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眠れないという病
眠れないという悩みを「不眠症」と一括りにすることはできません。
それぞれの悩みは多様であり,どのようにアプローチするのが正解か簡単に言い当てることはできません。
まずは不眠症という病気として診断されるレベルであるのか,それともその手前であるのかという点を確認しましょう。続いて不眠症の中にも少し違ったタイプがいるという点を紹介していきます。
不眠症とは
眠れない人がみな不眠症なわけではありません。
不眠症と診断するためには,「眠れない症状」があることに加えて,眠れないために「翌日の生活に支障がある」状態を言います。
「翌日の生活に支障がある」かどうかについては,注目していない人が多く,何か理由があって眠れない日があると
「私は不眠症なのかも?」
と思ってしまうのです。
誰にでも眠れない日はあります。これが毎日のことになり
「今日も眠れないかも」
という不安に取り憑かれてしまうと,不眠症の一歩手前まできています。
不眠症の正体は不安な気持ちにあると言ってもよいかもしれません。翌日の生活にも支障が出てくる状態になったら,一定の治療が必要になります。
本当に眠れていない人と実は眠れている人
「不眠症」と診断されるレベルかどうかを問わず,眠れない悩みを抱えている人の中にも,実際に睡眠時間が不足している人もいれば,睡眠時間は不足していない人もいます。
眠れないのだから睡眠時間が足りないはずだと思うかもしれませんが,6時間の睡眠で足りている人が「8時間寝なければいけない」と思って早く寝床に入っても眠ることはできないのです。このようにして眠れないことを悩んでいる人は実際にいます。
睡眠時間と寝床にいる時間を区別して,必要な睡眠時間以上に寝床に留まろうとしないことがポイントです。
必要な睡眠時間は年齢とともに減ってきます。多くの成人は7時間以上の睡眠が必要であるというのは正しいのですが,70歳の人が必要な睡眠時間は平均すると6時間程度なのです。
また,実際に睡眠時間を計測してみると,本人が思っている以上に眠っているということもよくあります。何時間も寝付けないと言う人も,周りから見たら実は眠っているということもよくある話なのです。
眠れないだけでなく,起きるのも苦手な人
眠ろうと思った時間に眠れないというだけでなく,起きようと思った時間にも起きられない人もいます。連休など,好きな時間に寝て,好きな時間に起きてよいとなれば,夜更かし朝寝坊をしてしまう人はこのタイプの可能性があります。
夜更かし朝寝坊という言葉は「だらしない」というイメージを持たれがちであるため,大きな声で言うことはできませんが,このような悩みを抱えて,それでも何とかやっている人は少なくありません。
体内時計が社会的に要求される起床時刻,就寝時刻に合致していないということが問題です。ある程度は合わせることができる人もいますが,どうしても合わせられない人は一定数います。
* * *
眠れないという悩みを抱える人たちも,一様ではありません。実際に睡眠時間も不足して翌日に支障が出ている人は「不眠症」としての治療が必要です。
実際に眠っている時間と,眠りたいと思っている時間,眠れたと思っている時間にズレがある人はこのズレ自体に気づけるかどうかが鍵になります。
そして眠れない悩みと同じくらい起きられない悩みにも重点を置いた方がよい人たちもいます。
みなそれぞれに悩んでいます。役に立つアイデアもあれば,自分には必ずしも合致しないアドバイスもあるでしょう。それでも必ずどこかに出口はあるはずです。悩みながら迷いながら,よい睡眠を探していきましょう。
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