Tomo Shikata @ WiL

Venture Capitalist | Georgetown → GE → STRI…

Tomo Shikata @ WiL

Venture Capitalist | Georgetown → GE → STRIVE → WiL | Twitter: https://twitter.com/tomo4kata

最近の記事

日本発グローバルIPの勝ち筋

私事ですが、今月で30歳になりました。 ニュースでは失われた30年と呼ばれる期間の中で人生のすべてを過ごしてきた世代というわけだが、その30年の中で日本で起こった一番のイノベーションは何か?と問われたら、皆さんは何を思い浮かべるだろうか?個人的には「日本発グローバルIPの誕生」と答える。さらに具体名を出すと「ポケモン」だ。 ポケモンは、世界中のキャラクター経済圏の中でも最も大きな$92B(約13兆円)というビジネスであり、20世紀におけるライセンスビジネスの最高傑作だ。ゲ

    • 生成AI勃興の裏で加熱するトレンド"e/acc"とは?社会の分断を防ぐために理解すべきことと、日本への示唆

      2023年を振り返った時に、AIがコンシューマーにとって初めて実用的になった年だったと記憶されることは間違いないだろう。AIの基礎技術自体は40年以上も前から発展し続けてきた。しかし、あるテクノロジーが世の中のメインストリームになるには、誰もがその力を目の前で直接見ることができる消費者向けのインターフェイスが必要だ。それがスマホにおけるiPhoneであり、遡るとウェブブラウザにおけるNetscape(Mosaic)であり、今回の生成AIではChatGPTだった。 生成AIの

      • VCがESG投資に取り組まない理由がなくなる日は近い

        ESG、SDGs、インパクト投資、サステナビリティ、、、 ここ数年で聞くようになったこれらの用語はそれぞれの違いは分かりにくいし、上場企業がブランドイメージ向上のために叫んでいるだけではないかという少し穿った見方もしていた時期もあり、なぜここまで盛り上がっているのか、本質的な理由が分からないというのが正直な私の感想でした。 一方で、2020年半ばから海外VCの動きを見ていると、気候変動特化ファンドや明確なESG投資の方針を掲げるファンドが明らかに増え、これは潮目が何か変わ

        • Community-led Growth:コミュニティがテック企業の成長に不可欠なワケ

          Community / kəmjúːnəti [名]  The condition of sharing or having certain attitudes and interests in common (共通した考え方や利害を持っている/共有している状態)                          — Oxford dictionary スタートアップ界隈の方であれば、昨今Marketing/Sales-led Growthに代わるコンセプトである、Prod

        日本発グローバルIPの勝ち筋

          【解体新書】Notion編 ~ 社員数たった50人の会社がユニコーンになれた秘密 ~

          『解体新書』と題し、急成長するスタートアップ企業を徹底解剖するシリーズの第1回としてNotionについて書こうと思います。 (このシリーズが面白いと思ったり、別の企業について書いてほしいという方はぜひこのnoteへのスキや、Twitterのフォロー、シェアをなにとぞ🙇‍♂️) Notionを知らない方にざっくりとした説明をすると、なんでもできる超多機能情報管理ツール。昨年くらいからものすごい熱量の高いファンがいるサービスだなーと思っていて、自分も年初から使うようになり、今で

          【解体新書】Notion編 ~ 社員数たった50人の会社がユニコーンになれた秘密 ~

          Zoom, Shopify, Peloton... 爆伸びしたサービスの成長はPostコロナも続くか?

          この1‐2ヶ月、ベンチャー界隈ではコストカット、ランウェイの延長、黒字化といったワードで埋め尽くされた。多くの業界は売上が落ちて事業がストップしたり、セールスサイクルが長くなるというネガティブな影響がみられる。 その一方で、オンライン中心で運営されてきたビジネスやリモートワークを実現・サポートするサービスは指数関数的な成長を見せており、「ショック」を「チャンス」へと変えた企業もある。 こうしたポジティブな影響を受けたりや変革を実現した事業の成長は短期的なものなのか、またそ

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          セルフサーブ/Product-Led Growth型SaaSに営業は必要なのか?

          SaaSの営業戦略を語る上で必ず問題になる「エンタープライズ(大企業)、SMB(中小企業)のどちらを軸に山を登るか」。 そもそもB2Bスタートアップが拡大するのに時間がかかるのは、以下の4つの制約によるところが大きい: ● 市場でのプロダクトの認知 ● 営業キャパシティ ● CSキャパシティ ● 上記3点を解決する資金 これらの制約を乗り越えて指数関数的な成長を実現するには、セルフサーブ型(Product-led Growth)OR  Day 1からエンタープライズ開拓

          セルフサーブ/Product-Led Growth型SaaSに営業は必要なのか?

          a16zが考えるこれからのAIビジネスのリアルと5つの勝ち筋

          SaaSがオンプレミスソフトウェアと比較した時に全く新しい事業構造を生み出したようにように、AIは本質的に新しいビジネスモデルを創造しました。 今回はa16zの記事の意訳をベースに、AIビジネスが今までのソフトウェアビジネスとどのように異なり、その違いや課題をどのようにクリアし、より強いビジネスを作れるのかについての考察したいと思います。 ソフトウェア+プロフェッショナルサービス=AI?ソフトウェアの美しさは、一度作られれば何度も売ることができること。この特性はビジネス上

          a16zが考えるこれからのAIビジネスのリアルと5つの勝ち筋

          SaaSのステージ別プライシング戦略

          これだけサイエンスがされているSaaSの中でもプライシングはアートの要素が多く、確立された方法論がないため、色んな起業家とディスカッションしてて多くの方が頭を悩ませることが多いと感じる。 今回はシード・アーリー、ミドル、レイターと段階ごとにどのようにプライシングに取り組むべきかという実践的な内容をまとめてみた。 見過ごされがちなSaaSのプライシングの重要性SaaSビジネスに関する国内外の情報を探すと、The Modelなどの顧客獲得やリテンション関連のものが多い。実際、

          SaaSのステージ別プライシング戦略

          国内SaaS企業の資本効率性と「リーンなスタートアップ」の再評価

          先日TechCrunchで「SaaS 21社のIPOから得られた資本効率に関する教訓」という記事がSNSで話題になっていた。内容を簡単にまとめると... ・IPO前に調達された資本金額は、中央値の企業のARRをわずかに上回っていた ・キャッシュバーンは調達した資本金額とは大きく異なる場合があり、資本効率のより正確な尺度である ・「Rule of 40」の指標でみた最も健全なSaaS企業は、多くの場合最も資本効率が高い 経済の先行きが読めない中でも市場に評価され続けるかどう

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          海外/国内の潮流から見る2020年の10個のVC的注目トレンド・投資領域

          遅ればせながら、あけおめでございます。 2020年になり、最近海外を見ていて悶々と考えているいくつかのトレンドや投資したい領域、未来予想を徒然なるままに書きなぐってみました。今後いくつかのテーマはより深く書いてみようと思いますが、気になるテーマがありましたらぜひ以下の連絡先までご連絡を! https://twitter.com/tomo4kata では早速… ①失業率という数値は意味がなくなる“How the Economic Machine Works”というYou

          海外/国内の潮流から見る2020年の10個のVC的注目トレンド・投資領域

          次のSaaSトレンド!Slack、Zoomが実践する"Product-Led Growth"とは?

          Slack、Zoom、Dropbox、SurveyMonkey、Docusign… 2018年から2019年にかけて上場した上記の米国の主要なSaaS企業には一つ特徴がある。それはどの企業も、昨年あたりから米国のSaaSスタートアップ界隈で広まっている"Product-Led Growth"という成長モデルを実践している点だ。 この概念を実際に実現するには様々なハードルをクリアする必要があるものの、日本のSaaS企業にとっても参考になる部分があると思うので、本記事で紹介し

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          「Secrets of Sand Hill Road」を読んでみた - Part 2:起業家が知るべきVCからの資金調達

          前回の記事「起業家が知るべきVCの内情と選び方」に続くSecrets of Sand Hill Road読んでみた第2弾。 <ざっくりまとめ> ● 調達額は株を放出しすぎるほど大きすぎても、事業の目標達成ができないほど小さすぎてもダメ ● 資本構成がおかしいと経営陣やそのラウンドの投資家は当然のことながら、従業員のモチベーションにもかかわり、次の投資家も出資を渋る ● 一般的(10-20%の希薄化+適正バリュエーション+プレーンなタームシート条項)ではない資金調達をするのは

          「Secrets of Sand Hill Road」を読んでみた - Part 2:起業家が知るべきVCからの資金調達

          「Secrets of Sand Hill Road」を読んでみた - Part 1:起業家が知るべきVCの内情と選び方

          トップVC a16z所属のScott Kuporが執筆したSecrets of Sand Hill Roadが今月発売されました!VCにとっての良い教科書という印象が個人的には強い本ですが、起業家にとっても役立つ知識があると思い、YouTubeのインタビュー動画と組み合わせてまとめてみました。 第1弾は「VCについて知っておくべき知識と選び方」編。 日本のスタートアップ業界は盛り上がり、起業は少しずつ科学されつつあるものの、VCという存在はまだまだベールに包まれていて情報

          「Secrets of Sand Hill Road」を読んでみた - Part 1:起業家が知るべきVCの内情と選び方

          「モノよりコト」時代のサブスク - リアル店舗の定額サービスに注目

          サブスクリプションは今や多くのIT企業にとってメジャーなビジネスモデルの一つになっている。一方で、リアル店舗などの暮らしにおけるサブスクリプションは海外でようやく広がり始めている段階にある。今回はどんなリアル店舗×サブスクのモデルが日本ではうまくいくのか、何が成功要因になりえるのかについて考えてみた。 サブスクリプション・エコノミーの広がり従来の売るまでを重視する商品売り切り型と違い、継続課金してくれる顧客との長期にわたる関係を重視したサブスクリプション型のビジネスはあちこ

          「モノよりコト」時代のサブスク - リアル店舗の定額サービスに注目

          SaaS with Service - "ソフトウェアxコンサル"の可能性

          2018年はSaaS元年SaaSが米国で普及し始めてから15年以上経ち、2018年は日本でもレイトマジョリティー層まで広がった「SaaS元年」だった。 弊社の投資先でもあるスマートキャンプ社がまとめた、職種別で区分けされた「Horizontal SaaS」サービスのカオスマップは以下の通り。見事に様々な領域が埋め尽くされており、本当に元年なのかと言いたくなるレベルである。 ホワイトスペースがなくなっていそうに見えるHorizontal SaaSだが、この記事ではこれから増

          SaaS with Service - "ソフトウェアxコンサル"の可能性