見出し画像

彼。

ひとつ前の記事で、よいお年を!と書いたけど、書きたくなったのでもう1本。

パートナーシップについて。

何をどこから書こうか迷うところなのだけど、現状を端的に説明すると、付き合って半年ちょっとになる彼と、諸事情により私の家で5週間限定の同棲をしている。今は3週間弱経って、折り返し地点といったところ。
ワンルーム、シングルベッドに1人用の座椅子と小さなテーブル、食器も1人分。そんな完全ひとり暮らし仕様の部屋に大の大人2人が住み始めたので色々不具合はあるものの、調整しつつ何とかやっている。もっぱらの課題は、毛布の奪い合いだ。お互い奪う気は無いのだけど、寝ている間に毛布を引っ張って自分のものにする→相手が寒くて目覚め、奪い返すという攻防戦をしばしば繰り広げている。

彼は海外在住の外国人で、普段は国際遠距離恋愛の私たち。離れていても、文明の利器のおかげでコミュニケーションは日々とれるけれど、物理的にはこれまで一緒に過ごした時間はとても短い。
それがいきなり同棲し、24時間ほぼ一緒にいる。しかも狭いワンルームで。
当然、チャットやビデオ通話じゃ分からなかった相手のことがたくさん見えてくる。それは性格的なものや生活スタイルの違いも多々あるけれど、そもそも、彼と私とでは生まれ育った環境が全く違う。北アメリカで育った人間と極東アジアで育った人間の共同生活に、お互いの「常識」というものは通用しない。
私はもともと独りになる時間が無いと無理なタイプな上に、ひとり暮らしで全てを自分のペースでやれることに慣れていた。そんな私が初めての同棲、しかも前述のように自分とは全く違う場所で生きてきた人とひとつ屋根の下。楽しいこともたくさんあるものの、独りになれる時間・空間が無いことや、何かと相手とのすり合わせが必要なことが積み重なると、やはりストレスも溜まる。せっかく日本に来てくれたんだから彼を優先しないと、と相手を中心に生活を回しつつ、自分ひとりならこれが出来たのに、あれが出来たのに、と思ってしまうことも正直ある。
それと、「高い飛行機代を出して来てくれたのだから」と、楽しんでもらえそうなものを調べまくって色々なところへ行く計画を立てたり、日々の生活もカツカツなくせに外食の支払いをしょっちゅう申し出たりして、自分の首を絞めまくっている。自らハードモードに突入しておきながらすぐにいっぱいいっぱいになって、結果、同棲を始めて早々に自分の機嫌をコントロールできなくなった。見事なまでの自爆。

幸いなことに、彼はいつも私と向き合ってくれる。ちょっとした行き違いなどで私の機嫌が悪くなると「それ(行き違った原因)について話そう」とか、「今何考えてる?」と声をかけてくれる。私は機嫌が悪くなると黙り込んでしまうタイプで、言葉にするのは時間がかかる。まして私たちの会話は英語。私からしたら、母語じゃない言葉で心境をきちんと説明するのはハードルが高い。さらに私は基本長時間機嫌が悪くなることが多くない(イラっとすることはしょっちゅうあるけど、あんまり長引かない)ので、そうなったときの怒りの引っ込め方もよく分かっていない。そんな、自分でも収拾がつかなくなっているときでも、彼は話を聴こうとしてくれる。
この間も、溜まったストレスでイライラしてしまい、話しかけてくる彼を無視してしまった。深呼吸しなきゃ、とキッチンでお茶を淹れていたら、「お茶持ってこっち来てよ。話そう」と彼。
自分の気持ちの整理がついていなかったけれど、ちゃんと話さねばと思ったのは私も同じだった。お茶を持って彼の横に座り、溜まったあれこれについて、言葉を探しながらぽつぽつ打ち明けてみた。
すると何のことはない、「一緒にいる時間はできるだけ欲しいけど、自分の時間が必要なときは遠慮なく言って。俺も必要だし」「とみーは大丈夫って言ってたけど、それでもお金のこと気になってたよ。滞在費、いくらか払わせてよ」「別に楽しませてほしいなんて思ってない。一緒に楽しみたいんだよ。俺のためにプラン全部考えてくれなくていいし、特別なことしなくても、家で映画観るのだって楽しいじゃん」とのことで、彼は何ひとつ私に期待していなかった。私が勝手に気負っていただけだったのだ。そして彼は、「時々、とみーは俺のために自分を犠牲にしすぎてるんじゃないかって思ってた」と。コミュニケーションは密にとっていたと思っていたのに、肝心なことは全然伝えられていなかったことを反省した。

前にどこかで書いたけど、私は人を心から信じることが怖くて苦手だ。相手を信頼して、その関係がダメになったら深く傷ついてしまうから、自分を守るためにある程度のところで線を引いているんだと思う。今の彼に対しても、自分の本音を話すことがどこか怖かったのかもしれない。
ちなみに、これまでの恋愛でも今も、SNSに恋人との写真をあげたことがない。別に見せびらかすものでも無いし、という気持ちも確かにあるのだけど、それよりも「この先別れたとして、SNSに写真があったら気まずいから」というのが理由だったりする。いつでも「この人は離れていくかもしれない」と用意しているような。そして実際、これまでの人とは数か月で終わってしまっている。
ただ、今の彼とは私の恋愛史上最長お付き合い記録を更新しているし(いうて1年も経ってないけれど)、これからも良い関係を築いていけるように、もう少しオープンに気持ちを共有しようと思った。またムスッと黙り込んでしまうかもしれないけど、努力する。言わずに分かってもらえるわけがないのだから。

大晦日の今夜は、彼とお蕎麦を食べに行く。
日本流の年越しを一緒に楽しもう。


この記事が参加している募集

最近の学び

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?