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その猫拾ったら離婚する、と言われた話。

今日は我が家のゾンビ猫、くろみつちゃんのお話です。

トップの写真の通り左耳がありません。
そして写っていないですが、左前足が変形しておりゾンビのような歩き方をします。

出会い

私がまだ人妻だった頃のこと。笑

私の家の周りにはまだたくさんの野良猫がいました。
(最近は保護活動が盛んで、なかなか野良猫を見かける機会も減りましたよね)

みんなのびのびと生活していて、私はそれぞれに名前を付けて観察したりしていました。
餌をあげたりすることはしていなかったですが、いつも気にかけていました。

ある日、いつもは見かけない黒猫の子猫を発見。
生後2か月くらいかな?という感じの大きさでしたが、少し近付くと猛ダッシュで逃げてしまう。全然人馴れはしていないみたいでした。

次に見かけた時に、耳がないのと前足を引きずって歩いていることに気が付き、健康体ならまだしも、怪我をしているとなると心配。
それからは私のお節介心に火が付き、気付けばその黒い子猫を毎日探すように。

「なんとか保護できないかな…」

あいにく(?)我が家には犬が3匹と気難しい猫が1匹。
もうこれ以上は増やせない…。
でも、何とかしてあげたい。

私は遠くからなんとか撮影した子猫の写真をFacebookに投稿し、「この子を保護したら、誰か飼ってくれませんか?」と呼びかけました。
すると2人の友人が手を挙げてくれました。

友人①「今ちょうど猫欲しいんだよねー。捕まえたらちょうだいよ。」
友人②「今家にも猫がいるから、もしかしたら飼いきれないかもしれないけど…それでも良いなら!」

友人①は動物が好きなのは知っていますが、結構無責任なところがありました。
この友人に託すのはちょっと気が乗らないな、というのが正直な感想。

友人②に至っては、もうちょっと何を言っているのか分からない。
ソッコー却下。笑

絶対に信頼できる人にお願いしたい。
そう思っていましたが、当時の私の人脈ではなかなか簡単には探せませんでした。

捕獲のチャンス

どうしようどうしようと思っている間に捕獲のチャンスがやってきました。
…あの子が目の前にいる!

前足を怪我しているのであまり俊敏には動けないし、どうやら物凄くお腹が空いている様子。
運動能力が他の猫に比べて劣っているので仕方ないですよね。

とりあえず当時は旦那がいたので、許可を取らねばと思って家に帰り、寝ている元旦那に向かって言いました。

「あの猫がいる!今なら捕獲できるから、連れて来ても良い?!」

相当嫌だったんだと思います。話も聞いてもらえませんでした。
そりゃ、これ以上動物が増えても困るし、怪我の治療費だってすごくかかりそうですもんね。
私が旦那の立場でも絶対に反対する。

「その猫拾ったら離婚する」

元旦那はその一言だけを言い残して再び寝てしまいました。
その時から既に不仲だったので、それならそれで良いと思って私は保護に踏み切りました。

バリケンの扉を開けて中にキャットフードを入れると、これまでの警戒心どこ行ったってくらいにすんなりと捕まりました。お腹が空いてたんだね。

不自由な肢で満足に食べ物が調達できなかったのでしょう。
いつも地面を這いつくばって、懸命に生きてきたんだと思います。
その後出てきたうんちには、段ボールや木の枝など、とても猫のうんちとは思えないような物がたくさん入っていました。

幼い猫が、ひとりぼっちで厳しい環境で生き延びてきたことを思うと涙が出ました。

「きっと素敵な飼い主さんを探してあげるからね」

しかし、どう見ても骨折している前足と、ぐっちゃぐちゃの耳。
このまま新しい飼い主さんに引き渡す訳にはいきません。

犬や猫の骨折ってかなり治療費がかかります。
100万円とか平気で飛んでく。
それでも仕方ない、と動物病院に連れて行くと…。

「折れてないですね」

…え、今なんて?

「折れてないですよ」

えっ、じゃあそのぐにょぐにょの前足は何?

実はぐにょぐにょに曲がった前足は、脱臼が原因でした。
しかも、その脱臼も実は治っているとのこと。
歩き方がおかしいのは、脱臼していた期間が長かったので癖がついてしまったそう。

耳は、しばらく治療をしてみて良くならなければ切断ということで、毎日せっせと魔法の白い粉(何だか分からない白いお薬)をかけました。
幸い切断は免れることができ、今ではチャームポイントです。

歩き方に関しては、数か月矯正の為にギプスをしたりリハビリしたりしてみましたが、一向に改善せず6歳になった今も左前脚はないものとして生活しています。

実はゴロゴロにゃんこだった

捕獲してすぐはバリケンの中でシャーシャー言っていて、怖いのでお世話はスノボ用の手袋をして行っていました。
なのに、ひとたびバリケンから出してしまえばゴロゴロスリスリの超甘えん坊!

ずっと気を張っていたんだね。
これからは安心してたくさん甘えて良いよ。

ぼちぼち新しい飼い主さんを探さなくちゃなぁと思っていたのですが、また問題が発生。

何でも食べてしまう!

野良時代の飢餓感の名残なのは分かります、あんなに過酷な環境で生きていたのだから。

それにしても、それにしてもよ!

キャベツを見つければ丸かじりし、お米の袋を破り生米を食らい、ビニールや紙でもとにかく口に入る物なら何でも食べる。
全く目を離すことができないので、やむなくケージで飼うことになりました。

誤食で開腹手術

そして恐れていた事態に。
ついに誤食で体調を崩しました。

嘔吐、食欲不振、全く動けない。
絵に描いたような具合の悪さ。

誤飲した物はゴム手袋でした。
全ての指先が見事に食いちぎられていました。

目を離した私が100%悪いです。
でも、ゴム手袋食べるとは思わないじゃない…。

とにかくすぐに異物を取り除かなくてはなりません。
選択肢は2つ。

・内視鏡で取る
・開腹手術をする

もちろん、内視鏡で取れてしまうのが1番良いに決まっています。
でも、もし取れなければそこから更に開腹手術をすることになります。
となると手術費用がとんでもないことになるんですね。

でも、できればお腹は開けたくない!

「内視鏡でお願いします」

賭けてみることにしました。
結果は…

取れなかったー!笑

結局開腹手術をすることになり、ゴム手袋は無事に取り除かれました。
めでたしめでたしなんですが、私の財布が死んだ…。
当時私は働くスーパー主婦だったので、謎に3つもバイトを掛け持ちしており、そのバイト代を全てつぎ込みました。

肢や耳の治療費も合わせると、純血猫が何匹買えるねん!って金額になりましたね。笑
良い思い出かな。

治療にも時間がかかることや本人の性格(食い意地)がとんでもなく厄介なことから、もう里親さん探しは辞めて自分で責任を持って飼うことを決意。

私の母も、初めは「もう猫を増やすのは辞めなさい!」と言っていましたが、その事件以来「その猫はあんたにしか飼えないわ…」と諦めるようになりました。

黒猫は縁起が悪いと言われたりもしますが、金目の黒猫は金運を運んでくれるそうです。
あれ、私の金運…。笑

でも、くーちゃんは間違いなく私に幸せを運んできてくれたと思っています。具体的にはちょっと思い浮かばないけど。笑

元旦那とは、もちろんその後すぐに分かれましたよ。
くーちゃん、ありがとね。
あなたのお陰で人生変わりました。

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