飢える 家賃三万円 2kの文化住宅の昼さがり 六畳間で ダイとリュウが走りまわっている …
コクゾウムシが 米粒をくいあらしている 米びつをひ引っくり返し 太陽のもとで追い散らした…
「ひかり(3)」 Amazon 1985年1月(252号より) 痰が喉につまらずにすんだ。 乳を吐かずにすん…
「ひかり(2)」 Amazon 1985年1月(252号より) 「おい、まだか」 ドアを開いて顔がのぞき込ん…
「ひかり(1)」 Amazon 1985年1月(252号より) 生まれて六十日になったばかりの亜里子が、風邪…
同人誌Amazon 1985年1月号(252号)より 授乳室のドアを開けた途端、ひんやりと沈黙した空気…
帰 郷 (2) 三歳のダイが レンゲ畑の道を駆けてくる 右足と左足をもつれさせながら 全力疾…
帰 郷 (1) 開け放された 玄関の戸を背に義母が肘枕で眠っている ダイとリュウは裸足のま…
窓のうちそと ダイが ティッシュペーパーの空箱を半分に切って セロテープをいっしんに張り…
黒 雲 ひかり号のなかで 男たちがまばらに座っている 窓ぎわにひとり 流れる景色を追って…
台 風 クミが 四ヶ月になった 夜勤に出かける夫を見送る 風がうずまいている キュッ キュ…
大和撫でし子 ソファーの縁が すり切れている ダイとリュウが はずみをつけて飛んでいる …
おまえに 一月二十九日 午前二時 分娩台にのぼる 山を削るように 太腿をひらく くくりつ…
走り抜ける コクゾウムシが 米粒をくいあらしている 米びつをひ引っくり返し 太陽のもとで…
撃 つ 立つ春に 夜勤あけの 頬殺げおちた 夫が深々と眠る 横で遊ぶ幼児二人 閉じたカー…
午 後 浜風が吹く 内海から 武庫川に向かって 波が流れて行く 白くもうもうと 電力会社…