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余命を知って気づいたこと

先日、義理父がALS(手足・のど・舌の筋肉がやせて力がなくなっていく病気)と診断され、余命2年であることがわかりました。

義理父とは言っても、まるで自分の父親のように接してくれてきた人でした。そして、私の子供たちにとっては、いつも冗談ばかり言っていて、笑いの絶えない時間を過ごせるおもしろくて優しいおじいちゃん。

まだ自分の両親が健康でいてくれる私にとって、この義理父(以下、「おじいちゃん」)の病気は、「身近にいる大切な人がもうすぐいなくなってしまう」ことがどういうことなのか、どうやって時間を過ごすべきかを真剣に考えるきっかけとなりました。


1秒1秒が大切なものに

アフリカに住む私たち家族は、定期的に、遠くに住むおじいちゃんとビデオ電話をしていました。それでも、私は夕飯の支度をしていたり、他にやることがあったりと、毎回顔を出してこのビデオ電話に参加していたわけではありません。

今は、彼との時間が限られたものだとわかり、毎回のビデオ電話では、必ず顔を出しています。そこで感じることは「余命がわかる前から、大切な人との時間は一緒に過ごさないといけないよね」という当たり前のこと。

そして、おじいちゃんと過ごせる時間があと少ししかないことをまだ知らない子供たちは、いつものように、ビデオ電話の会話中にいなくなったりします。今の、私から見ると「限られた時間なんだから、おじいちゃんに顔を見せてあげて!!彼との時間はもう残されてないのよ」と、やきもきとします。ちょっと前の自分も同じように、この時間をそこまで大切にはしていなかったのに。

自分のこの意識が変わった時に、少し前に読んだ本を思い出しました。『人が死ぬ時に後悔するトップは、大切な人ともっと時間を過ごせばよかったというもの。人生で大切なことは、お金でも仕事でもなく、大切な人とどれだけ楽しい時間を過ごすかだ』というようなことが書いてありました。読んでいて納得はしたけれど、家族の余命を知った今は、実感を持って本当にその通りだな、と感じます。

こちらがその本の紹介。

悲しんだ後はこれからのプランを

60代後半のおじいちゃんは、いつもおやじギャグを連発し家族から「おもしろくないよ」と冷たくあしらわれる、そんなキャラで、笑いを振りまくタイプの人です。

おじいちゃんは坊主頭なのですが、自身は髪型の理由を私の子供たちにこう説明しています。

「ある時、鉄板焼きレストランに行って、目の前でエビを焼いてもらったら、その火でおじいちゃんの髪の毛が全部燃えたんだよ…」

4歳の息子は、まだ、この話を本当だと思っているふしがあります。

おじいちゃんと4歳の息子

いつも楽しいことばかり言っていたおじいちゃんですが、ALSだとわかってからは、いつもよりも元気がないのです。今はまだ、私たちも気を引き締めていないと、ビデオ電話をしている時に、そんなおじいちゃんを見て、涙が出そうになります。でも、子供の前でそんな姿を見せるわけにはいきません。

ある時は「今はほとんど問題ないんだけれど、これからどんどん体が弱っていくと思うと怖くて仕方ないよ」と言っていたおじいちゃん。そりゃそうですよね。そんな弱音も普通に私たちに話してくれるところに、彼の強さを感じます。

おじいちゃんとおばあちゃんの2人はもともと旅行好きで、私たちの住むタンザニアにも2回も遊びに来ています。残り数年の間も、「できるだけたくさんの町に行きたい」といって、二人でこれから訪問したい町のリストを作っています。

悲しいニュースだけれど、2人は現実を受け入れて、残りの一緒に過ごせる時間に人生をめいっぱい楽しむためにできることのプランを立てています。

子供たちへの「余命」の説明

夫と考えているのが、おじいちゃんが大好きな4歳と7歳の子供たちにこのことをどう伝えるべきかということ。特に7歳の娘は、「死」という概念を最近よく考えるようなので、彼女にどう説明したらいいのだろうか、悩んでいます。

こういったことにどう対処したらいいのか、カウンセリングやセラピーのようなものを受けたほうがいいのか、そこまでしなくても、家族会議をして
伝えればいいのか。

まだ模索中です。

おわりに

おじいちゃんの余命を知ったことで、改めて、自分の周りにいる大切な人たちとの時間が無限ではないことに気づかされました。

月並みではありますが、人生を豊かにしてくれるものは、お金でも仕事でも名誉でもなく、大切な人とどれだけ豊かな時間を過ごせたか、本当にそう思います。

今回のことは悲しいニュースではありますが『人生で本当に大切なこと』を忘れないように、自分の最期の時に後悔がないように生きていきたいなと改めて思った出来事でした。

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・note: ほりとも@タンザニア在住ライター


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