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「スワヒリ語なんか勉強して何になるの?」への私の答え

タンザニアにきて、スワヒリ語を勉強しています。

スワヒリ語を勉強しても、中国語や英語と違って、あまり使えないじゃない?って思う方もいるかもしれません。しかし、スワヒリ語を勉強することの良さは言葉を学ぶこと、だけじゃないんです。

外国語を勉強することは、その言葉を作り上げたその地域の文化や価値観も知ることになります。つまり、新しいものの見方ができるようになったり、自分の母国語についても新しい発見があったりします。

スワヒリ語じゃなくてもいいんです。英語でも、韓国語でも、または地方の方言でも、自分が慣れ親しんだ違う言葉に触れることの良さは測りしれません。

今回は、日本人の価値観を持った私がスワヒリ語を学んでびっくりしたことを紹介します。あなたのもつ「当たり前」を考え直すきっかけになるかもしれません。

家族の意味

スワヒリ語では、親族の呼び方にこだわりがあります。そのわかりやすい例は、自分の叔父さん、叔母さん(両親の兄弟)の呼び方が、それぞれ異なることです。

日本語だと、父親の兄は「おじさん」、母親の兄も「おじさん」。英語も同じ「アンクル」です。

しかし、スワヒリ語では、「父親の兄」「父親の弟」「母親の兄」「母親の弟」と全て呼び名が異なります。具体的に、その人は親族の中のどの立場にいるのかを明確にしています。

この呼び方を知った時、ここまで明確にする必要はないのではないか、「おじさん」「おばさん」にしてくれれば、単語を覚えるのが簡単なのにな~くらいに思っていました。

しかし、これは、スワヒリ語圏の文化、家族の役割がとても大切だということを象徴したものです。

こういった親族の呼び方へのこだわりは、家族の意味を示しています。
1つ屋根の下で一緒に暮らす家族だけではなく、遠い親戚を含めた大きなグループを「家族」として、その家族の誰かが困っていたら、金銭面を含め、手助けしあう、という「タンザニアの家族」の価値観を示しています。

女性の社会的立場

「結婚する」は、スワヒリ語で「~oana」と言いますが、この主語に来るのは常に「男性」です。つまり、「結婚する」ということの主体性はいつも男性にあり、女性を「結婚」をしてもらう対象物という感じでしょうか。

女性を主語にする場合は、動詞は受け身の形となり「女性は、男性に、結婚をしてもらった」という表現になります。

私のスワヒリ語の先生は、女性ですが、彼女はこう指摘しています。
「この動詞は、女性が、オブジェクト(もの)として扱われている我々の文化を示している。タンザニアで女性の地位がまだ低いことがよくわかる単語だ。」

日本には、ここまで露骨なものはないかもしれませんが、女性の社会的地位を示す表現はあるかもしれないと、自分の国について考えるきっかけとなりました。

おもてなしの心

こちらにきて、理解に時間がかかった言葉に「カリブ」があります。カリブの直訳は「どういたしまして」なので、「ありがとう」と言ったら「カリブ」とかえってきます。ここまでは理解できるのです。

お店に行っても「カリブ」、警備のおじさんがドアを開けてくれた時も「カリブ」、タクシーに乗った時も運転手さんが「カリブ」。

「???カリブって、どういたしましてって意味じゃないの?」あっちこっちで、このカリブが現われて、私はこの単語の使い方を混乱していました。

ある時、日本語だと「すみません」に近いのかなと考えるようになりました。日本では、ごめんなさいという意味でなくても、感謝を表す時や、ちょっとしたあいさつで「すみませ~ん。」と言いますよね。ああいう、ニュアンスなのかなと。

カリブは、「どういたしまして」以外にも、「ようこそ」という意味もあるので、タンザニアの人たちは、相手へのおもてなしの気持ちから、「カリブ」を連発するのだと、私は理解しています。

タンザニア人の人たちはとっても優しいです。日本人にちょっと似た遠慮の文化もあると聞きます。出た杭は打たれる的なところがあり、自己主張はあまりしない印象です。

この国民性が毎日あちこちで聞かれる「カリブ~」に現れています。

まとめ
最初は、買い物でちょっとでも使えたら楽しいと思って学び始めたスワヒリ語でしたが、実用的以上の価値を感じています。

あなたも、自分の言葉以外を学ぶ機会があったら
ぜひ積極的にチャンレンジしてみることをお勧めします。

きっとあなたの世界が広がります。


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