleは考慮していません。当時の自分は知りませんでした。
このように、「Googleが重要でないと考えること」と言うのも、検索セントラルに明記されています。「ドメイン名や URL パスの中のキーワード」「サブドメインかサブディレクトリか」「見出しの数や順序」なども重要ではありません。的外れなSEOにコストをかけないためにも、一度目を通しておくことをお勧めします。
meta descriptionは何のために
SEOをちょっと齧った人なら、最初に確認するのはtitleやmeta descriptionでしょう。ここをページに合わせて書くことが重要、というのは分かっていると思います。
しかし、meta descriptionは何のために書くのでしょうか?少なくとも、表示順位を上げるためではありません。検索結果での見え方を制御するためです。meta descriptionは、検索結果のスニペットの表示候補になります。キーワードが含まれたコンテンツか、descriptionのどちらかがスニペットに出るのです。敢えて言えば、それだけのことです。
ちなみに、適切なmeta descriptionが「クリックスルー率を向上させる」可能性については、Googleのマット・カッツ氏が言及しています。(ただし、10年以上前の発言です)。ただそれが統計的に表された結果はありませんし、CTRは基本的に表示順位に相関して減少していきます。
ので、meta descriptionに過度な期待を持っても、結果につながりにくいので注意した方がよさそうです。ましてや、meta keywordはGoogleは参考にしていない、と明言しているので、キーワードについては、下手に追加してサイトの改修費用を上げるよりは、未記載だったとしてもスルーする方が賢明かもしれません。
そもそもHTMLの書き方はそこまで重要なのか
Google検索セントラルの「SEOスターターガイド」は今年に入ってリニューアルされました。
このリニューアルの裏話が聞けるのが、Google Searchチームが提供する「Search off the Record」です。
ここでは、スターターガイドのリニューアルにあたって、「HTTPS化」や「モバイルフレンドリー」の重要性を削除した、と語っています。理由は、先述の通り大半のウェブサイトは開設時からHTTPSであることが多く、サイト構築の際にもスマホを考慮することは当たり前になっているためです。時代の変化によって、サイトオーナーが重視すべき事項も変化してきました。
また、このエピソードではHTMLの構造化に関する重要な発言がありました。筆者で翻訳・要約すると下記のような内容です。
平均的なコンテンツクリエイターは、WordpressやWixなどのCMSを使ってコンテンツを作っています。彼らのツールにはすでにタイトルをつけたり、hタグを使った見出しを作る機能があるので、そこの心血を注いでも無駄なのです。Googleセントラルが「コンテンツの質」に最初に言及しているのも、そうした環境の変化によるものも大きそうです。
HTMLでむしろ大事なのは、「構造化データ」かと思います。これはレシピや求人表など特定のカテゴリのサイトにしか使えませんが、構造化を施すことでリッチリザルトへの表示がされやすくなり、実際にCVRが向上したというデータが出ています。該当するサイトオーナーの方は対応状況を確認した方が良さそうです。
価値提供への集中|Googleは答えを持っていない
まずは「公式の見解」を参考にしよう
今回調べてみて、Googleは実に多様なリソースを提供していることがわかりました。
まず、Google検索セントラルの「ドキュメント」。これを読むことで、SEOの全体像、何が重要で、どんなタスクがあるかを概観できます。
最新の情報は「ブログ」で追うことができます。先に出たような「descriptionをランキングの要因に考慮しない」などの重要な記載もたまに登場しますね。
もしも困ったら、「コミュニティ」で質問することもできます。風通しの良い質問サイトで、エキスパートからの回答がもらえます。コミュニティについて紹介するポッドキャストもありました。
そして先ほどから紹介しているポッドキャスト「Search Off the Record」。公式サイト、Spotify、Youtubeで聴けるほか、公式の文字起こしも出ています。すべて英語ですが、そんなに難しくない印象です(大意は伝わると思います)。
そして、「Googleオフィスアワー」ではユーザーの質問にGoogleの検索エキスパートが動画で回答します。Googleの日本法人も頑張って行っているようですね。
また、ツールとしてはお馴染みのサーチコンソールの他に、「ライトハウス」や「ページスピードインサイト」など、パフォーマンスを測定できるツールも提供されています。
至れり尽くせりです。ある程度自己解決(もしくは質問で解決できる)土壌が整っているわけですね。
Googleは答えを持っていない
ここまでのリソースを見てきて改めて思うのは、「Googleが答えを持っているわけではない」と言うことです。確かに、Googleとの相性のいいコードの書き方とかはありますが、Googleに評価されるには、コンテンツが大事であり、どんなコンテンツがいいかは、Googleがわかるはずがなく、自社の顧客に集中してこそ見えてくるものです。
そもそも、現代のWeb制作の環境で、テクニカルなSEOで上位表示に貢献できる幅がどのくらいあるのか、と言う疑問です。リソースを通して読んで、テクニカルSEOはマイナスをゼロにする一方で、コンテンツへの集中は、そこからプラスに行くための施策だなと感じました。そしてGoogleは言います「10. 「すばらしい」では足りない。」と(10の事実)。
実際、GoogleのAIや評価システムはとても優れていると思うのです。前職でGoogle広告を運用していて感じました。「P-MAX」がこんなにも素晴らしいのかと。データが数週間溜まったら、もうほとんど手放しで、意図した通りの成果を上げてくれます。自分がGoogleの技術に信頼を寄せた瞬間でした。
検索でも同じような素晴らしい技術が走っていると思います。多少技術的な穴があっても、コンテンツが素晴らしければ、Googleは評価していると思います。「神様は見ておられます」みたいな感じで恐縮なのですが、自分は神様は信じなくとも、Googleの技術は信じます(だって実際にgoogleがコンテンツが一番重要だって言ってるし)。
と言うことで、Googleの公式ドキュメントをもとにしたSEOの考え方について外観してきました。基本的には、自己評価の質問に照らし合わせながらコンテンツの開発に集中、次にサイトエクスペリエンス、構造化データ。クロール/インデックスはニーズが発生したタイミングでドキュメントを参照しながら都度対応。ただ技術的な部分になりすぎる場合は、エンジニアなどに任せた方が、マーケとしては良いリソースの配分の仕方かなと思います。