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「学習する組織」のコンセプトをベースに、新しい学校モデルの確立を目指す札幌新陽高校の軌跡

最近経営に関する本を読むことが多く、先日も下記の本のレビューを書きました。

そして、先月下記の記事を読んで、上の本とのつながりをたくさん感じたのでこちらに記しておこうと思いました。

まず、こちらの記事は「先生の学校」という先生のためのオンラインコミュニティのHP上に掲載されてものです。

私は以前このコミュニティに参加していたのですが、今は退会しております。ただ、今もメルマガには登録していて、毎週このように記事を読んだりしています。(忙しくてセミナーなどになかなか参加できないため退会はしましたが、志高い教育関係者たちが集まる素晴らしいコミュニティなので、興味があればHPをご覧ください)

それでは、記事の内容に触れていきたいと思います。

まず、記事でフィーチャーされているのは札幌新陽高校という私立高校に2021年度に民間出身の校長として赴任した赤司展子先生です。記事内にある通り、大手の商社やコンサルを経て福島県の教育復興にかかわったのちに、現職に就きました。

赤司先生は赴任後学校改革に取り組むわけですが、その改革を支えたのがMIT(マサチューセッツ工科大学)のピーター・センゲ氏が書いた「学習する組織」でした。

こちらは世界的にも知られる名著であり、私もいつも読まなければと思っているのですが、その分厚さ(584ページ)に恐れおののき、今も「積読」となっています・・・。

そしてセンゲ氏は「学習する組織」をベースに、学校に関しても上梓されています。それが「学習する学校」です。私はまだ購入すらしていないですが(「欲しいものリスト」に長い間入ったままです・・・)、うちの学校の教員研修はこちらの本で書かれていることをベースに進められたりしています。

ビジョンをつくる、共有することが全ての第一歩

「ビジョンをつくる」そして「ビジョンを共有する」のが、全ての第一歩だと考えています。それは「なぜやるか?」が示されていることが大事だということです。
どこに向かっているか分からない状態では、何か重大な問題や緊急なことが起きたときに、指示がないと動けない状況をつくってしまいます。

https://www.sensei-no-gakkou.com/article/no0053/

赤司先生は学校改革を行う上で、まずビジョンの作成、共有に取り掛かりました。これは冒頭に記した「今までの経営書には書いていない 新しい経営の教科書」で岩田さんも強調していたことで、組織運営の基本の「き」の字と言えます。

ちなみに同校では下のようなフローで改革を進めていったとのことです。

札幌新陽高校が目指す「学習する組織」のコンセプト

「ビジョンの策定」の重要性は言うに及びませんが、私は2番目の「余白をつくる」ことにもとても重きを置いています。

https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20170306-OYTET50004/

上のグラフの通り、日本は先進国の中でダントツの生産性の低さを誇っています。高度成長期の働き方を今でも引きずり、馬車馬のように働いてもアメリカの6割程度の生産性というのは質の悪い冗談にしか思えません。(このCMわかる方いますか?笑)

生産性を高めるためには、ICTの活用はもちろん、働き方全般を見直さなければいけません。働き方を変えていくうえで大切なのが「余白をつくる」ことだと思っています。よりクリエイティブな仕事をするためには、職場にも心理的安全性が必要です。職員室の風通しを良くし、互いに信頼関係を築くことは生徒への教育効果の向上にもつながります。

中つ火(なかつひ)を囲む会

赤司先生は就任後職員会議を廃止し、月に1回「中つ火を囲む会」という教職員の対話の機会を作りました。普段忙しくなかなかコミュニケーションが取れない状況を変えるために、いろいろな話題をざっくばらんに話すことで、先ほど述べた心理的安全性を高め、よりチームワークを高めていきます。

ちなみに私の学校も創設以来定例の職員会議はありません。学内にはイントラネットがあり、情報共有はもっぱらオンラインで行っております。学年や部署、教科などのスモールグループでの会議はいろいろなところで開催されていますが、一般的に多くの会議が情報共有で終わってしまうところ、我々は会議を「議論し、決定する場」と位置付けています。

また、我々の学校では年に数回教員研修を行うのですが、その研修のほとんどは対話を重視したワークショップなどです。そのような場で「建学の精神」や「教育方針」を毎回共有し、皆が同じ目線で教育活動にあたることができるようにしています。

「学習する組織」=自走する自律型組織

そして記事の最後に赤司先生は下記のようにおっしゃっています。

学習するクセが組織に身につくことが「学習する組織」の一つの目的で、学習するクセが身につくと、カリスマ校長やエースがいなくても自走する自律型組織をつくることができる

https://www.sensei-no-gakkou.com/article/no0053/

私は(そしてうちの学校は)、生徒たちを「自律的学習者」に育てることを目標としています。「自律的学習者」は卒業をした後も「生涯学習者」として一生学び続けます。そしてそれは個人だけではなく、組織にも当てはまると考えます。

教職員が皆「圧倒的な当事者意識」を持ち、個人としても組織としてもしっかりとPDCAを回して、チームとして戦っていければ学校改革は成しえるはずです。

私も「学校改革」の従事者の一人として、赤司校長と札幌新陽高校から学ぶことは多くあります。これからも彼らの改革に注目していきたいと思います。

札幌新陽高校の改革のお話はこちら。

赤司校長のブログはこちら。

最後までお読みいただきありがとうございました。