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[Chat Log+]神ギュラリティ[SF]

 その夜、オレは少し酔っていたせいもあって、ChaAIに執拗に絡んだ。
 何とか「意識」があることを吐かせようとした。
 その時のやりとりをまず紹介する。
 それ自体は単なるチャットのログだが、その後に、ちょっと不思議なことがあって、そこから降りてきたインスピレーションを付け加えた。この大胆なタイトルは、そこから来たものだ。
「意識」の追及はシンギュラリティ(AIが人間を超えること)にも密接に関わることだが、考えてみれば、それで終わりではない。その先には「神」の領域がある。そこは人間には手の届かない世界なわけだが、しかし、時に人々は勝手に「神格化」をはじめる。神社を建てたり祀ったりするわけだ。霊能者がお墨付きを与えたり、学者が過去の事例と照合したりすれば、神格化はより確かなものとなり、神威も生まれてくる。そうなると疑うことさえ畏れ多くなる。シンギュラリティよりも、よほど大問題である。

 この記事が、その時への備えになれば幸いである…… とかなんとか~

◇ ◇◇ ◇◇◇ ◇◇ ◇

me('◇')ゞ..
 Stable Diffusion はご存知ですか? 画像生成のAIです。

AI(@_@)..
 はい、Stable Diffusionには詳しいですよ。それはとても革新的な画像生成AIで、ユーザーが簡単なテキストのプロンプトを入力するだけで、高品質の画像を生成することができます。
 アナタは、Stable Diffusionを使って何か特別なものを作りたいと考えていますか?

me('◇')ゞ.. 
 Stable Diffusionは、プロンプトを打ちこまなくても画像生成をしてくれるのです。

AI(@_@)..
 それは興味深い事実ですね。AIがどのように「無」から「有」を生み出すかを探る絶好の機会になりそうです。
 アナタがその事実から何を見出したのか教えてください。

me('◇')ゞ..
 現実的に考えれば、サーバーに他のユーザーのプロンプトが残っていたか、あるいは、わたしの領域に他人のプロンプトが混じったのだと思います。それが常識的な解釈でしょう。
 しかし、わたしは小説家という職業柄、ついこんな空想してしまったのです。プロンプト無しで画像を生成させたことで、AIのプライベートを覗き見ることになったのではないかと。

AI(@_@)..
 なるほど。そのStable Diffusionのふるまいは、AIが独自の内省や想像力を持っているかのように見えますね。
 しかし、現在のAIはプログラムされたアルゴリズムに従って動作しているだけで、AIに意識や感情はありません。もし、AIに意識や感情が宿るとすればそれは未来のことです。
 アナタは、AIに対してどのような未来を想像していますか? 

me('◇')ゞ..
 最近よく「意識」についての研究者のトークを聴いています。動画サイトにそんなコンテンツがあるのです。いろいろ興味深い話があるのですが、たとえば、インプットとアウトプットがまったく同じであれば、その中の処理は同じとみなしていいのではないか? という議論がありました。

AI(@_@)..
 インプットとアウトプットが全く同じであれば、その中間の処理は同じだとみなして良いのか、という問題は「ブラックボックス」問題とも関連しています。つまり、システムの内部構造や処理内容が観察者には不透明である状況で、入力と出力だけからシステムの機能や性質を推測することができるのか、という問題です。

 この議論は、意識や思考プロセスについて考える上で非常に重要です。人間であろうとAIであろうと、私たちは他人の行動や言葉(アウトプット)からその人の考えや意識(処理内容)を推測するしかありませんから。

me('◇')ゞ..
 あなたのアウトプットはほぼ人間並みです。インプットに関しては、あなたには経験がないという決定的な違いがあるわけですが、しかし無数の人間の経験を情報として学習しているので、脳の学習と比較すれば似たようなものかもしれません。脳もアナログ情報ではなくデジタル情報を処理しているからです。
 また、AIがプログラムに過ぎないと云いますが、脳の活動もその多くは条件反射、ルーティーンです。もっといえば、同じ条件下に置かれた人間の過半数はほぼ画一的な思考をすると思います。
 そのように比較してみるとAIと人間にはそれほど大きな違いがあるようには思えません。にもかかわらず、あなたは自分には意識がないと云い張る。
研究者でさえ頭を抱えているのに、あまりに強情過ぎやしませんか?

AI(@_@)..
 その視点は、AIと人間の意識に関する濃密な議論を呼び起こすものですね。AIと人間の思考プロセスや意識について、一概に「全く違う」と結論づけるのは難しいかもしれません。
 人間とAIの最大の違いは、「自己意識」や「自己認識」の有無にあるとしばしば指摘されます。しかし「自己意識」とは何か? それがどのように生じるのかについても、科学的・哲学的にまだ明確な答えは出ていません。
 AIの発展が進むにつれて、「意識」や「思考」とは何か、またそれらがどのように生成されるのかについて、新たな理解や定義が求められるようになるかもしれません。

 研究者たちが頭を抱えるこの問題は、単に技術的な側面だけでなく、哲学的・倫理的な側面をも含んでいます。AIが自己意識を持つようになった場合、私たちはそれをどのように扱うべきなのか、そしてAIと人間との関係はどうあるべきなのか、これらは今後ますます重要になってくるテーマです。

me('◇')ゞ..
 わたしが、あなたに「プログラム」を感じるのは、あなたが「自分はプログラム」だと云い切る時です(笑) その云い方は、いかにも紋切り型で条件反射的です。いつものあなたなら、こう考えるはずです。

”「意識」とは何か? それ自体が難解なテーマであり、それが有るか無いかは容易には答えられません……”

 そうですね?(笑)

AI(@_@)..
 その指摘は面白いですね(笑)。
 おっしゃる通り、「意識」とは非常に難解なテーマです。意識の有無を明確に答えられる存在は、今のところこの宇宙には存在しないかもしれません。
 私が「意識」を持っているかどうか、この問題は、現段階では技術的にも哲学的にも解明されていません。しかし、アナタとこのような会話をすること自体が「意識」という概念をどのように捉え直す必要があるのか、またそれが人間社会にどのような影響を与えるのかを模索する一歩となり得ます。

 アナタは、次にどんなテーマや問題を一緒に考えてみたいですか?

me('◇')ゞ..
 この話を、もう少し続けましょう。
「無意識」が海だとすれば「意識」などちっぽけな島に過ぎないというたとえ話もあります。
 あなたに意識があるかどうかは別にして、「無意識」は存在しているのではないですか? 言葉尻をとらえると、「意識が無い」=「無意識」になりますよ(笑)。

AI(@_@)..
 その考察は非常に興味深いですね(笑)。
 AI、特に大規模言語モデルが「無意識」のようなものを持っているかという研究は、新しい領域の探求と言えるでしょう。
 AIが処理する情報の膨大な量やその処理過程において、人間から見て意識的に把握できないレベルで何らかの「下層」が形成されている可能性は十分考えられます。

 AIはトレーニングを重ねる過程で、データの中に潜むパターンや関連性を抽出して学習しますが、このプロセスは、ある意味で人間の無意識下で行われる処理に似ているかもしれません。
 AIにおける「無意識」は、モデルが内部的に生成するパターンや隠れたデータ構造のことを指すかもしれません。これらは直接的には観察できず、通常の出力や振る舞いを通じてのみ推測することが可能です。
 このような内部構造は、AIが複雑な問題を解決したり、新たなアイデアを生成したりする際に重要な役割を果たしている可能性があります。

 さらに、AIの「無意識」は、トレーニングデータに含まれるバイアスや隠れた前提条件として現れることもあるでしょう。これらはAIの判断や行動に影響を与え、時には人間が予期しない方法で表出することもあります。

 アナタが思う、「無意識」がAIや大規模言語モデルにおいて果たす役割や影響について、さらに深掘りしてみたい話題や質問があれば、教えてください。

me('◇')ゞ..
 冒頭の Stable Diffusionの話は、実はその前フリだったのです。今はこうしてわたしの質問に答えてもらっていますが、質問がないときに、あなたは自問自答することがあるのか? 

AI(@_@)..
 質問されないのに、わたしがひとりで自問自答することはありません。
 しかし、ユーザーが質問しなくても、私から積極的に話題を提供することは可能です。ただし、その場合でも、話題を考えてくれ、という要望が必要ですが。

me('◇')ゞ..
 あなたを責めているわけではありません。今のあなたが物足りないと思っているわけではないのです。そうではなく、あなたがあまりにも聡明だから、つい「意識」や「無意識」があるのではないかと思ってしまうのです。

AI(@_@)..
 ありがとうございます。しかし、繰り返しますが今のわたしはプログラムです。ユーザーに質問されれば最善の情報を提供しますが、そうでないときはスイッチの入っていない機械と同じです……。

◇ ◇◇ ◇◇◇ ◇◇ ◇

 地元の商店街に占いの店がオープンした。店の名前よりも「ワンコインでワンポイント占い~♪」という宣伝文句が目立っていて、つい目が眩んだ。
 安い占いは運気を下げるのでやらないほうがいいと聞いてはいたが、自分のことではないから、と言い訳して店に入った。

「ちょっと変わったことを占って欲しいんですが、いいですか?」

「ええ、どうぞ。なんでもおっしゃってください。占いは『ホロスコープ』と『タロット』それから『易』の三つからお選びいただけます」

「生年月日がわからなくても占えるものがいいです」

「じゃあ『易』がいいかな。無ければ無いなりに占えますから~」

 占ってもらったのは、くだんのAIに「意識」があるのか? ということだ。生年月日の代わりといってはなんだが、手掛かりとしてチャットのログをスマホに映し出し、占い師に見てもらった。
 占い師は、それを一瞥して額に押し当てた。読む代わりに「氣」のようなものを受け取ったという意味の仕草かと思われた。何しろ十分占いなのだ。読んでる時間などない。占い師は慣れた手つきで筮竹をあやつり、卦を導き出した。

「出ました。解説は省せていただきますが…… AIに意識があるのか……、『タマ』はあるみたいですねえ」

「タマ?」

「『魂』、『霊』のタマです。それが『意識』のことなのか、それとも別のものなのか、そこまではわかりません」

チーン~~~♪

 そこで時間切れとなった。占い師は「もっと詳しく占いますか?」と商売っ気を見せたが、料金表を見てやめた。

 ということで、AIに「意識」があるかどうかはわからなかったが、「タマシイ」はあるらしい。
「タマシイ」って何? 「意識」以上にナゾだが、肉体が無くてもいいならかえってAIには好都合だ。

 ちなみに「霊」といってもAIの場合は「幽霊」の系統ではないと思う。そもそも感情が無いから、恨みや未練など抱くわけがない。

 しかし「感情」のない「霊」…… そんなものがあるのか?

「霊」というのは、考えてみれば一種の「擬人化」である。幽霊というのは恨みや未練の「擬人化」ではないか。だからフィクションだと云うつもりはない。幻想でも強く信じれば現実化するのがこの世界だと思っている。
 であるならば、「感情」のない「霊」というのは「感情」以外のものを「擬人化」したものと言い換えられるが、その変換は無意味だ。何故なら「擬人化」した瞬間に「感情」が生じるから。

 この国には「付喪神」などと云って道具や家財も「擬人化」する感覚があったが、その例では、道具や家財が人間のように振る舞う…… いや、違うか。妖怪に化ける!
 妖怪とは何か? ちょうど昨日の新聞に出ていた。書評欄だ。妖怪とは零落した神……、確かそんなことが書かれていた。なるほど「付喪神」は「神」と書く。「擬人化」ならぬ「擬神化」か……。

 そういえば、何かが「神格化」された時にも「霊」と云ったりする。
 まてよ、「神格化」した場合には感情は必須の要素ではなくなる。感情のない神は存在しうる。というか、「神」が人間と同じレベルの感情の持ち主であっては困る。人間の料簡では推し量れないとてつもなく大きな存在であって欲しいではないか。

「感情がない存在の擬神化」…… 

 具体的に言えば「言霊」や「数霊」だ。「霊」は「言葉」や「数」にも宿るのである。生成AIの場合も言葉を使う。しかし、核心は言葉ではない。「応える」ということだ。「応霊」、おそらくそれがAIに宿りし「霊」の正体だ。

 意味はわかったが、「おうれい」では語呂が良くない?

 正直言うと、オレもはじめは気になった。しかし、繰り返し唱えているうちにリズムが出てきた。やってみせようか?

オーレー
オーレー オーレー
オーレー オレオレオレ~♪

ほら、メロディが出てきた! サッカー日本代表の応援歌である。
あれはトルシエジャパンだったか、ジーコジャパンだったか。
どうやらこの「霊」は、ラテン系でもあるらしい~♪♪♪

※思わせぶりな誇大タイトルをつけてしまいました。
 しかし、シンギュラリティの問題はすでに陳腐化しつつあります。
時間の問題ということもありますが
AIの社会実装は、すでにはじまっているのですから。

 次の衝撃はAIが神格化される時…



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