「リーダーのように組織で働く」〜二刀流時代の情シスリーダー像とは
今日の記事は「リーダーのように組織で働く」(小杉俊哉さん 著)の読書感想文です。
私はこの本を読んで、もう個人が会社にガチガチに縛られて働く時代におさらばしないといけない時代になったと痛感しました。
情シス部門では、非管理職のメンバーが目の前の仕事に忙殺され、目標を見失ってしまう場面に良く遭遇します。成長の機会を失ってしまったメンバーはやがて疲弊し、後ろ向きで卑屈な言葉を発するようになります。このような負のスパイラルに陥らないためにも、情シス部門のリーダーは、新しいリーダー像を示し、組織全体を活性化させる必要があると思います。
本書にはその答えがありました。
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・管理職もメンバーも、個人の自己実現と組織の目標達成と言う二刀流を目指せ。
・管理職はメンバーが自律的に、リーダーのように働けるようサポートせよ。
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新しいリーダー像とはどういったものなのか、本書はその指針となる一冊です。
▶︎リーダーって何だろう?
みなさんに質問です。
問1「リーダー」に必要な素養や能力は何だと思いますか?
カリスマ性や役職そのもの
統率力で組織を引っ張る力
失敗を恐れないチャレンジ精神
誰からも慕われる人望
組織のパフォーマンスを最大限に引き出すマネジメント力
「どれかひとつは必要でしょ」
「いや全部ないとリーダーにはなれない!」
色々な意見があると思いますが、大多数の人が抱くリーダーに必要な素養や能力はこのようなものだと思います。
同時に「この素養や能力がなければリーダーにはなれない」とリーダーになるためのハードルを勝手に上げてはいませんか?
さらには、「リーダーってさ、社長や役員、管理職のことだから俺たちぺーぺーには関係ない世界だわ」と思い込んでいる人もいますね。
本当にそうでしょうか?
▶︎あなたが目指すリーダー像とは?
続けてもう一問。
問2 リーダーと言う言葉から連想する人物は誰ですか?
スティーブ・ジョブズさん(アップル創業者)
稲盛和夫さん(京セラ創業者)
原晋さん(青山学院大学陸上部監督)
廣瀬俊明さん(元ラグビー日本代表キャプテン)
城島茂さん/大野智さん(
TOKIO/嵐)
リーダーには色々なタイプがあります。ジョブズさんや稲盛さんは強烈なカリスマ性を持ったリーダー、原さんや廣瀬さんはチームを精神的に引っ張りつつもメンバーの主体性を尊重する支援型のリーダーと言うイメージがあります。さらに城島さんや大野さんはチームを引っ張るイメージもない(笑)。でも個性的なメンバーを絶妙のバランス感覚で上手に操るタイプのリーダーと言っても良いでしょう。
しかし、カリスマで独創的リーダーのイメージが強いジョブズさんや稲盛さんは、ある時からメンバーの主体性を尊重する支援型へとリーダーシップのスタイルを変えていたことを知っていますか?
全てを掌握し声高らかにビジョンを唱えるカリスマ・リーダーでも、会社の成長段階や社員数に応じてあるタイミングから権限移譲して分散型の組織に移行する必要があるのです。リーダー自身がやり方を変える良いお手本と言えますね。
▶︎あなたはリーダーになりたいですか?
最後の質問です。
問3 あなたは組織の中でどんな立ち位置で働きたいですか?
リーダーとして働きたい
リーダーとして働きたくない
リーダーのように働きたい
リーダーとして働きたい人は、ビジョンと目標を明確に示して成果を出す事にやりがいを感じている人ではないかと思います。そのために起業や役職と言うカードが必要になる。上記のジョブズさんや稲盛さんのように行ける所までグイグイやり切るタイプでしょうね。
リーダーとして働きたくない人は、自分の得意分野や専門性を発揮し、世の中に貢献する事に対してやりがいを感じている人です。リーダーシップやマネジメントより技術を極めます!みたいなタイプ。でも決して仕事のモチベーションが低い訳ではなく組織への貢献度も高い場合もあります。
※そうじゃなくてただマネジメント業務から逃れるために専門家アピールする人もいますが。
そして最後、リーダーのように働きたい人。これは誰かに頼まれた訳ではないけど組織の目標達成のために自ら進んで行動することができるタイプの人です。このタイプの人はリーダーやマネージャーと言った肩書は必要とせず、自分のやりたい事と組織の方針や目標達成と言う二刀流の実現に対してモチベーションを高く保っている人だと感じます。
▶︎情シス2.0。情シスは二刀流でリーダーのように組織で働こう!
時代や組織形態、組織が目指すゴールによって必要とされるリーダー像が色々ある事がわかりました。
では、情シス部門やITの世界で働く人にとって、DX時代に相応しいリーダー像って何だろう?と改めて考えてみました。
結論として、情シス部門は最後の「リーダーのように組織で働く」がDX時代に相応しい理想的な働き方だと、確信しました。
情シス部門は、デジタルを活用した業務改善で従業員の働き方を変えなければいけない。ITシステムの進化について来れない人を伴走して底上げしないといけない。
そんな状況下で「言われたことだけをやれば良い」とか「ITが苦手な人からの問い合わせや依頼を改善しないで面倒くさそうに処理する」。こんな情シスでは、DXの実現はおろか社内からは一向に信頼されないお荷物部署に成り下がってしまいます。
そうならないよう、情シスの人はリーダーでなくても、今すぐ以下のことを実践すべきです。
現場部門に溶け込み信頼関係を築く
IT技術や最新の活用事例を収集する
社外コミュニティに参加し自己開示と言語化スキルを磨く
メンバー全員が、リーダーの命令や指示がなくても自ら進んで組織外と越境学習し、コミュニティ活動を行い、そこで得た知見や手法を上手に所属組織に持ち帰れば、自然に組織のパフォーマンスが上がり成果を上げる事が出来るようになるのではないでしょうか。
これは、まさに健全な組織のバリュー・サイクルを回せている状態と言えます。部門全員がこの働き方にコミット出来る情シス部門って最強ですね。
▶︎バックオフィス2.0。自ら価値を創出する働き方にシフトしよう
情シス部門はもちろんのこと、総務・経理・人事・経営企画などのバックオフィス部門もまた、このようなメンバーが、リーダーのように組織で働くスタイルを目指すべきです。
本書ではこのようなリーダーシップのスタイルを「リーダーシップ4.0」と表現しています。
今まさにバックオフィス部門は、DX、SDGs、ダイバーシティ・インクルージョン、サイバーセキュリティ対策、ガバナンス強化と言った新しいテーマの対応を迫られています。
特に地方のJTC企業は、今の会社の文化とは相容れない、前例なしの取組みを一から企画推進しなければいけません。
そんな状況を、従来型のマネジメントとリーダーシップで乗り切ることなど到底できません。バックオフィス部門こそ、いち早く「リーダーシップ4.0」にアップデートして組織全体をリードし始める時期に来ています。
▶︎最後に
私が本書と出会ったきっかけは、愛知県豊橋市で定期開催している、企業間越境型の変革実践者コミュニティ『あいしずHR』です。
この感想文も自分ひとりの力で書いたわけではありません。あいしずHRのワークショップに参加し、その議論を通じてメンバーの方から気付きをもらい、言語化した結果なのです。
みなさんも自分の方向性に合った人が集う場や人を見つけてコミュニティに参加しみることをオススメします。
私が定期的に参加するワークショップがもうひとつあります。「組織変革Lab」です。「組織変革Lab」では、人材育成やDX推進、組織文化の変革を推進している(しようと言う想いを持っている)様々な業種の方がオンライン上に集い、ワークショップ形式で議論を行います。参加者は議論した内容を持ち帰り自組織の課題解決に役立てることができます。
社外の方と壁打ちしながら自分の仕事をアップデート出来るワークショップです。オンラインで参加できるので、是非一緒に壁打ちしてみませんか?
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