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のらカレー屋にカレー作れる?(4)のらねこ、辛い物を食べたいのはなぜ?

美味しいカレーを研究していると、つくづく思います。
人はなぜ、辛い物が食べたくなるのか?

そもそも、この世の多くの食品には辛味はなく、かつ辛い物なんて全く食べなくても健康に問題はありません。
また生まれたばかりの赤ちゃんや、自然の状態のサルも基本的に辛い物は食べません。
そもそも人類は、辛い物を好むように進化する理由が特にないのです。

なのに現代人は、右も左も僕も私も、老若男女ほとんどの人が辛い物が大好きです。
20万年前に地球を去った神が最近になって戻ってきたとすれば、目を点にして「そうはならんやろ!」と驚くことでしょう。
今の人類はなぜ、辛い物が好きなのでしょうか?

はい。
いつもお読みいただきありがとうございます。
または初めてクリックされた方、この記事を見つけてくださりとても嬉しいです。
僕は目標管理アプリ Project Sylphius の開発・運営をしております、TOMCAT HEART の中島といいます。

何をやってもうまくいかない、とにかく日々があっぷあっぷでツラいと思っている人達の中には、人生がツラいのはどうしようもないと思っている人も多いようです。
この のらねこに何ができる? では、“楽に生きるには、ただ目標管理を覚えればいいだけ” ということをお伝えするため、僕が自分で目標をたてて自分でやってきた様々なことを、連載形式でなるべく楽しくお送りする企画となっております。

現在は “のらカレー屋にカレー作れる?” と題し、僕が考えた最強カレーを作るべく、その手順について考察しています。

全体の執筆計画はこちら:
1. 美味しいカレーってどんなカレー?
2. カレーにはどんなスパイスを使うの?
3. あてずっぽうで作ってみる
4. 味覚において“辛さ”って大事なの?(今回)
5. スパイス以外で大事なものは?
6. 理論上で理想のカレーを設計する
7. 理論だけでは足りない部分を探す

過去のバックナンバーもあります)のでぜひお読みください。

今回は、カレーにおける辛さの重要性。
カレーというのはそもそも最強の食べ物なわけで、カレーくらい最強ともなればぶっちゃけ全く辛くなくてもメチャクチャ美味いです。
食べ盛りのラグビー部員のゾンビも蟻の子1匹残さず食べ尽くす勢いです。
それでも大部分の人は、カレーには辛さを求めるでしょう。

なんででしょうね?

1. 辛味とは、塩味の派生形である

地元の人以外にはまず信じられないでしょうが、我が故郷 佐賀県には言語的に “塩味である” という意味の言葉がありません。
関東の人達が「しょっぱい」と言えば塩味が強いという意味ですが、対して佐賀県では「しょっぱい」と「すっぱい」は完全に同じ意味です。

じゃあ、塩味のことを何と言うかってぇと、「辛い」です。
またチョリソーなど、スコヴィル値の高い食べ物のこともやっぱり「辛い」で、つまり塩味と辛味を区別しないのです。
歴史を遡れば、これは佐賀弁に限った話ではなく、おそらく昔は日本人全体で塩味と辛味を区別していなかったと思われます。

その証拠に、標準語にも塩味を「辛い」と表現していた頃の名残がありますね。
“塩辛い” という言葉は、スコヴィル値0の全く辛くない食品に対しても、塩味が強ければ使います。
おそらくは関東近郊の人達が、塩味と辛味を区別しだした時代に生まれた言い方でしょう。

昔は塩味も辛味も両方「辛い」と言ってたのが、区別する必要が出てきたことによって「塩辛い」が生まれたと思われるのです。

大昔の人はなぜ塩味と辛味を区別しなかったのか。
そこに不便はなかったのか。

それが実はなかったんです。
なぜなら、塩味と辛味という2つの味覚は、役割が全く同じだからです。

2. 塩味・辛味は他の味を強調する

おしるこ はとても甘い料理ですが、でも少しだけ塩が入っています。
これは、塩を入れることで甘味が強調され、より美味しく感じるからです。

よくよく考えてみれば、人間の味覚(甘味・酸味・苦味・旨味・塩味)の中で、塩味だけが唯一単体で味わう料理がありません。

甘味は飴や黒糖、酸味は食酢、苦味はコーヒーなど、それぞれ味覚的に単体で味わう料理が存在し、旨味ですら昆布茶があります。

ですが塩味だけは単体で食べる料理はありません。
漬物や塩辛などは非常に塩味の強い食べ物ですが、でも主役となる味覚はそれでも旨味です。
また酒飲みの中には塩を肴として舐める人もいますが、あれは酒の甘味を強調する目的で塩を舐めているだけで、つまり酒に塩を入れて飲んでるのと同じなわけです。

つまり、塩味は本質的に他の味を強調するための味で、単体で味わっても意味がないってこと。

これは辛味にも同じことが言えます。
辛味もやはり、塩味と同じように、単体で摂取することがありえない味覚です。
デスソースとかそのまま飲んだら医者にぶん殴られます。(いやマジやめてね、ホント)

また、辛味は厳密には味覚の一種ではなく、味蕾細胞が一時的に破壊されたときの “痛み” であることが分かっています。

人間は舌の上にある味蕾細胞に食べ物が触れることで味覚を感じますが、その際にどれくらい強く感じるかは食品が味蕾に触れた回数だけでなく、味蕾細胞の全体数との割合も考慮されます。
仮に味蕾細胞が全部で100個あって、そのうち50個に食べ物が触れると味の強さは50%ですが、辛味によって味蕾が少し破壊されて全体数が80個まで減ると、50個に食べ物が触れたときの味の強さは62.5%になり、より強い味という錯覚が起こるわけです。

このことは、多くの人が多少辛いくらいを好み、やたらめったら辛ければいい、という人が少数派であることも説明できます。
味蕾細胞を減らすことで増感効果が得られるのだとしても、味蕾が完全に死滅してしまっては味を感じなくなってしまうからです。

3. 大事なのは食べ慣れた辛さであること

ですので、食べて美味しいと感じるためには、辛さはその人にとって一番食べ慣れた辛さであることが重要です。
日本人の場合、一番食べ慣れた辛さは一般的なカレーの “中辛” くらいじゃないかと思います。

料理研究における辛さの調整の際には、食べた人に「辛味が美味しい」と感じさせるのではなく、「慣れた辛さ」と感じさせることが目的となります。
なぜなら料理において辛味は決して味の主役ではないからです。

てなわけで今回もその法則に従って、もっともメジャーな辛さを調べるところをやっていきます。

通常、カレーでは辛味の調整にはチリペッパー(カイエンペッパー)を使います。
別に他の調味料でも構わないのですが、今回は世の中のレシピを参考にしやすいよう、素直にこいつを使おうと思います。

手持ちの料理本を見直した結果、手作りカレーにおけるチリペッパーの割合は、レシピにより 小さじ1/2小さじ1+1/2 くらいのようです。
(いずれも4人前のレシピで調査)

おそらくは4人前につき 小さじ1/2 が甘口、小さじ1+1/2 が辛口なのではないかと推測されます。
なので間をとって 小さじ1 を中辛と仮定し、本当にその辛さになるかを調査しましょう。

4. 試作

てなわけで、今回はグリルチキンを作ってみます。

。。。。と思ったらなんとびっくり、冷蔵庫に鶏肉がないっっっ!
そういえば、そんなもの買った覚えもない!!
そりゃないわけだ! わっはっは😅

仕方ない。ここは1つ嫁さんの冷凍へそくりから豚こま肉をいただいて使いましょうぞ。

豚こま肉のグリル

材料(4人前):
豚こま肉 450g

【調味料】
- 塩 8つまみ

【スパイス】
- ガラムマサラ 小さじ1
- チリペッパー 。。。。??

嫁さんにバレないよう、レンジでこっそり冷凍肉をチン。
そんで解凍できたらあとはチリペッパーを。。。。

。。。と、ちょっと待った。
ところで思ったんだけど、小さじ1 って本当に妥当な数値なんでしょうかね!?
甘すぎたり辛すぎたりしないのかな。。。
ちゃんと計って作ったことないし、分かんないですよね。

うーん、どうしよう。
失敗したら同じ料理を何度も作りなおすことになるし、正直メンドい。

。。。。よし分かった。
材料を3つに分けよう!
てなわけで作り方はこんな感じ。

【作り方】
1. 冷凍の豚こま肉を電子レンジで解凍
2. チリペッパー以外の材料を全部まぶし、なじむまで混ぜる
3. 肉を3つの山に分け、下記の要領でチリペッパーをまぶす
4. 180度のオーブンで12分焼く

カイエンペッパー小さじ1相当量の肉を3つの小山に分けたわけだから、当然中辛の山は小さじ1/3 になります。
それから辛口の山は、小さじ 1/2 だね。
最後に甘口の山は 小さじ1/6 っと。

カイエンペッパーをまぶした生肉!

さ、焼くぞ!!

5. 実食

てなわけで出来上がったグリルチキンがこちらになります。

味見するときのコツは、どれが一番美味しいかという観点で食べないこと。
今回はあくまで料理研究としての辛味の調査が目的ですので、辛味以外の味を一番感じるのはどれかで考えます。

てなわけで、そういう観点で食べていきます。
もぐもぐもぐもぐ。

1. 甘口

まず一番甘口の山は、肉をかなり甘く感じます。
旨味よりも甘味の方が引き立っていて、加えて塩味もかなり塩辛く感じるようです。
ただ辛さはほんのりで、(僕にとっては)さほど辛くない感じ。

ちなみに、辛い物を食べたあと口を急いでリセットしたいときは、水を飲んでから粉砂糖を一口食べるといいです。
傷ついた味覚はすぐには復活しませんが、口の中がヒリヒリする感じは割とすぐなくなります。

2. 中辛

次に中辛の山は、食べてビックリ。塩味の尖った感じがほとんどなくなりました!
といっても塩味を感じなくなったわけではなく、塩を甘く感じる感じ、って言えばいいですかね。
肉も、甘味よりも旨味の方が引き立っていました。
でも辛さそれ自体は、甘口とさほど変化がないように(僕には)感じられました。

ちなみに小学生の娘も似たような感想だったので、多分日本人の平均的な中辛くらいにできたのではと思います。

3. 辛口

はい、最後。
口をもう1度リセットしてから、辛口にチャレンジ。
正直見るからに辛そうだからちょっとこわごわだったんですが、見た目ほどの辛さではありませんでした。
でも辛味が後を引く時間が長くなった感じで、店で売るならちゃんと辛口と書かなきゃダメそう。
ただし旨味の感じは中辛とさほど変わらず、味を強調する目的の場合はここまで辛くする必要はなさそうでした。


そんなわけで僕が中辛だと想定した味は、間違いなく中辛でした。
また総合評価としても、中辛が一番だったと思います。

素材の味を感じるという意味では甘口が一番なんですが、でもカレーはそもそも素材そのままの味を活かす料理じゃなく、素材同士の調和を図る料理ですからね。
ならば素材の本来の味ではなく、旨味を感じるかどうかを重視すべきでしょう。
あと甘口は、同じ分量のはずの塩をかなり尖って感じるのもマイナスかなと思いました。

てなわけで今回の勝者は、中辛の勝利とします!
辛味以外の味をしっかりと感じて、なおかつ辛さの後引きもさほど強くないところがポイントです。

てなわけで、僕の最強カレーの辛さは “4人前につき小さじ1” に決定!!

――まぁ、とはいえね。
今回は味つけに使ったスパイスがガラムマサラのみだったし、ぶっちゃけちょっと尖った感じの、いわゆる安っぽいカレーの味ではありましたよ。
田舎のおばあちゃんちのカレー、みたいな。

やっぱね、カレーはスパイスが完璧ならいいわけじゃないです。
スパイス以外の材料の組み合わせも重要です。

えーと、カレーってスパイス以外で何で味つけるんだっけ。。。
だし汁だって大事になるはずだし、バターや甘味なんかも重要なはず。
リンゴとハチミツ、、、、は言うほど使わねぇ。
でもしっかりと肉汁の出る肉を使うことも大事なんじゃないかな。

てなわけで次回は、スパイス “以外で” 重視しなきゃいけない材料が何なのか、そのあたりを考えていきたいと思います。
最強カレーに向けてまた1歩前進です。

ではまた来週。

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ここまでお読みいただき、ありがとうございました!
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