意識

相手が意識してないものを意識させてしまうことで悪影響になることもある。

肩こりって本人に自覚がないなら
肩を触った人が主観的な判断で、
「肩凝ってますね。」
とか言わないほうがいいと思う。
実際、触ってみると、
張ってるとか硬いとか何かしらの感覚はあると思う。
でも、張ってるから、硬いからといって、
本人が肩凝りの症状があるとは限らない。

業界的の風潮として、
張っているもの、硬さがあるものは緩める。
柔軟性が乏しければ、ストレッチとかをして柔軟性を得る。

前屈で床を触れなくても、踵がついた状態でしゃがめなくても、
体に不調がない人はたくさんいる。
それらは症状の絶対的な原因ではなく、
一要因、もしくは全く関係ないかもしれない。

何でもかんでも緩める、ほぐすみたいな考えはやめたほうがいい。
実際、緩めたあとは楽になった感じがしても、夜には怠さが出たみたいな話も
患者さんから聞かないだろうか?
もちろん緩めたことだけが原因にはならない。
1分1秒行動をチェックしているわけではないので。

ただ、
患者さんの立場からすると、普段どおりの生活(無意識)の中に、
今までと違う行動(施術)が入ってくると、
不調の原因として最初に必然的に浮かぶのは施術だろう。

正直、施術の効果はやってみないとわからない。
患者さんに合う合わないもあるだろう。
ただ単に間違っていただけかもしれない。
短期で効果が出るものではないかもしれない。
ただ、そんなものは患者にはわからない。
良くなるものだと思っているから。

何が言いたいかというと、
事前の説明が重要になってくるということ。
患者に介入の意図、今後の辿るであろう過程の説明。
とにかく説明が大事。
細かい説明というのは、
患者からの信頼と自分を守る手段でもあるとおもっている。

自分を守るとはどういうことか?
前提として、これといった正解の介入方法はないということをあらかじめ伝えておく。
この疾患にはこれといった一般的に知られている運動や施術があるが、
それがすべての人に当てはまるわけではないのはわかるだろう。
評価、鑑別、画像診断等で疾患名がわかっても症状と合致しないこともあるだろう。
わかりやすい例でいくと、
椎間板ヘルニア、狭窄症、分離症などは画像所見で明らかになっても、無症状な人はたくさんいる。
患者は医者や権威性の高い人の言うことへの信頼はかなりおおきい。
信じて疑わないのだ。いや、信じるしか術がないのかもしれない。

自分は何でも知っていて、問題ないという人はいいが、
そうではない場合は、原因はこれだと断定するような発言は控えたほうがいい。
「評価の結果、この可能性が高いので、ここからアプローチしてみましょう。」
効果がみられない場合はそれは違った。ならまた別の線で考えればいい。
(その線は消えた。選択肢が絞られたということ。)
一回で良くしようとするから、効果がなかった時に焦ってしまう。
(1回で良くなることに越したことはないが、そうならないことのほうが多いと感じる)
常に先のことを考え、保険をかけておくことが大事。
患者の要望に100%応えられるセラピストはおそらくいない。
(応えようとする姿勢は大事だが、理想と現実の区別ぐらいはできたほうがいいとおもっている。)
だから正直に言う方が後々楽だと思う。

レントゲンではヘルニアの所見があるけど、症状がない人も沢山いる。
現状、可能性がたかいのはこれだが、実際やってみないとわからない。
あまり変わらない可能性もある。もしそうだったらまた別の方法を考えましょう。
常に逃げ道を残しておく。

人は構造上の問題と精神的な問題の両方が複雑に絡み合って症状を引き起こすこともある。
仕事、家庭などでのストレスが絡んでくると、こちらがどれだけ構造にアプローチしてもたかが知れてしまう。
「仕事を辞めれば」とも簡単には言えない。
そして、不調の原因が身体以外にあるかもとは思っていないことが殆ど。
だからこそ、原因と思われる構造上のものが見つかっても断定せずに、
あらゆる可能性を模索し、あくまで可能性の範囲内で介入をすすめることが必要になってくると僕はかんがえている。

患者を守るためには、自分を守ることが大事なのではないかと思う。

最初の話に戻るけど、
肩凝りだと感じてない人に、
「肩凝ってますねー。」
とか言いながら肩揉みとかする人いるかも知りませんが、
それきっかけでかは知らないけど、
肩凝りを感じるようになったり、
肩凝りなのかなみたいに不安になる人もいるから、
触って凝ってるように感じるからって安易に言わないほうがいい。
「私、肩凝ってるんですー。」
「私の肩凝ってますか?」
って聞いてきた時に初めて答えるくらいでいい。
「確かに張りみたいなのは感じます。」
「肩凝りって感じるような症状がでたら肩凝りだとおもいます。実際、張ってるぐらいがベストな人もいると思いますし、柔らかい感じの人でも怠さを感じている人もいます。正直さわっただけでは肩凝りかどうかはわかりません。」
みたいな感じで患者さんやその空間の雰囲気ではなしてます。

セラピストの主観だけでは判断しないことをおすすめします。

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