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イノベーションの迷子にならないために 〜越境・共創・対話の重要性

▶はじめに

こんにちは、まさ@アップデートする情シスです。今日は組織変革をテーマに書いてみます。

世の中でDXや変革が叫ばれ始めて数年、私たち情報システムやIT業界の人間は、日々デジタル変革(DX)の必要性を発信し、経営者も熱く宣言します。 


「イノベーションを起こそう!」
「働き方を一新しよう!」
「未知の領域に挑戦しよう!」

しかし、一方でITやデジタル以外の領域で働く皆さんは、どう感じているでしょうか?製造現場、バックオフィス、研究開発部門…。短期的な成果と急激な変化の間で、こんな疑問を抱えていませんか?

「顧客や売上、品質を犠牲にしてもいい?」
「変わりたいけれど、どう変わればいいの?」
「失敗が怖くて、一歩を踏み出せない…」


私はこんな状況に陥った人達を「イノベーションの迷子」と呼んでいます。


企業や組織がイノベーション体質へと変わろうとする時、多くの「迷子」が生まれます。放っておけば、彼らは迷子のまま。社内には「イノベーションごっこ」や「イノベーションしてるフリ」が蔓延します。

だからこそ、変革を推進し、引っ張っていく人が必要であり、本当の意味で意識や行動を変える必要があると考えます。

しかし、それを推進する人も時には迷子になってしまいます。現場の迷子たちを導けず、経営陣に認められず、抵抗勢力に押し潰されそうになるからです。

今回は、そんな変革の推進者が直面する課題と、それにどう向き合い、バランス良く変革を進めるかのヒントをお伝えします。迷子になりそうな推進者の方々、参考にしてください。


▶イベントの紹介

組織を変え、イノベーションを創出する体質に変わるためには、時間がかかります。IT部門がシステムを刷新するなどの手段(How)だけを変えても、それだけでは十分ではありませんし、特効薬など存在しません。


その前提で、組織変革を推進する上で
重要なキーワードは3つあります
「越境」「協創」「対話」

5月10日に開催されたあいしずHR主催のワークショップ型イベント「企業がイノベーションを起こすには?〜越境・協創・対話が変えるビジネスマインド」では、これらのキーワードがなぜ組織変革に効果的なのかのヒントが満載でした。


主宰者&モデレーター
組織変革に関する書籍を多数執筆し、組織や地域の景色を変えるための伴走や企業顧問を多数務める、沢渡あまねさんがモデレーターを務めます。(あいしずHRの発起人のおひとり)

ゲストスピーカー
・パーソルホールディングス株式会社 グループデジタル変革推進本部本部長 朝比奈ゆり子さん
・株式会社Box Japan執行役員 安達徹也さん

私もDXを推進する情シス部門の一員として、どうバランスを取りながら変革を進めるべきか、そのヒントを得るためにこのイベントに参加しました。

沢渡あまねさん(手前)、朝比奈さん(奥左)  安達さん(奥右)

▶トークセッション

トークセッションでは、沢渡あまねさんとゲストスピーカーが、組織変革について熱い議論を交わしました。沢渡さんは、組織や地域の変革を支える伴走者として知られ、多くの企業顧問を務めています。今回のセッションでは、朝比奈ゆり子さん(パーソルホールディングス)と安達徹也さん(Box Japan)が、成功事例や失敗談など、ご自身の組織変革における実体験や考え方を共有しました。

沢渡あまねさんは冒頭で、イノベーション体質への移行には、組織カルチャーの変化、成果と変化のバランス、ダイバーシティとインクルージョン、複業やパラレルキャリア、越境学習と思考、そして対話と協創が鍵であることを示されました。

組織がイノベーション体質に移行する際の6つの課題


特に印象的だったのは、自己肯定感の低い組織に変革をもたらす方法についての議論です。朝比奈さんは、IT部門が社内で評価されていないという課題をどう克服したか、その経験を共有しました。

社内からの評価が低く、時に自虐的になり、シニシズム(組織に対する否定的な態度や正義感に対する冷笑主義)が蔓延してしまった組織も、適材適所の人員配置や粘り強く対話を重ねることで前向きな強い組織に変わっていくという実体験を聞けたのは自分自身にとって貴重な体験でした。

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また、沢渡さんは「曖昧さ耐性(ネガティブ・ケイパビリティ)」、つまり不確実性を受け入れることの重要性を強調しました。これは、目先の成果だけでなく、変化そのものを評価する文化を築くことが、イノベーション体質への第一歩であると説いています。

これは特に、今まで成果だけを求められてきた営業部門や製造部門に対するアプローチとして有効ではないかと感じました。

ゲストのおふたりからは組織変革における実体験や考え方を共有いただいた



▶参加型ワークショップ&壁打ちタイム

セッションの後半は、参加者が意見交換を行うワークショップと、モデレーターとゲストに質問を投げかける壁打ちタイムでした。ここでは、変革を望む参加者からのリアルな質問が飛び交い、共感を呼びました。

経営陣や顧客に改革の必要性を伝える方法、組織変革における具体的なアクションプラン、統制型とオープン型の組織のバランスの取り方など、具体的な課題に対する答えが示されました。これらの議論は、変革を推進するすべての人にとって、貴重なヒントとなったはずです。

そのうち、自分が印象に残ったいくつかを詳しく紹介します。

グループに分かれてワークショップ

(問い)改革が経営陣や顧客に伝わらない&認められない

(答え)
まず経営陣や顧客に刺さる言葉(Why)で飛び込め!次に小さな成功体験を積みあげてそれを言語化する。

推進者側の課題感で良くあるのがこの「ステークホルダーからの理解が得られない」です。

沢渡さんは対経営陣、安達さんは対顧客やパートナーという切り口で「相手に刺さる言葉で飛び込め」と「小さな成功体験をさり気なく伝えよ」という具体的なアドバイスの言葉を頂きました。


(問い)組織変革。具体的に誰をどう巻き込めば良い?

(答え)
まず自分が前面に立つ。一緒にやりたい人を少しずつ巻き込む。外圧からメンバーを守る。ついて来れない人は静かに他のミッションに移す。

自分も含め変革を推進する立場の人にとっては共通の課題です。簡単に言うと「どうやって周りを巻き込んだら良いの?」「自分だけが孤立して他の人がついてこない」という課題です。この問いに対して、朝比奈さんが上記のようにズバリ答えています。「推進者で大切なのは理論とパッション」そんな金言も頂きました。


(問い)統制型組織とオープン型組織のバランスをどう取る?

(答え)
両者はバランス良く。人の特性や希望によってチームを分けるとか、部署の中で役割をローテーションするだけでも良い。

地方都市の製造業・メガバンク・地方自治体・大手流通業などの企業が、創業から受け継がれてきた組織文化をポイっと捨てていきなりイノベーション体質に変わる事などできるのでしょうか?

答えは【No】です

だから、上記のようなバランスを取りながら進めることが重要だという答えになるのです。大切なのはどちらが良い悪いではなく、一人一人の行動をそういった方向に変えていき、組織全体をアップデートしていくこと、という事を学びました。

ファシリテーター役で奮闘中のワシ💦

▶最後に

みなさんの会社にはイノベーション体質はインストールされていますか?

「弊社は先進的な技術を世の中に提供して
業界にイノベーションを起こしています」

こう答えるスタートアップや外資系テック企業が革新的な技術やサービスを提供し続ける背景には、組織文化としてイノベーション体質がしっかりとインストールされていると言う事実があります。

では、JTCと呼ばれる昔ながらの価値観を重視する日本企業や地域社会はどうでしょう?従来の常識や過去の成功体験にしがみついたままでは成長は見込めない事は明らかであり、それに気付いているはずです。

しかし、今回のイベントで議論し共有されたことを続けていけば、そんな伝統を重んじる企業や地域社会でさえ、過去の成功体験に囚われず、成長への道を切り開くことができると思いませんか?

このコラムを通じて、皆様が変革の一歩を踏み出すきっかけになれば幸いです。イノベーションの迷子にならず、共に新たな価値を創造しましょう!

笑顔で記念撮影!

あいしずHRは、2023年4月沢渡あまねさんが中心となって立ち上がげた「地域にやりがいのある新たな仕事や活躍の場を創出する」有志が集まるコミュニティです。
あいしずHRの「あいしず」は、愛知県・静岡県の事で、発起人や参加メンバーは、愛知県や静岡県にゆかりのある方で構成されています。

あいしずHRの紹介や私が書いた過去のワークショップのレポートのリンクを掲載しておきますので、興味のある方は読んで下さい。

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