のら小説家に何が書ける?(3) のらねこ、ウケる方向性が決められない
こんにちは。
この記事を見てくれてありがとう!
僕は、IT業界に席を30年ほど置いた園児ニア……もとい、エンジニアにして、現在は目標管理アプリ Project Sylphius の開発・運営を行っております、中島といいます。
このコラムでは、目標管理を覚えれば世界はもっと楽しくなるをモットーに、多くの人の難敵である“正しい努力”なるものについて、その正体を具体的かつ実践的に紐解いていく内容となっております。
現在の連載は、ファーストシリーズ“高クオリティ小説の王道な書き方”。
こんな感じで連載しております。(バックナンバーはこちら)
1. 目標を設定する
2. 自分の得意分野を分析
3. 世の中の流行を分析(今回)
4. 物語のキモである“葛藤”について学ぶ
5. 設定をとりまとめる
6. 執筆時間を確保する
7. 起承転結の展開方法について学ぶ
8. 核心部分の詰めを行う
で、前回(2.)はセルフリサーチでした。
おそらく自分はこういう物語を書くのが得意なんじゃないかな、というアタリをつけるところまでです。
その結果、以下の内容だったら楽しく書けそう、という結論になりました。
そして、そういう方向性で執筆できるであろうトピックとして、以下をリストアップもしました。
ただし注意すべきなのは、上記は全て、あくまで僕個人の手に負えるトピックの一覧にすぎない点です。
この中のどれを選べば人気が出るのか――つまり、どのトピックが今一番ホットなのかということになると、全然別問題ですよね。
僕が好きかどうかと、世間的に何が流行ってるかどうかは基本的に関係がありません。(当たり前)
なおかつ上記のリストには、今まさに世界中でアツいスーパーホットなアイデアといったものも、残念ながら含まれていないようです。
もちろんエイヤで適当に決めること自体は可能ではあるのですが、今回の設定目標はあくまで読者に喜んでもらえるものを書くことであって、自己満足が目的ではありません。
なので可能であれば、どのトピックを使えば読者の目に留まりやすくなり、喜んでもらいやすいのかを、きちんとマーケティングリサーチ(市場調査)したいところです。
1. 公開プランを作る
さて。
マーケティングリサーチをするにあたってまず最初にやるべきことは、どうやって現物(書きあがった小説)を公開するのか、そのプランを作ることです。
つまり、
どんな場所に
どういう方法で
公開するのかについて、なるだけ細かく考えます。
この、リサーチ前に公開方法を考えるという手順は、今回の小説執筆に限らず作品作りにおいては全て同じです。
なぜなら、どんな場所にどんな方法で公開するのかによって、どんな人の目に触れるかが変わるからです。
ですから制作物というものは基本的に、まず先に誰に見せるかを決めてから制作を開始するわけですね。
これから書こうとしているのはライトで明るい小説ですので、「重厚でシリアスなストーリーが好き」という人達ばかりの場所に公開したら、おそらくあまり読んでもらえないでしょう。
ですので、どんな人の目に触れるのかを書く前に考えるのです。
ただし今回は同人執筆であって、別に誰かに依頼されて書いているわけでも、何らかのコンテストやマーケットに出品するわけでもありません。
なので、公開プランそのものは適当に作ってしまうことにします。
こんな感じでしょうか。
執筆前に公開プランを作ることの重要性には、気づいていただけましたでしょうか?
つまり、もし投稿先が角川文庫のコンテストだったりコミックマーケットへの出品だったり、あるいは米アマゾンに自費出版する場合などにも、はたして小説家になろうに投稿するときと全く同一の物語でも問題ないのでしょうか?
ってこと。
いいわけありませんよね。
角川文庫であれば、きちんと商業ルートに乗りえるプロ作品じゃないといけないし、コミックマーケットだったら少しエッチなヤツが好まれるでしょうか。
あるいは米アマゾンで自費出版する場合には、当然なら英語で執筆しなければいけません。
誰が読むかによって、内容は変えないとダメなんです。
2. 投稿先にいるユーザーについて分析する
今回は投稿先が「小説家になろう」ですので、まず最初に投稿先サービスのユーザー分析を行います。
具体的には、人気作品をリストアップしてその共通点を探します。
以下は、2022年某月某日の総合ランキングのスナップショットです。
てなわけで、人気作品の共通点をさぐってみましょう。と、、、、、、、、、、、、、あ。
冊子。もとい、察し。
これは、、、細かく調査する必要ありませんでしたねww
1位から7位まで、見事にざまぁ系のオンパレード。
やっぱ、みんなストレス溜めてんのね、、、、(汗
てか、みんな適当なところで息抜きしてね?
手抜き力って大事よ? ホント。
ま、まぁ、、1回の調査では偶然の可能性も捨てきれませんが、少なくとも現在 なろう では、 ざまぁ系 が超人気である可能性が高いことが(一瞬で)分かりました。
では僕の小説にも、少なくともざまぁ要素を可能な範囲で取り入れることにしましょう。
(明るい話だからちょっと難しいかもだけど、できるだけね)
なぜ、上記のリストからざまぁ要素を取り入れるべきと判断できるのか。
それはマーケティングリサーチの基本的なやり方が、
大量の情報を集める
共通点を探す
の繰り返しだからです。
プロのマーケターの場合は情報集めにお金を使うことができたり、卓越した推理力がある人が分析したりといった違いはあるものの、情報を集めて共通点を探すというプロセス自体はプロもアマも変わりません。
ですので、(今回は一見してすぐ分かりましたが)それ以外にも何か共通点がないかを探し、他に気づいたことがあればそれも拾っておいた方がいいでしょう。
リストを見てみると「ストーリーが推測しやすいタイトルばかり」「人間関係トラブルをテーマにしたものが多い」なども共通点と言えそうです。
なのでそれもメモしておくことにします。
また、今回は なろう の調査はここで止めておきますが、もしさらに深く調査したいのなら、
ランキング100まで調査対象に含める
ランキングを1週間ごとに取得して変化を見る
ジャンルごとにそれぞれ調査してみる
内容を実際に読み込んで、共通するストーリー展開を探す
などのやり方もあるかもしれません。
3. 宣伝先にいるユーザーについて分析する
さて、次に移ります。
今回、僕は なろう の分析を途中で打ち切りましたが、これはあのサイトはトップページにある「新着一覧」の宣伝効果がさほど高くないからです。
どんなにがんばって なろう 向けに執筆をしても、多くの なろう ユーザーには「僕が なろう 向け小説を書いた」ことが伝わりづらいのです。
それよりは、より多くの人の目に触れやすいよう、Twitter、note.com、知り合い伝え の3種類の方法で宣伝した方がいいと判断しました。
ですので、こちらについても傾向を分析しましょう。
やり方は同じ。
「大量の情報をとにかく集める」⇒「共通点を探す」を繰り返すだけです。
今回僕が調査したことで集まった情報は、だいたいざっくりですが以下のような感じでしょうか。
Twitter:
タイムラインをあらためて眺めてみて、比較的多いツイートの共通点について調べてみました。
ポジティブな印象を与えるもの
純粋に目立つ見た目のもの
かわいいもの
僕が調査した限りでは、Twitter には上記のような特徴がありそうでした。
なのでこれらを小説に取り込むべく、メモしておきます。
ちなみに、Twitter というSNSの特徴について少し補足しておくと、上記の調査結果はあくまで「僕がフォローしてる人達」が「僕が見ている時間帯」に投稿している内容ということです。
Twitter は、投稿するユーザー層や時間帯によって、投稿内容に差があることに注意してください。
僕の場合、普段ポジティブな投稿を心がけているため、もしかするとポジティブな情報を嫌う人達には避けられているかもしれず、ポジティブな印象のツイートばかりが目立つのもそのせいかもしれません。
ですので中には、「Twitter がポジティブな投稿ばかりなんて絶対ウソだ」と思う人もいるかもしれません。
また、Twitter は利用時間によって雰囲気が全く異なるメディアであることが分かっており、朝・昼・夕・夜でそれぞれ投稿内容が違います。
なので、普段昼間しかツイートを行わない人が、夜中に調査を行うのはあまり得策ではありません。
あくまで普段自分のツイートを見てくれている人達について調査することが重要です。
note.com:
こちらのサイトについては、トップページ上部にある「注目」ページについて分析しました。
その結果、以下のような投稿が比較的注目されていることが分かりました。
生き方・生きざまについて考えさせるもの
筆者の考えがストレートに表現されている記事
純粋に誰の役にも立つ記事
ただしこの note.com にも1つ注意点があって、それは「注目」ページが、もしかすると編集部で選択されたものかもしれないことです。
記事が純粋に人気があって機械的に選択されているのか、それとも運営チームの方で選んで掲載しているのかは、調べた範囲では分かりませんでした。
注目ページはあくまで、運営チームの人達がユーザーを楽しませる目的で用意したものであって、別に僕がユーザー分析をすることを見越して作ってくれたものではありません。
ですので、もし恣意的な選択があるとすれば、少なくとも人気調査に使うのは少しだけ不適当ということになります。
今回については、そんな細かいことにウジウジこだわっても意味がないので純粋に信用しました。
が、皆さんが自分の調査をするときは、その情報が自分が知りたい情報をちゃんと含んでいるかを、可能な範囲で確認するようにしてください。
自分の周囲:
最後に、自分の周囲の人達の性格について考えます。
自分の周りで普段、どういう会話が弾むことが多いかを考えてみると、以下のような会話が多い気がします。
純粋に笑えるもの
風変わりなもの
技術的に高度でツウ好みなもの
これらはあくまで僕の印象にすぎませんので、どれだけ適格といえるのかは正直マユツバではありますが、まぁ、メモしておくとしましょう。
4. 集めた情報を集約する
さて、マーケティングリサーチは「情報を集める ⇒ 共通点を探す」の繰り返しなので、やろうと思えばどこまでも無限に深く分析できてしまいます。
ですが、あまり考えすぎても小説が書けなくなるので、今回はここいらでやめておくとしましょう。
情報がある程度集まったので、今度はそれを集約して、自分自身の方向性を決定します。
ざまぁ系
人間関係トラブルを描くストーリー
シンプルでテンプレ通りのストーリー
空気感はポジティブな印象であること
純粋にインパクトがある
アクセントにかわいいものが登場するなりなんなりする
生きざまについて考えさせられる
筆者の考えが透けて見える
内容が役立つ
笑える
風変わりな内容
技術的に高度なものを扱う
んで。
このままだと雑多な情報の羅列なので、これらの情報の共通点を探して無理やりくっつけます。
ただしここでももう1つ注意点があって、全ての条件を完璧に網羅しようとしないことです。
そんなことできるわけがありません。
主人公・悪役・ガジェット(アイテム)・世界観・ストーリー展開などなど、物語を作るのに必要な「部品」があるはずなんで、そこに役割を割り当てる感じで情報を振り分けます。
自分の手に負えないような複雑な組み合わせを避けて、納得感を重視して組み立てるのがポイントです。
こんな感じ。
主人公: 明るいポジティブな印象
ガイドキャラ: 風変わりでインパクトのあるネコ
世界観: 読者に 高度だ と感じさせるガジェットが登場する
ストーリー: 人間関係トラブルを軸に生きざまを考えさせる、コメディタッチの笑えるもの
悪役: とにかくムカつく人物像とし、最後は「ざまぁみろ」で終わる
5. トピックを絞り込む
はい。てなわけで作品の方向性が決まったので、集約した情報に基づいてトピックを絞り込むことができるようになりました。
まず、悪役がとにかくムカつくキャラなわけですから、「発達障害」の知識が使えそうです。
それから、「高度なガジェット」という要素を担う部品としては、「エンジニアリング」の知識を用いるのがいい気がしますね。
ただし、どこでどう使うかは後で考えることにしましょう。
それともう1つ、上記のトピックにはありませんが、ざまぁ系ストーリーを効率的に考えるうえで「ブラック企業」の知識が使えると思います。
僕は本職がエンジニアなのですが、その中でも特にバックオフィスシステムの開発を得意としています。要は、給与管理とか出退勤管理とかです。
そういうものに長く携わっている関係上、ただの空想ではないブラック企業の実際の姿、なんてものには、普通のエンジニアよりも少しだけ詳しかったりするのです。
世の中のブラック企業をテーマにした物語は、上司がただ (ピー) なだけ、といったケースが非常に多いのですが、それよりは多少リアリティのある描写ができると思います。
そういった知識を、効果的に物語に含めていければいいですね。
ポイントは、自分が得意だからそれを生かすということです。
6. 情報をまとめてプレミスポイントにする
てなわけで、作品としての方向性がまとまりました。
主人公: 明るいポジティブな印象で、ストーリーをコメディタッチの笑える方向へ引っ張る
脇役: 風変わりでインパクトのあるネコ
世界観: エンジニアリングの知識を生かした高度な印象の世界観
ストーリー: ブラックな人間関係トラブルを軸に、生きざまを考えさせるもの
悪役: 発達障害を抱えた問題の多い人物で、最後は「ざまぁみろ」で終わる
なので最後に、こいつらをさらに一言にまとめます。
“ブラック上司に仕組みを使って ざまぁ する話”
こんなところかな。
この、最終的にできあがった一言のことを文芸用語でプレミスポイントといいます。
このプレミスポイントは、最後まで変えてはいけない物語の主軸であり、また、タイトルを考えるときのヒントにもなったりします。
物語は徹頭徹尾、このプレミスポイントがブレないように展開しなければいけません。
(そういうふうに書かないと読者に面白さが伝わりません)
はい。てなわけで、今回決まったことをメモすればマーケティングリサーチは無事に完了です!!
いやぁ、よかったよかった。
じゃあ次は実際に物語を作っていきましょう!
どんどんいくよ! どんどんどんどん!
。。。と思ったんだけど、ふと気づいた。
そういや次は何するの?
もう早速本文を書き始める?
「今日は朝から夜だった。どんより曇った日本晴れ。今日も1日がんばるぞい。」
まだ世界観も出来上がってないのに、書きだすのちょっと早くね?
当然ですが、次は物語の大まかな設計書となるストーリー構成を考えます。
ストーリーが構成されてなければ、ストーリーを描きようがありません。(当たり前)
中でも、最大のカナメになる葛藤シーンは超大事。
「葛藤のないドラマはドラマじゃない」なんて言葉もあるくらいで、物語において葛藤シーンをどうするかがキモです。
そういうことを考えてから、さらにキャラ設定や世界観設定を足して肉付けし、あらすじを作って、執筆を開始するのはその後です。
でも、、、葛藤シーンってそういやなんだっけ。。。?
てかむしろそもそも葛藤ってなに?
もちろん言葉の意味は分かるんだけど、小説の中でどう書けば――つまり葛藤ってのは、本質的にどう表現すればいいのだろうか。
主人公が「う~ん」とか悩むシーンがあって、次のシーンで「そうか!」とか何かを悟らせればオケ?
いやいや、それじゃあ俺が嫌いな 根性もの と何も変わらないじゃない。
困った。
正しい葛藤シーンの書き方が分からない。。。
てなわけで、次回はそれを調べますよ!
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ここまでお読みいただき、ありがとうございました!
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TOMCAT HEART / 目標管理アプリ Project Sylphius
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