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コスパで考える学歴攻略法(新潮新書)

藤沢数希さんが、日本の教育制度(学歴社会)について書いた本。

著者は、中学受験をしていないものの、大学時代に中学受験の塾講師をやっていたようで、その際に日本の教育システムの素晴らしさに気づいた、とのこと。

自分は中学受験なんて存在しない田舎出身だけれど、現在の住んでいる地域が半分くらいは中学受験をするようで、息子(1歳児)のためにもどういった状況なのか勉強しようと手に取った。

興味深かった点は、下記三点。

一点目が中学受験をすると、中高一貫校に通うことになり、教育費が1千万円ほど余計にかかるが、それにて得られる大学の学歴は、プラス3程度であるとのこと。例えば、MARCHが早慶になったり、早慶が東大になったりする程度の結果となるようだ。これはあくまでも平均であり、もちろん例外もあるものの、平均するとその程度の結果にしかならないとのことだ。

個人的にはそこまでお金をかけて、時間もかけて、その程度にしかならないのか、と思ってしまった。もっと中学受験には魔法的な魅力があるのかと思ったがそうではないようだ。

二点目が最近日本の医学部が、とても難しくなっている、とのこと。表現は適切か分からないが、医師の跡取りがお金を払って行くような、偏差値は低いが学費の高い医学部が昔はあったのだが、今では相当の学力がないと入れなくなっているとのこと。

これはファイナンス理論から考えても理に適っていて、大学を出ても平均年収が7百万である状況で、医師の平均年収がその倍の1千4百万円であれば、高い学費を払っても、その対価は正当化される。

三点目が、中学受験、いや日本の初等教育が世界で最高レベルであり、競争的である。にも拘わらず、大人の企業社会は社会主義的であり、競争が進んでおらず、世界で負けているとの批判である。

中学受験は算数が肝であるようだが、確かに中学受験をしていた人は、受験テクニック的なところだけでなく、問題を解く自力が違っていたように思う。
また、本来は大人からが勝負で競争が促進されなければならないのに、日本の企業社会は社会主義的という批判は的を得ていると思った。

まとめると、この本を読んで自分の息子に中学受験をさせるのが良いのかどうかますます分からなくなった。本人次第だと思うけれど、小学生の頃から勉強する習慣をつけられるという点と、良い友達が出来そうという点を考えれば受けさせても良いかもしれない。

全ては本人次第だが、良い大学に行くよりも、出来れば理系でエンジニアとして自立していってほしい、というのが個人的な希望である。

僕のような田舎から出てきていて、都会の中学受験の事情を知らない人にはお勧めの本である。




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