情シスのリーダーに必要な「越境思考」をダム際で考えてみた
こんにちは。まさ@アップデートする情シスです。
今日は日本のど真ん中のとあるダムに来ています。30度を超える猛暑ではありますが、いつもと違う環境でリラックスして振り返る貴重な時間です。
今回のnoteは、改めて越境について書いてみようと思います。
越境と言えば、沢渡あまねさんの書籍「新時代を生き抜く越境思考」。私にとって越境学習のバイブルであるこの本のエッセンスも盛り込んでいきます。
越境とは?
ここで言う「越境」とは、
イノベーションが進まない。それどころか,目先の仕事の業務改善すら進まない。
企業や自治体が抱えるこのような組織上の問題を解決するための決め手となる考え方です。
自分のホームグラウンドである会社や組織と言う枠組みを「飛び出して」今までと違う環境(アウェイ)で、学びや気付きを得る活動を越境と言います。
越境との出会い
私自身が越境し始めたのは、2023年の1月この書籍の著者である沢渡さんが主催する「越境学習体験ツアーin佐久間ダム」への参加がきっかけでした。
それ以来、私自身も社外コミュニティやワークショップに参加するようになり、社内だけでは解決できない課題解決の方法や、仕事のヒント・アイデアを学びあう活動を通じて横のつながりを作ってきました。
今回は「新時代を生き抜く越境思考」のサブタイトルである【組織、肩書、場所時間から自由になって成長する】の部分にフォーカスを当てて私自身が自組織で試行錯誤しながら実践したことを紹介しながらマネージャーに求められる「越境マネジメント」について言語化していこうと思います。
変革できない情シス部門
まず、最初に古い考えを持った組織を変革するために越境学習をどう取り入れたか、私が所属する情シス部門の例をご紹介します。
私が属する中堅製造業の情シス部門は、全員で10人足らずの組織です。
情シス部門は、生産部門が使う基幹システムを全て内製開発し、会社のネットワークインフラをゼロから整備した素晴らしい組織です。
一方、ここ数年経営からはシステムの開発保守をするだけでなく、利用者のITリテラシーを高めながらクラウドやパッケージソフトを活用した新しい働き方を企画提案する役割を求められるようになりました。
DXが叫ばれる今、情シス部門の役割は「ITを活用して生産性向上や働き方改革を推進する部門」に変わったと言えます。
しかし、先進的な考え方を持つべき情シス部門自身が「すぐには変われなかった」のです。
それはなぜでしょう?
上からの期待役割と実際の業務との間に大きなギャップがあったからです。
実際、情シスの業務の半分以上(多い時は8割)は、利用者からの問い合わせや依頼対応、古いシステムの運用保守やトラブル対応、パソコンのセットアップ、ITとは関係ない機器のトラブルの相談などで占められます。
さらに、利用部門からは「パソコンの便利屋さん」としてしか見られていないこともあり、こう言った通常業務に1日のほとんどが費やされてしまうと言う課題がありました。情シスの意識が変わらない原因はここにあります。
情シスがこのような状態では、新しい企画推進をやる余裕はなく、経営もDX推進を任せる事ができないのは明白ですね。
組織を変革する越境の仕方
では、具体的にどうやってこの組織を変えていけば良いのか?色々やりました。
問い合わせ対応の属人化をなくすためにbacklogと言うクラウドサービスを使って共有したり、スクラムのようなプロジェクトでシステム開発の新しいスタイルを勉強したり…
しかし全て中途半端に終わってしまいました。自分やチームの役割やミッションが変わらなかったからです。
ここで越境思考の登場です。
まず組織の中で役割を2つに分けました。
1つは、レガシーなシステムの運用保守やサポートデスク、パソコンのキッティング等のような従来のシステム運用保守業務を担当する「縁の下の力持ちチーム」
もう一つは、新しい働き方を推進し業務改善やDXを先導する「企画推進チーム」です。
まず、「縁の下の力持ちチーム」。良くレガシーなシステムの運用保守やサポートデスク業務が価値を生まないと言う人がいますが、これらの業務は絶なくなりませんし、決して軽視してはいけません。
マネージャーは、この業務に合ったメンバーをアサインして、徹底した業務効率化と従業員からの満足度向上をミッションにチーム運営します。
もう一つの「企画推進チーム」に対しては、DXや働き方改革を推進するために、積極的に越境させて、外部知見を取り入れながらスピード感を持って多くのアウトプットを出してもらうことをミッションにしました。
マネージャーは、ミッションの異なる2つのチームの考え方や方向性のギャップを「対話」を重ねるて、両チームのバランスを取るような動きをしました。
時にはアクセルを踏み時にはブレーキをかけるといった柔軟な決断も求められたので大変でしたね。
コミュニケーションを停滞させる肩書き
続いては、組織の変革を阻む「肩書き」について
私はこの「肩書き」こそ組織の変革を阻む最も大きな要因ではないかと思っています。
特に地方の中堅製造業においては、組織のヒエラルキーが明確で「肩書き」によって求められる役割が分かれています。
スタートアップやベンチャーのようなネットワーク型組織やプロジェクト型組織とはコミュニケーションの仕方が大きく違うのです。
肩書が組織変革を阻むわかりやすい事例を挙げてみます。
皆さんの組織でも、こんな「肩書きによるコミュニケーションの停滞現象」を目にする事はありませんか?
肩書きによるコミュニケーションの停滞や心理的安全性の低下を解消するには、肩書を持った管理職自身の意識を変えるしかない、と私は考えます。
マネージャーこそ肩書きのない越境を
具体的にどうやってこの状況を改善すれば良いのでしょう?
部門のマネージャーが単独でしかも明日から出来る方法があります。「社外への越境体験」です。
具体的には、社外コミュニティや勉強会、ワークショップへの参加です。
ここでは、社内で通用した肩書きは意味も持ちません。1人の人間として他の参加者とフラットな立場での議論や対話を求められます。
今まで肩書や地位といったものに依存していた人は、ここで初めて間違いや違和感に気づくことがあるでしょう。
例えば、、
部下やパートナー企業に対する高圧的な態度
逆に上司やお客様に対して過剰にへり下るような下請け根性丸出しの意識
越境体験を通じて、このような態度や意識が間違っていることに気付くことが出来れば、組織に戻った時にフラットな状態で、新入社員やメンバーとコミュニケーションすることができるようになるはずです。
コミュニケーションの停滞を打破するには、マネージャー自身の越境体験による学びや気付きが最も効果的です。
まず半径5メートル以内で越境しよう
最後に、場所と時間の越境効果について。
リモートワークやフレックス制度の導入が、生産性向上や働き方改革の成果として認識されている事は間違いありません。
リモートワークやフレックスも場所と時間の越境であると言えるでしょう。
これらの制度に加えて自分でできるもっと簡単な場所と時間の勉強の例をご紹介します。これは私が実際にやったことです。
部門内フリーアドレスでプチ越境
それは「部門内フリーアドレス」です。
情シス部門のようにパソコンの前で仕事をすることが多い人は、どうしても自分の席が自分の城のようになってしまいます。
毎日同じ席に座り、毎日同じ人と話をして変化のない毎日を送ってしまいがちです。
そこで、情シスメンバー全員のパソコンをノートパソコンに変えて、毎日朝来たら自分の席を自分で決める「フリーアドレス制」にしました。
最初は抵抗がありましたが、今はもう当たり前になりました。
こんな効果が生まれました。
フリーアドレスになることで、内線電話番号と人の紐付けがなくなり、かかってくる電話が減りました。
固定電話も一人一台から部門で2台に減りました。
電話の代わりに、teamsによるコミュニケーションが中心となり、部門からの問い合わせや依頼も人ではなく、チーム全員に来るようになりました。
問い合わせやトラブル情報が自然な形でチーム全体に即時伝達されるようになったのです。
さらに別の効果として、メンバーが今日の成果を意識して仕事に当たれるようになったことがあげられます。
今日はアイディアをまとめる時間に集中したい人は比較的静かな1番端の窓際の席に座る。
プロジェクトの相談や資料のレビューをしたい時はチームリーダーの隣に座る。
このようにその日のゴールや目的に合わせて場所を柔軟に変える働き方が定着したのです。
効果自体は小さいかもしれませんが、「半径5メートルから少しずつ景色を変えていきたい」と思っているマネージャーの人はぜひトライしてみてください!
最後に
こ記事は、岐阜県の小里川ダム際にある道の駅で書いています。名古屋から車で1時間半。自然に囲まれた環境で仕事かプライベートか判別出来ないあいまいな時間を自分で作り出す。これも越境学習の一つのスタイルだと思いませんか?
さあ、lets Go 越境!
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