見出し画像

猫、いなくなる。


隣の家の3匹の猫のうち、こげ茶のルイがいなくなった。数日前の午前3時ごろに外で猛烈な猫のけんかがあったらしい。次の日の朝に涙目のルイが具合が悪そうにしていたのを見たという人もいて、心配だなあと思っていたら案の定、ルイは見当たらなくなった。数日間みんなで探したけれど、どこにもいない。傷ついてどこかにうずくまっているのだとしたら、かわいそうだな、でも猫はこうやってひっそりといなくなってしまうんだ。数日間、残ったトミーとメイビスもルイのことを待っているような様子だった。

数日後、家の前にブラックバードが死んでいた。パートナーは、もしかしたらルイからのプレゼントかも、と言った。けんかに負けたルイは悔しくて自己鍛錬の旅に出ることを決意。その前にちゃんと近所にひとつお土産を置いていったのかも。そうだったらいいなあと思った。

ここは静かな村だけど、猫は一回のけんかで姿を消す。人にとってもこの土地は厳しい。平和だけど、緩むことはない。フレンドリーだけど、警戒する。猫も人も同じような態度で生活している。トミーは今日も向こうからゆっくり歩いてきて、撫でてもらうとバタッと地面に倒れてお腹を見せる。でも同時に回りに目配せをして様子をちゃんと確認していた。


老猫トミー

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?