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タンカーのお話 晩秋編 その3 決算の数字をみる

とまとです。タンカーのお話。ここからが本編です。基礎知識とチャートは頭に叩き込みましたか?できてないならば、まずはこちらから。

今回は決算の数値をみていきます。みるのは2022年Q2、Q3。なお、TNPは11/22にQ3発表予定、NAT、FROは11/30にQ3発表予定で、現時点でわからず。

まずはEPSと株価の関係を確認してみましょう。下の表は各銘柄の11/18金曜時点の株価とQ2、Q3のEPS、さらにそれらのEPSを4倍したものを株価で割ったものを示しています。すなわち、その時のEPSが四半期続いた場合のPERの数値に相当します。

EURN, NAT, DHTはかなり高い数値になっていますが、これはこれらが原油タンカーだけの会社だからです。原油タンカーは7月ぐらいから運賃がやっと上昇し始めて、最近高騰していますが、それらが反映するのはQ4であることから、このEPSでこの企業の現在の力を測定できません。

低いのはQ3ベースでは、ASC, TRMD, STNG、Q2ベースではTNPも低いです。最初の3つはプロダクトタンカーの会社(ASCは正確にはケミカルタンカーもやっている)であり、年初から運賃上昇があり、Q3も運賃上昇が数値に表されていることが理由である。

ここで1つの論点として、仮にPERが2.4, 2.8, 3.0だったとしたらどう考えるかである。もちろん、超割安だが、逆を言うと、株価がこの水準にとどまっているということは、現在の運賃が今後維持できないとみなされていることを意味する。逆に、運賃が維持できるとみえてくると、割安放置株にみえてくる。最近の運賃は完全にプロダクトタンカーよりも原油タンカーの上昇が目立つ展開になっている。しかしながら、原油タンカーも果たして、運賃上昇でプロダクトタンカー並みのEPSが出せるか、その財務分析も今後の課題である。プロダクトタンカーの収益性は結構高いと感じる。

さらに11/22の決算発表を待たなければならないが、単純にこの数字をみるだけだと、TNPの割安感も感じられる。TNPは原油タンカー、それも基礎知識で取り上げなかったPanamax(Aframaxよりさらに小さい)やLNGなど多彩なタンカーを持っている。そこらへんの影響もあるかもしれないが、Q3のEPSは注目したい。

次に各社のスポット価格を確認する。この数字は単純比較してよいものかわからないが、よくわからないまま比較してみる。

Q2、Q3は確定値、Q4は途中経過の数値となる。Q3とQ4の比較で原油タンカー、特にVLCCが大きく上がっていることがわかる。DHTではVLCCが$22,000→$61,800と上昇が大きい。ついでSuezmaxが上がってきている。Q4の伸びということではDHTが最も期待できる。EURNも大きく伸ばしそうだが、DHTに比べると見劣るガイダンスとなっている。

プロダクトタンカーはまちまちとなっている。STNGはLR2をさらに伸ばしそうで、他はあまり変わらなそう。TRMDはLR2, LR1は少し落としそうだが、MRは上昇傾向。ASCはMRがやや落ち、ケミカルタンカーは同じぐらい。TNKのLR2は伸びる予定と各社によって様相が異なる。

TNKのAframaxだが、他の運賃をみると、高騰していそうだが、現実はSuezmaxと大きく変わらない数値となってきている。おそらく高騰しているところの契約は難しく、あまりAframaxの数値上昇の影響を考慮しない方がよいかもしれない。

繰り返しになるが、タンカーの収益はスポット契約と固定契約の組み合わせとなり、ここでの議論はスポットの部分の議論となる。

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