京都・かもがわアートライン
#06:アート/川の流れに沿ってアートを楽しむ
京都市内のやや東、南北に流れる鴨川。休日ともなると周辺住民や多くの観光客が集い賑っています。学生時代を過ごしたこの地を改めて歩いてみると、多くの美術館や神社仏閣など流れに沿って存在することに気がつきました。
■北から南へ下る
上流部でふたつの河川、高野川と賀茂川の流れがひとつになり鴨川となります。その合流点は鴨川デルタと呼ばれ人々の憩いの場となっています。さて散策を始めるにあたって、北の起点をどこにしましょう? 賀茂川は上賀茂神社:加茂分雷神社、高野川からでしたら宝ヶ池にある国立京都国際会館がいいでしょう。終点は四条大橋かな? 流れはやがて鴨川デルタで合流しますが、その少し上手(かみて)には下鴨神社:賀茂御祖神社が鎮座しています。では川の流れを意識しながら南へ向かいましょう。
■時間をリンクさせる
川の流れを時間に置き換えると上流は過去、下流は未来になります。自分の(物理的な)立ち位置を中間点(今)だとすればわかりやすいですね。行程は「川を下る(北から南):過去から未来」「川を遡る(南から北):未来から過去」、どちらでもいいでしょう。時間を意識することで楽しみを増やします。さらにもうひとつの要素を絡めてみます。
■変化する街の景色
上流部は緑や住宅が多い郊外と呼べる場所です。下流に進むにつれビルや商業施設が増え、やがて三条や四条といった観光客で賑わうエリアに入ります。夏の風物詩といえる川床(ゆか)が立ち並ぶのもこの周辺です。
「上流は過去、下流は未来」と前述しましたが、厳密にいえば上流部に歴史的価値あるスポットが多いというわけではありません。ですが街の風景は確実に変化します。のどかな郊外(過去)から喧騒(今)へと変わりゆくさま(時間の流れ)を楽しめるのがかもがわアートラインなのです。
■エリアではなくラインで楽しむ
街をエリア(面)でとらえると時間軸を組み込むことはできません。さらに旧街道など一見線に思える場所でも、起点と終点に時間の経過を見つけることは難しいのです。
最後に
上流の上賀茂神社と四条大橋周辺の高低差は※約50mもあり、これはオフィスビル10階に相当します。歩くこと、水の流れを見ることで縦の変化を感じられるのもかもがわアートラインの魅力です。 ※簡易GPSで計測
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