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【書籍】非クリエイターのためのクリエイティブ課題解決術

タイトル:非クリエイターのためのクリエイティブ解決術
著者:齋藤 太郎
発売日:2022/1/28
▼概略(Amazonより)
「オリエンは信じない」
「顧客に憑依する」
「タグライン、コンセプトワードを決める」
「プレゼンはしない」 他
日本に『角ハイボール』ブームを巻き起こし、
『ポケトーク』『(タクシーアプリ)GO!』の仕掛け人でもある
注目のクリエイティブディレクターが、
すべてのビジネスパーソンに役立つ、
どんな依頼も「なんとかする」プロの思考とノウハウを初公開!

評価:4.5 ※5点満点

感想

非アート職のクリエイター必読の1冊!!!!

だと自分は感じました。
僕自身、今の会社に入って4年、ゲームの運用開発、Web開発のディレクション、ツール開発のディレクションと様々な経験をしてきましたが、その中で感じたことや他の書籍から学んだことなどが綺麗に言語化されていてとてもわかりやすかったです。
中には自社の社長や先輩から言われてきたこともあり、共通認識されている内容もかなりあるんじゃないかと感じました。

理想はなにか

これは受託開発をやっていると必ず突き当たる疑問だと思っています。
本書にも書いてありますが、誰しも理想を持っていて、現実とのギャップを埋めたいと思っている。だからツールを開発したりするんですが、この”理想”を言語化できていない人が多い。
だから一緒になって理想を考える必要があって、そのために本書に書いてある”なりきり”の精度を高めて、「こういうのが理想ですよね?」みたいな提案をしていかないと話が前に進まなかったりします。
ここはヒアリング力とかそもそもの信頼関係が大事だったりもしますね。

課題と解決策

理想が見えたら次は課題を明確にしていきます。
現状のワークフローとかを図にしたり整理しつつ、「理想に辿り着くにはここ何とかしないとな〜」みたいなことを考えていきます。
でなんとかする具体案を考える。
個人的にはここが一番大変で、ここで”たくさん粘って自分なりの答えを出す”ことが大事だと思っています。
「こうすれば何とかなります!」を力強く言う。もちろん成否は結果次第なんですが、そう言えるだけの深い思考とアイデアを出す、それが本書で言うクリエイターの価値かなと思います。

クライアントのパートナーで在る

本書にも書いていますが、言われた通りにやる、クライアントの下にいる、だけでは我々の価値は無いです。
『一緒に理想を目指して、課題に立ち向かうパートナー』を目指し、相手にもそう感じてもらう。
そういう姿勢が持てないと信頼もされないし、段々と仕事は減っていっちゃうんじゃないかなと思います。
少なくとも自分が依頼する時に「言われたことだけやる人」にはそんなにお金払いたくないですしね。
まず前提に↑の姿勢があって、さらに「アイデアの数」「形にするスピード」「流行を作るセンス」とかそれぞれの個性が乗っかってくるのかなと思います。

まとめ

具体的な手法というより、”姿勢”について熱く語っている書籍だと思います。
ただその姿勢が、個人的には必須と感じるものなので、めちゃくちゃにオススメできるな〜と。
とても読みやすくてあっという間に読めますし、2022/9/19現在kindle unlimitedで読めるのでぜひ皆様読んでみてください。

余談 エンタメの理想と課題

ゲームの企画を考える時にいつも悩むことですが、エンタメにおいては結構理想と課題の明晰化が難しいと感じています。
言っちゃえば「楽しい」「面白い」であれば何でも良いっちゃ良いんですよね〜
そしてその楽しいとか面白いが主観に寄るものすぎるという。
「便利」とかに比べて伝わりにくいってことですね。
なのでエンタメ関連、特にゲームは「作りたい」気持ちが一番大事で、スーパークリエイターに頼ったトップダウンの開発になりやすいんだと思います。
個人的にはゲーム開発にボトムアップ的な作り方は向かないと思っていますが、ここはまだ考えきれていない部分なので引き続き考えていきたいな〜と。

以下、メモを兼ねた要約です。ネタバレ含むので注意














要約

▼はじめに

  • クリエイティブ=課題解決≠モノ作り

  • 広告を作る=表現のクリエイティブ

  • なんとかする(課題解決)=ビジネスのクリエイティブ
    └広告だけではなんとかしていけない時代

▼序章 クリエイティブ進化論 「表現」から「ビジネス」へ

  • 多くのビジネスパーソンに課題解決力やビジネスを成功に導く力が求められている

  • 広告だけで差別化できない時代
    └どう差別化するかの総合力が求められている

  • クリエイティブディレクター=企業参謀
    └クリエイターじゃなくてもなれる

  • 現状と理想のギャップ=課題
    └課題を見つけて→仮説を立てて→解決策につなげる

▼第1章 課題の本質を見つける 「探る」「聞く」「見る」

  • ビジネスの仕組みがわからないと根本の課題は見つけられない

  • オリエンを疑う
    └色々な事情で歪んだアウトプットになっていることがある

  • 着地点から考えない

  • 狭くなった視野を広げる質問をする

  • ユーザーに届くものではなく、世の中まで視野を広げる『鳥の眼』

  • ユーザー目線『虫の眼』

  • 次の流行を見つける『魚の眼』
    ⇒3つの眼を養う

▼第2章 仮説を立てる 「想像する」「考える」「生み出す」

  • 自分じゃない誰かになりきる

  • 普段から多くの人に触れてサンプリングする

  • 最高の未来を想像して、クライアントと共有する

  • 「プロダクトの価値を一言で表す」=タグライン

  • 変えることは簡単
    └変えちゃいけない価値を見つける

▼第3章 解決策につなげる 「動かす」「選ぶ」「伝える」

  • 少人数のチームで責任の所在を明確にする

  • コンセプトワード=スローガンを作る
    └「プロジェクトを一言で表す」≠タグライン

  • 絶対評価をする
    └ダメなものはダメと判断して言う

  • プレゼンで「共感」させる
    └「説得」や「論破」はNG

  • 「自分」を持ち続ける

▼第4章 クリエイティブな課題解決力を高める技術

  • 相手のためにも自分のためにも書き出す、特に図にする
    └伝える、整理する、振り返る

  • 財務諸表で全体感を把握する

  • メディアのバイアスに注意しながらインプットする

  • インプットとアウトプットはセット

  • 構造化して抽象化すると「たとえ話」になる

▼第5章 クリエイティブな課題解決力を高めるマインド

  • 後世に残るもの、未来を考える

  • 誰でもギブできる、ギブできることは幸せなこと

  • 自分の価値を定める

  • 「じぶんごと」にしないと成長できない

  • クライアントの「下にいる」のではなく「横にいる」



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