不安とストレスの「ジャーナリング」とヒント
心配や恐怖について繰り返し考える反芻(はんすう)思考は、不安障害などの特徴的な症状です。
反芻思考をしてるうちに、否定的な考えに頭の中が支配され、日常生活や社会生活に影響を及ぼす危険性があります。
ジャーナリングは、反芻思考を頭の中から取り除き、客観的な思考を取り戻し、あなたを支える縁の下の力持ちとなります。
不安に対してのジャーナリング
どこでもジャーナリング
感情や思考は、急に押し寄せてくることがあるので、どこでもすぐにジャーナリングできるように、小型のメモ、スマホメモ、アプリなどを用意しておくと、場所を選ばずにジャーナリングができます。
パターンを探す
不安な感情や思考をジャーナリングしながら、それらが自分の行動にどのように結びついているのかを検討しましょう。それは、不安を克服するための具体的な計画と目標を作成する土台となります。
感情や思考を証明する
不安な感情や思考は、検討してみると事実と異なる場合が多々あります。ジャーナリングでその感情や思考に至った経緯と、あえてそれが間違っていることを証明してみましょう。
コントロールできるもの
人は不安な時、多くのことをコントロール不能であると錯覚します。現在、自分がコントロールできることをリストアップすることで、不安へのサポートになります。
ストレスのためのジャーナリング
ジャーナリングは、解決策を考案するとともに、ストレスマネジメントのツールでもあります。
感情や思考を書き留めている時間は、日常生活の混乱から離れている状況を自分自身に与えているのです。
これによって、ファイト・オア・フライト反応を促進する交感神経を落ち着かせ、リラックス反応を促進する副交感神経系を活性化するのです。
定期的なジャーナリング
ジャーナリングの時間は、ストレス解消の機会です。定期的にジャーナリングをすることで、より効果的なストレスマネジメントが可能となります。
短い時間でジャーナリング
ジャーナリングの時間を作ることが難しい場合、例えば、通勤中に5分ずつおこなうだけでも、次の行動につながる肯定的な効果が期待できます。
解決策に焦点を当てる
ストレスについてだけをジャーナリングするより、それを引き起こした問題に注意を向けたり、現在うまくいっていることや、自分がやっていることの正当性について書いてみましょう。
2018年の研究では、
ポジティブや人生の良い面に焦点を当てたジャーナリングである「ポジティブインペディションジャーナリング(PAJ)」をおこなった人は、不安障害やうつ症状が少なく、ストレスの回復力が高く、幸福感も高まったと報告しました。
ジャーナリングは心を癒すことができますが、研究では、ジャーナリングで否定的な感情だけに集中すると、うつ症状や不安を高めるというデータがあります。
もちろん、否定的な考え、感情、状況に対処するためのジャーナリングは問題ありません。
しかし、自分自身や人生についての肯定的な内容を取り入れた方が、より良いメンタルヘルスに結びつくのです。
具体的には、
・自分自身について肯定的な内容
・課題などをより理解できるような思考
・事実に基づく肯定的な情報
などをジャーナリングに取り入れましょう。
5つのジャーナリングヒント
1.ルールはないと認識する
ジャーナリングに間違った方法はありません。あるとすればコツかもしれませんが、どのような形でも問題はありません。
また、誤字脱字などを気にして流れを止めないように注意しましょう。
2.罪悪感に対処する
自分が表現した感情や、ジャーナリングをおこなったことに罪悪感を感じると、ジャーナリングをすることを躊躇してしまう可能性があります。
ジャーナリングは先生や上司から言い渡された課題ではなく、むろん採点もされません。個人的なストレス解消の楽しみです。
3.合ったジャーナリングを見つける
・白紙のノート
・罫線付きノート
・日記や日誌(ジャーナル)
・PC、ネットベースのジャーナリング
・スマホメモやアプリ
・アートジャーナル
上記の中で魅力的に見えるものから始めて、消去法をしていくか、その日の気分に合わせて違うジャーナリングを使用しても良いでしょう。
4.必要に応じた時間
ジャーナリングは、「やりたい」からすることであり、「やらなくてはならない」ものではありません。
ジャーナリングは定期的におこなうと効果的ですが、「定期的にできない」「長時間できない」ということを心配したり不安に思うよりは、「やりたい時に」「短い時間で」という考えでリラックスして実践してみて下さい。
5.テーマを決める
ジャーナルのテーマを決めると、文章が書きやすくなり、全体を合理化します。
テーマの例
・健康的な生活習慣について
・特定の問題について
・何かについての意味を見いだす
・本当の自分について
・新しい発見について
定期的にジャーナリングをするヒント
・気軽に実践する
・週に数日から始める
・重要なのは習慣化すること
・朝、夜と試して良い方を採用する
・カレンダーやスケジュールに予定する
おわりに
メンタルヘルスのためのジャーナリングは、人生をコントロールするひとつの方法です。
ストレス要因や感情、問題などについてジャーナリングで対処をしながら、集中力を磨き、前向きな行動につなげるのです。
ジャーナリングは、体験や記憶を使って自分自身を理解して、さらに良くなるために再構築をすることができるツールにもなります。
例えば、セルフトーク(自己対話)をジャーナリングすれば、それをより良いものに変更することができますし、素晴らしい未来のイメージをジャーナリングすれば、よりリアルにその未来を意識することができるようになります。
他にも様々な利用方法がありますので、皆さんも色々なジャーナリングを試して、人生を豊かに書き換えてみてください。
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