Tomi

こんにちは、アーティストのTomiです。英国ウェールズ中部の村に住み、工房のお手伝いや…

Tomi

こんにちは、アーティストのTomiです。英国ウェールズ中部の村に住み、工房のお手伝いや制作活動をしています。ウェールズでの田舎暮らしの中で見つけたこと、感じたことなどを記録しています。

最近の記事

アップサイクルの話

私は植物や花をモチーフにした版画を作るかたわら、Tシャツデザインやテキスタイルパターンのデザインなど、日常生活で楽しめるアートの生産を目指しています。 また、英国から雑貨を輸出し、日本で同じ価値観を持つ大事な友人と、アップサイクルする事業にも取り組んでいます。アップサイクルとは、中古品を改良し、価値を高めて新しい用途を見出すことです。クリエイティブなアイデアを形にするその過程がとても楽しく、やりがいがあります。 プロジェクトのひとつは、イングランドとウェールズのチャリティ

    • 石を積み上げる

      ウェールズ中部には、今は閉鎖されたスレートの採掘場が多くあります。ここは土地も文化もスレートの石の重なりでできているようです。自宅では今、庭を改装しています。パートナーは今日もスレートと格闘中。石を運び、積み上げる作業はとても重労働です。それに天気がすぐ変わるので、空を読みながら計画的に作業を進めなければいけません。大きな石を両手で抱えて運ぶとき、気を付けないと背中を痛めたり、石と石の間に指を挟んであざを作ったり。重い石を足に落としたら骨が折れる危険もあるので集中力が必要です

      • 水の話

        ウェールズに住もうと決めた理由のひとつは、水が軟水だからです。軟水の地域はイングランドとウェールズの西の沿岸沿いに集中していて、東に行くに従ってだんだん硬水になっています。水質マップを調べると軟水と硬水で色分けされているのでよくわかります。 硬水か軟水かを決めるのは排水中和剤として使用される炭酸カルシウム(石灰石)の濃度。炭酸カルシウムは食品添加物としても使われています。イギリスでは、濃度が0〜100mg/l だと軟水、100〜200mg/l だと硬水に近く、200mg/l

        • 石の壁と小鳥

          ここはかつて石材のスレートの採掘が盛んだったところで、スレートを積み上げた壁や柵が村の風景の特徴だ。ある朝、パートナーと散歩に出かけたら、 小鳥が細い茎のように柔らかそうな片足を、重くて硬いスレートのわずかなすき間に突っ込んでバタバタしている様子に出くわした。 足が挟まって壁にぶら下がっている!しばらくばたついて、疲れて逆さにだらんとぶら下がり、再びばたばたもがく。私達は石を動かそうとしたけれど、ビクともしない。小鳥は怖がってじたばたする。 家に戻って何か道具を持ってこよう

        アップサイクルの話

          「丁寧な暮らし」とは?

          村では多くの人が丁寧に 自分なりの「最良の環境に身を置く」努力をしているみたいだ。不便さは時間をかけてコンディションを整える必要性を生む。 野菜を育てる、食事を作る、家を修理する、ものを長く使う。時間がゆっくり流れているから、持続可能な生活のために常に準備し整えることが可能なのだ。 古着や使用済みのテキスタイルは寄付、またはアップサイクル(新しいものに作り直し)。生ゴミはコンポストにして、プラスチックやガラス、缶はリサイクル。自分のモノタイプ版画の制作には、プラスチックや紙

          「丁寧な暮らし」とは?

          ケーキ食べよう!

          どこのカフェでも店舗でも、イギリスのケーキはとにかく美味しい。大きくて、重みがあって、気前の良い感じがとても良い。チョコレートケーキ、レモンケーキ、アーモンドケーキ、ココナツケーキ、フルーツケーキ、バターアイシングがこってりと乗っているラズベリーとバニラのエンジェルケーキ、、、。 村で唯一の商店は「ストア」と呼ばれていて、ガラスケースの中に入ったケーキの数々はストアに入るとすぐ目に入る。目に入ると目が離せなくなる。そしてお腹が空いていなくてもひとつ、買ってしまう。 今日は

          ケーキ食べよう!

          猫、いなくなる。

          隣の家の3匹の猫のうち、こげ茶のルイがいなくなった。数日前の午前3時ごろに外で猛烈な猫のけんかがあったらしい。次の日の朝に涙目のルイが具合が悪そうにしていたのを見たという人もいて、心配だなあと思っていたら案の定、ルイは見当たらなくなった。数日間みんなで探したけれど、どこにもいない。傷ついてどこかにうずくまっているのだとしたら、かわいそうだな、でも猫はこうやってひっそりといなくなってしまうんだ。数日間、残ったトミーとメイビスもルイのことを待っているような様子だった。 数日後、

          猫、いなくなる。

          工房での仕事

          私は村の版画工房でアシスタントとして働いています。ここには世界中からアーティストがやってきます。本を書く人、作曲する人、演奏する人、スケッチする人、立体作品を作る人、写真を撮る人、版画を刷る人、などなど。みんな生き生きとのんびりと、自分の制作を楽しんでいます。この村はマイペースで制作に集中できる時間を与えてくれるのです。 私が初めてレジデントとしてここにきた時、機内持ち込み用のスーツケースひとつで数ヶ月旅行を続けている途中で、多くの道具を必要としないモノタイプという版画技法

          工房での仕事

          自己紹介

          こんにちは。アーティストのTomiです。2023年5月に東京から英国ウェールズ中部にある小さな村に移住してきました。この村を最初に知ったのは、同年2月に版画工房にArtist in Residenceとしてしばらく滞在したことがきっかけでした。その時今のパートナーと知り合い、現在黄色いドアの家にふたりで住んでいます。ここには特に何もありませんが、同時になんでもあるのです。そんな村の生活をこれから少しづつ記録していこうと思います。

          自己紹介