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歌舞伎に惚れたあの日から

私が歌舞伎にハマったのは今から4年前、2016年7月4日のことでした。因みに当時、大学2年生。


その時の話をする前に、ハマる前の私と歌舞伎の関わりについて、少しだけお話します。

初めて歌舞伎を観たのは、高校の授業で行った歌舞伎鑑賞教室でした。今思い出すと、1階席の真ん中あたりと、結構いい席だったんですよね。
けれど……第一部の「歌舞伎のみかた」は楽しんで観てたのですが…肝心の第二部は………しっかり寝ました…記憶が全くありません……

歌舞伎初体験を不意にした私
次に観たのは、高校3年生になる直前の3月。ある賞の景品として、歌舞伎座の招待券をいただきまして、1人で観に行きました。

席は2階席のほぼ真ん中。この時、顔と名前が一致する歌舞伎役者は「ラ・マンチャ」で知ってた松本幸四郎さん(現・白鸚さん)のみでしたが、しっかり話を予習したので、一睡もせず!どの話も面白かった記憶があります。あと売店のおばさまがたに凄く可愛がられた、というよりいいカモだった笑

この公演が深い意味を持っていたことを知ったのは、ちょうど1年後。実は三津五郎さんの復帰公演でした。

その後、大学では演劇学を専攻していたのもあり、歌舞伎に対する距離は、遠からず近からずの位置にありました。



そんな私が運命的な出会いをしたのが
2016年7月4日の夜
場所は新宿のピカデリー

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「歌舞伎NEXT 阿弖流爲」

歌舞伎役者と、劇団☆新感線の脚本家・中島かずきと演出家・いのうえひでのりがタッグを組んだ舞台です。これは舞台を収録し、映像化したもの。

平安初期の坂上田村麻呂と蝦夷の長・阿弖流爲の戦いが題材
阿弖流爲(染五郎さん、現・幸四郎さん)と田村麻呂(勘九郎さん)は、互いの技量を尊重し合う仲であったものの、大和と蝦夷の戦いに参加していきます。
阿弖流爲のかつての想い人・鈴鹿(七之助さん)らも巻き込みながら、朝廷と地方の部族(異民族)、家族間の対立、果ては神と人の対立を描いていきます。

実際に舞台を観た友人に勧められて、何気なく見に行きましたが…

結論から言うと、私の観劇人生の中で大きなターニングポイントとなりました。
「阿弖流爲」をきっかけに、歌舞伎と劇団☆新感線を観るようになり、新感線ではロックが心に与える刺激の虜となり、それが巡り巡って、第4の推しとの出会い(女王蜂)に繋がっていきました。

言うなれば、「阿弖流爲」は私にとって、罪深〜〜〜〜〜き大罪人


この作品の何がいいって、役者さんたちがみんなカッコいいこと!!!!!
ファンになった勘九郎さんと七之助さんを例に挙げると…(以下、オタク特有の早口)

勘九郎さんの田村麻呂は、真っ直ぐな心根の持ち主。顔の良さはもちろん、口にする言葉がかっこよすぎて惚れる。序盤、怪しい盗賊たちに斬りかかる時の「巻き込まれると…怪我するぜ」は絶品すぎて、巻き込まれたい(?)
豪快でありながら、若さ故の繊細さもある。楽しい時は心から笑い、大事の時はキリっとした佇まいで相手に挑む。そんな青年が、戦いを通して大きく成長し、舞台ではそこまで描いてないけど、国の政治を担う人物になる姿まで想像できてしまう。
新感線らしい「漫画的なキャラ」ですが、それが本人とぴったり合っていた。これは優勝間違いなしです。


対して、七之助さんは1人2役。
自ら剣を持って戦う女戦士「立烏帽子」と、優しさと愛らしさを持つ女性「鈴鹿」を演じています。

物語の核を担っているので、あまり書けませんが、とにかくこの2人のギャップにビックリしました。性格も行動も真反対な2人を的確に演じ分ける、その技量。あまりに美しすぎて、時々彼女の隣に立つ阿弖流爲や田村麻呂に嫉妬してしまうほどです。


そして舞台を支えるのが、歌舞伎の底力

この舞台では、歌舞伎らしい宙乗りや水を使った演出は一切使っていません。セリフも芝居のテンポ(一部を除き)も全て現代調。

それでも見得や七五調の名乗りや、花道での引っ込みなど、歌舞伎独特の演出が随所に散りばめられ、それが物語の邪魔をせずに使われている。「とりあえず歌舞伎らしいの入れておけばOK」みたいな安易な頼り方をせず、敬意を表した上で使われています。だから役者さんたちの格好良さがきちんと引き出されいるのです。

もちろん新作だから「これは歌舞伎なのか論争」は勃発するけど、私自身は、舞台としての新しさと歌舞伎が持つ芸の面白さに胸がドキドキし、「歌舞伎って面白いかも!」と映画館でワクワクしました。

あまりに舞台に夢中なったため、ラストはずっと大号泣。真夜中の新宿を泣きじゃくりながら歩きました。(終演時間は上記の写真の通り)



一目惚れしたあの日から
歌舞伎好きの友人に教えを乞い、納涼歌舞伎で初めて自らチケットを取り、兄弟のご尊顔を拝し

歌舞伎関係の本を読みあさり、親には「まさか我が家で歌舞伎の番組を見ることになるとは」と驚かれるほど熱中し

新作も古典も、花形中心の公演も、重鎮が集った公演も、地方の公演も観に行き

日本舞踊も習い始め



あの日から確実に
私と演劇の繋がりは広く深くなりました

日本の演劇の根底には、能や狂言や歌舞伎が根付いている。

現代演劇を見ていても、その影響を垣間見ることがあります。

同時に歌舞伎も進化をし続けています。

歌舞伎の進化がどこへ通じるのか
どのような姿を見せてくれるのか

歌舞伎という無限の可能性を秘めた演劇に、私はこれからも期待を込めてBETしますし、応援し続けていきたいです。



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