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【現役広報が語る!】社内情報を集めるための工夫

こんにちは。とみまつあいこです。
私は広報の仕事に就いて約10年、3年前に独立し、今は複数社の企業の広報支援をしています。さまざまなクライアントさんと案件をご一緒させていただき、広報の仕事を楽しんでいる毎日です。

そんな中、最近ひとり広報さんや広報なりたての新人さんから、社内のコミュニケーションに関する相談を受けます。
今回は、最近よく伝える「社内情報を集めるための工夫」について、同い年の広報仲間である、同じように複数企業の広報活動ないし広報支援で独立している 藤村侑加さんと 岡空直子さんと共に座談会形式でお話ししたいと思います。

まとめていたら6,000文字を越える大作になってしまいましたが(笑)、普段私たちがしている工夫や事例などをお伝えしますので、ひとり広報さんや、情報発信の際のネタ作りに困っている企業の方に、広報の仕事を楽しむためのヒントにしていただけると嬉しいです。

情報発信のための7つの広報のスキル

冨松:広報の楽しさを伝える広報座談会ということで、今回は侑加と直子、よろしくお願いします。「社内情報の集め方」を中心にいろいろお話ししましょう!

岡空:「社内情報の集め方」ね。広報の仕事において、社内の情報収集はとっても大事なことだと思う。今日は具体例を出しながら話していければいいよね。

藤村:そうだね。広報の仕事は社内の情報収集によって成り立つことが多いもんね。
昔「広報職って改めてなんだろう?」って気になった時に読んだ本の中に、広報職に必要な7個のスキルが書かれていて、その中に「情報収集力」があったんだよね。
確か他は「情報分析力」「戦略構築力」「情報創造力」「情報発信力」「関係構築力」「危機管理力」に分解できるって書いてあった気がする。

冨松:7個のスキル、分かりやすいね。確かに、広報の仕事はプレスリリースに代表されるような発信にフォーカスされることが多いけれど、自分の仕事の時間を振り返るとそのためのネタ探しや企画に時間を使っているなって思うんだよね。それで、自分ひとりではネタ探しに限界があったり、宙に浮いた企画になっちゃったり。だから社内のいろいろな人の声を聞きながら進めていくときに大切なことって、「情報収集力」「関係構築力」あたりかなって。メディアさんとの関係構築はもちろんだけど、その前に社内の人たちとの関係づくりや会話が重要だったりして。広報って1人で出来ることはほとんどないんだよね。

藤村:そうなんだよね!商品やサービスを生み出す部署、お客様と対峙して日々会話をする部署、未来の仲間集めをしている部署など社内メンバーそれぞれに課題感や思いが異なっていて、それらを軸に広報として目標達成やコミュニケーション課題を解決する企画立案ができると考えているのね。だから、会社に入って「ひとり広報」で何から始めてきたかといえば、社内のいろいろな方の情報を集めてた!現在の業務内容はもちろん、バックグラウンドや、なぜ現在の仕事を選択したか、少し大袈裟だけど人生で大事にしている価値観、休日の過ごし方とか知りたいことは山ほどね(笑)

岡空:確かに、今いろいろな企業さんの広報をサポートしていて、雑談で聞いたご出身やマニアックな趣味に関する話が、メディアさんが探している情報収集のテーマだったことも多いよね!

藤村:私の経験でも、某”経済誌”の記者が「盆栽を趣味にしている人を取材したい」と情報収集していると聞いたことがあって、その時は自社の社員の中で盆栽が趣味の人を探したもんね(笑)

冨松:そんなことも含めて、広報担当者が一人でできることってかなり少なくて、社内の人の情報こそが広報企画の原石になったりするよね。だから私は社内コミュニケーションを第一優先にしてた!

関係構築のための工夫と仕組み化

岡空:その社内関係構築のために、工夫していたり実践していたことってある?

冨松:私はスタートアップの事業会社で広報をしていた時は、大体12時ぐらいまでに自分の作業に集中して、それからは他部署の皆とランチ行ったりとか、企画に関してちょっと気になるポイントをディスカッションさせてもらったり。飴を持って配りながら歩いたりとかもしてた(笑)お菓子を渡すというよりも感謝をきちんと言葉やテキストで伝えることを意識していたかな。なんか暇そうって思われそうなことも時にはしながら、関係構築に繋げていたかも。時短で働いていたから、余計日中のコミュニケーションは意識してたな。
侑加はどう?

藤村:私は元々「顧客至上主義」が強い営業マンだったこともあって、つい営業部やCSの方に顧客の声を聞きにいく癖があると反省していたの(笑)でも広報部門は、各部門の情報や課題から経営が目指す方向性に、情報でアシストする必要があるから、なるべく部門や世代満遍なくいろいろな人と話すというのを決めていたよ。
毎月開催される全社会議の広報パートでは「広報が目指しているのは◯◯です。広報のニュース掲載(パブリシティ)はこんな形で作られるので、気軽にお話ししてくれると嬉しいです」とか「この1分アンケートフォームに答えてもらえると嬉しいです」と定期的に発信していたよ。

冨松:広報部門何を目指して発信しているか分からないと、社員の方も協力したいと思ってもしづらいもんね。目線合わせ大切!

藤村:そうそう。例えば「会社から支給されたリモートワーク手当てで購入したもの。また、購入理由を教えてください」に回答して頂き、メディア提案に必要な「IMPAKT」の要素を探したりね。ユニークな回答をされていた同僚にショートMTGをお願いしたり、雑談チャンネルにコメントして絡ませてもらったりね。親しい社内の方に「広報に協力できることがあればしたいと思っているけど、何の情報が役に立つかわからないんだよね」と言ってもらったことがヒントだった!

岡空:そうだよね!広報って宣伝とかプロモーションに誤解されがちだし、私もこの職種に就くまでは東京海上での保険代理店営業だったからよく分かっていなかったんだけど、広報を始めてから「いろいろなステークスホルダーと良好な関係を築くコミュニケーション活動」がいつも頭にあるから、偏りのない情報交換や情報収集はとっても大事だと感じるようになったよ。

冨松:そうなんだよね。部署間だけでなくて、部署を横断した縦や横とのコミュニケーションも大事だよね。経営陣の目指す方向に合わせて広報戦略を組んでいく中で、外部からの評判や評価が社内の目線とずれている時は、慎重に議論を重ねる必要がある。だから一部の意見だけでなく、さまざまな視点・視座を持つメンバーとの会話も必要だよね。把握している情報やそれぞれの見方も、会話してみて学びになることもあるし!

岡空:うんうん、それぞれの視点があってすごく勉強になる!

社内の情報を集めるために具体的にしたこと

岡空:社内からの情報の集め方って各社いろいろ工夫していると思うんだけど、二人が具体的にしたことってどんなことなの?

藤村:そうだね、具体例な話だと、私は業種や規模が異なる会社を2〜4年で転職するジョブホッパーだったので、それぞれの会社で違っていたのね。中小企業の時はファッションブランドの製造業で、本社は東京都、工場は宮崎県にあったために物理的に距離感があったから、パワポで作成した「顔がわかーるシート」(笑)というスライドに顔写真も貼って、お名前やニックネーム、趣味や特技などプロフィールページみたいなものを書いてもらって、本社と工場用に二部擦って、50名の社員の人となりが分かるようにしてみたり。本社はパソコン作業だから共有ドライブにもアップして、工場は休憩場所に置いてもらって、各社員のプロフィールを簡単に見られるようにしていたよ。それを広報素材としても活用して、追加ヒアリングをお願いしてた。
スタートアップの時は、イベントに登壇したり取材に対応する人について200字くらいの経歴を入力するドキュメントを設置して、プロフィールがすぐ分かるようにしていた。
その他「社員メモ帳」というものもこっそり作っていて、ご経歴やご年齢、ご出身、大事にしている価値観、家族構成、好きなもの、入社理由、実現したいこと、今ここにいる理由、休日の過ごし方などその方のバックグラウンドを取材ネタのために覚えて、忘れたくないものはメモして残していたよ。他にも業務があるのでこれは50名くらいまでが限界で、それ以降は「個人」から「部署」にフォーカスしながら仕組み化を頑張っていたかな。

冨松:わかる!私も秘書時代に社長のメモ帳作って社員の誕生日とかチェックしてた!社長にこっそり「今日〇〇さん誕生日みたいですよ」って伝えてたりして、そういう時にコミュニケーションを取ってもらうことでメンバーと社長の距離が近くなって情報が集まるようになったり。
あと、全員とコミュニケーションを取るのには限界があるから、私は各部署のキーパーソンを見つけてその方とのコミュニケーションに時間をかけるように意識してたかな。
ある程度心の距離をつめられると、その後の情報収集は仕組み化できたりするよね。

藤村:そのほか「ご意見箱」を設置したり、お邪魔にならないよう長居しない前提でエンジニア部門の飲み会や、新入社員ウェルカムランチなどに顔を出させてもらったり、SNSもたくさん活用していたなぁ。100名越えた頃からは、全社MTGで気になる話題を発表されていた管理者にはすぐご連絡して、別途15分MTGの時間をいただいて詳細を教えてもらうことは継続していたよ。各部門、協力的で組織貢献性の高い方にウィークリーのMTGをお願いして、人事部門なら採用の実情を、営業やCS部門ならお客様の声を、財務部門なら投資家さんや金融機関さんの反応を、デザイン部門や開発部門なら今期のテーマや今後の構想などをヒアリングさせていただく時間を決めて、なるべく社内の声を偏りなく集める意識をするよね!ただ、変化のスピードが早いスタートアップの時は、仕組み化してもどんどん変化するからクオーター毎にベストを模索してた気がする。

忘れてはいけない配慮と感謝

岡空:いろいろ工夫をしていて素晴らしいね!!こういった工夫があって、社内から企画ネタとなる情報が入りやすくなるんだね。
私が特に意識することは、相手の時間はとても貴重ということ!私も二人の子育てをしながら仕事しているから稼働できる時間は限られいて時間の大切さを意識している。そんな中で、「なんの時間だったの?」「なんでわざわざ情報を伝えなくちゃいけないの?」と思われないように配慮することが大切だよね。

冨松:そうだね。先に侑加が言っていたように、広報に情報を出すと自分達に何が返ってくるのか、例えば自分の勤め先がテレビに出たことでユーザー増につながるとか、新聞や経済誌に出たことがきっかけで両親に「新聞であなたの働いている会社名を発見して誇りに感じたよ」と言われるみたいな。一つ一つの広報活動の積み重ねによって事業にもみなさん自身にも良い形になるんですよーって伝えた上で、協力を仰ぐ必要もあるよね。

藤村:協力してもらえる環境を作るのって大変だからこそ、本業がある中で協力してくれる社内の人には感謝だよね。ちなみに、社内の情報収集をする際に、社長など社内で発信・影響力が強い方からのアシスト的発信ってすごく威力を感じることない?

冨松:あるかも!いま支援してる会社で、すごいいいなって思う会社があって。1つは経営陣が広報の優先順位が高いのね。全社に「広報PR活動を優先するから皆協力してね」って言ってくれると皆が少し協力しやすくなるよね。

岡空:わかる!私のクライアントさんでも、社員が書いたnoteを皆で盛り上げようって広報が言わずしても代表の方が言ってくれていて、そうするとSlackのスタンプでも反応がすごい多くて、Fab/RTも増えて、社内の一体感もネット上で伝わるし、とても好循環だなって感じてる。逆にそう言わない代表の方もいらっしゃるの?

藤村:そういう方も全然いると思う。
「広報が勝手にやっていてください」みたいな感じだと、相乗効果も生まれず、広報が孤独になっちゃうよね。焚き火を一生懸命設置して、ひとりで火をつけた時に、社長やそれ相当のポジションの方がが「皆で薪を集めましょう/皆で仰ぎましょう」と言ってくれるのか、「キャンプファイヤーできるようにしておいてください/あと火を起して仰いでおいてください」というイメージの違いかな(笑)火の大きさに違いが出るよね。

冨松:うん、例えがあってるのかは微妙だけど(笑)

藤村:ご...ごめん(笑)

冨松:たしかに広報は孤独になりがちだから社内全体で取り組んでいくことが必要だよね。そういう環境作りも広報担当者として力をいれたいポイントでもあるよね。

ー以上、今回は「社内の情報収集」に関する広報座談会をお送りしました!
侑加、直子、今回はありがとうございました!
いろいろ具体例が出てきたけど、自社に合わせて試行錯誤するのも、広報の仕事の楽しい一面だったりするよね。
社内の情報収集に関して、何かヒントになるものが一つでもあれば嬉しいです。
現役広報の座談会は、また不定期で開催したいと思ってます!

ちなみに…

今話題のchat GPTで質問した回答が絶妙だったので紹介します☆

「広報の楽しさってなんだと思いますか?」

広報の楽しさは、多岐にわたると思いますが、以下にいくつかのポイントを挙げてみます。
チャレンジングな仕事:広報は、常に新しい課題や課題解決を求められる仕事であり、創造的なアイデアを生み出し、問題を解決するための戦略を立てる必要があります。そのため、刺激的でチャレンジングな仕事といえます。多様なスキルを身につけることができる:広報には、広告、メディアリレーション、イベントプランニング、コミュニケーション戦略の策定、マーケティングなど、多くのスキルが必要です。これらのスキルを身につけることで、多様な業界で活躍することができます。
創造的なアイデアを出し、社会に貢献することができる:広報は、企業や団体のイメージ作りだけでなく、社会に貢献することも求められます。例えば、環境保護、社会貢献活動、社会問題への取り組みなど、様々な分野で活躍することができます。
様々な人と関わることができる:広報には、取引先やパートナー、メディア、消費者など、様々な人と関わることが必要です。そのため、コミュニケーション能力を磨くことができ、人間関係を築くことができるでしょう。
以上のようなポイントが、広報の楽しさとして挙げられます。
広報の仕事には、独自のやりがいや魅力がありますので、興味がある方は是非チャレンジしてみることをお勧めします。

chat GPTより

まとめ

(社内の情報収集で迷ってる方はご参考まで)

  • 広報の仕事は、1人でできることはほとんどない

  • ネタや広報企画づくりには社内メンバーとの良好な関係を持つことが重要

  • ランチやビジネスチャットツールの活用

  • 同期会や懇親会、オフサイトMTGなど自分が話したい人だけと付き合わず、広報職種としてさまざまな人と自分から積極的に話しかける

  • プライベートのSNSも相手の方の関心を計り知るのに重要

  • 場合によっては手伝える仕事で協力することにより、逆に情報提供で協力依頼

  • 週次や隔週のMTGの設定

  • 感謝を伝える(飴を配る笑)

  • ご意見箱の設置

  • プロフィールページの作成

  • 情報通な人やキーパーソンとは定期的にお話しする

  • 情報共有の仕組み化

  • 相手に話してもらうだけでなく、積極的に自己開示をする

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