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母の幸せなんてチョロいのだ

「俺、今日は脇役に徹するから」
さわやかな笑顔と共にそう言って出かけた息子の

そのたった一言に、

成長を感じてジーーーーーんと心が震え
胸がいっぱいになる。

母親の役得です。

なんのこっちゃと思われるでしょうが
なんのこっちゃない日常の
たった数秒のワンシーンで
こんなにも子は母を
「幸せで満ち足りた気持ちにさせることが出来る」
ということを、ちょっと言いたくなったのです。


∞∞∞∞∞


次男の中学最後の文化祭でした。 

文化祭のメインはクラス対抗の合唱コンクール。
彼の母校は私の母校でもあるので、
懐かしい青春の一コマを思い出し 
思い出のストーリーと重ねながら見るそれは
様々な思いが交錯します。

クラスが一丸となって
みんなで、みんなのために。

中学校って勉強よりも
そういうことをガッツリやり切る場だった気がします。

クラス活動も部活も生徒会も、
あの頃ちゃんと真面目に
ガツっと青春できて良かったなと思う
心をくすぐる清い思い出です。

だから余計にかもしれませんが、

今しか経験できないことを
とにかくやってみるといい。

いつもそのように伝えたくなります。


∞∞∞∞∞


この文化祭では「名人劇場」という、
有志が得意なことを
ステージで発表する時間が設けられています。
私が中学生のころからずっとある伝統行事。 

息子の今年の「やりたいこと」は
この「名人劇場」に参加すること。
実は1年越しで温めていた思いです。

「ドラムで出たい」
「部活のみんなで参加したい」
そのように思っていたようですが、
メンバーが揃わず昨年は見送り。

ひとりで出たら早い話だけれど、
「それはちょっと違うんだよな」と
ずっとウダウダ言っていたわけです(一年間も)笑

そしていよいよ最後の文化祭。
満を持して、お友達と参加することになりました。


∞∞∞∞∞


息子はドラム
お友達はグランドピアノ
楽曲は「銀河鉄道999」

我が家にはドラムがあるわけではなく
練習はスタジオを借りなければなりません。

いつものドラムレッスン30分×2回
自主練1時間を1回

どうやってもその位しか組み込むことが出来ず
しかもお友達との合わせ練習はなし。

リハーサルが初合わせで
その2日後には本場。

なかなかのチャレンジです。


∞∞∞∞∞


そしてリハーサルの日。

帰宅し開口一番に
「ヤバイーーー。今日の出来3点!」と
反省点を次々上げていく息子。

そのほとんどは対策できると言い切りましたが、
ひとつだけ、重大な事が。

「相手の音が全く聞こえない」

ピアノにはマイクを立てて下さったようですが
それでも全く聞こえず、
結果音がズレまくったようでした。

ドラムとグランドピアノでは
音量に差がありすぎる。

実はこのことは既にドラムの先生からご指導頂き
対策として、普段のスティックではないロッドという
音が出にくいスティックを借りていたのです。

しかしどうやらそれを使わずに
普段のスティックで叩いた様子。
絶対無理だよって言われたじゃん?

でもそこに、
息子なりの葛藤があったようで。

∞∞∞∞∞


当然ながら、スティックでドカドカ叩いた方が
盛り上がるしカッコいい。

難しいと言われた曲を短時間で必死に覚えたのだから、
自分のドラムを聴かせたい。
バシッとキメたい。
そのような気持ちを持つことは自然なことではないでしょうか。

しかしそれでは成り立たないのもわかっている。
何よりも、友達と一緒に出たいと望んでいたのは
彼自身です。

ドラムのカッコ良さはそのままで
何とか合わせる方法はないのかと
あーだ、こーだ、
でもなぁ、でもなぁ、と心が決まらない。

そうだよね、中3男子、
カッコいい俺をみて欲しいよね。


∞∞∞∞∞


「そもそも、なんで名人劇場に出たかったんだっけ?」

彼の中の答えはずっとひとつだったはず。

「みんなで楽しみたいんだ」


∞∞∞∞∞


そして迎えた当日の朝。
いつものように見送る玄関先で、

「俺、今日は脇役に徹するから」
さわやかな笑顔とともにそう言って彼は出ていった。

そのひと言に、

「あー、また成長したなぁ」と
胸がいっぱいになったのです。

上手く出来るようにとか
失敗しないようにとか、
そんなことももうどうでも良い。

だってもうすでに、こんなにも魅せてくれたから。

∞∞∞∞∞

いよいよ本番。
大昔の私の時代とは違い
保護者の観覧も多く体育館は結構いっぱい。

参加しているどの子もどのグループも素晴らしいな。
発表するってそれだけで、本当に尊い。

息子の出番がやって来た。
黄色い声援ならぬゴツい応援が飛んだ。
そうやって名前を叫んでくれる友達がいることにも
心がジワッとあったかくなる。

メーテルに扮した教頭先生が、ボーカルを務めて下さったこともあり、とっても盛り上がりをみせた。

視力が悪いくせに1番後ろで見ていた私には
正直あまり見えてはいなかったけど
(ごめん、息子よ)
見えていなくてもその姿には
めちゃくちゃ笑顔が溢れているように感じとれた。

スマホで撮ったビデオもイマイチボヤけているけれど、
きっとこの先何度も何度も見返してはニヤニヤしちゃうだろうな。

ドカンと目立つことをしなくても
真ん中だろうが
脇だろうが
なんだろうが

いつだって母の目には
君がいちばん輝いて見えるのだ。

成長する姿を見せてくれてありがとう!


∞∞∞∞∞∞


親にとってそんな存在になれなかったことに罪悪感を抱えていた私の話はこちら↓

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