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認知行動療法(CBT)の最前線と「10のCBTスキル」

認知行動療法(Cognitive Behavioral Therapy(CBT))は、不安障害に対する非常に効果的な治療法であり、アメリカの成人の約8,600万人に影響を与えています。

CBTが不安障害に対して着目するのは、「根本的な不安の引き金(トリガー)」と「症状に対する実用的な解決策」を見つけることです。

CBTは一般的に短期治療で、1時間ほどのセッションを、週1~20回、最大で約5ヶ月間ほど提供します。

セッションでは主に、症状の管理、症状の回復に有効な習慣やスキルを身につける方法を学んでいきます。

CBTとは

認知行動療法は、個人またはグループセッションで提供される心理療法の一種であり、「思考、感情、行動の領域の1つの変化が、他の2つの領域の変化に影響を与えること」が主要な考え方となります。

CBTセッションの目的は、メンタルヘルスの問題に繋がる考えや行動を中断し、変更するためのスキルを人々に教えることです。

認知行動療法士は、セッションを通じて特定のCBTスキルと概念をクライアントに教え、セッションでの学びを適用することを奨励します。

CBTと他の療法との違い

CBTの具体的な結果を迅速に生み出す構造化されたアプローチは、不安に対する他の療法とは一線を画しています。

他のアプローチは、思考や感情など、不安の認知的側面のみに焦点を当てますが、CBTは行動的側面も重視します。

メンタルヘルスにおいて、思考、感情、行動のいずれかの変化は、症状の大幅な軽減に繋がるという考えに基づいています。

どのような不安障害に適応するか?

CBTはエビデンスに基づく実践であり、特定の不安障害の治療に特に効果的であることがわかっています。

・全般性不安障害
・パニック障害
・恐怖症
・社会不安障害
・騒音感受性の不安

また、強迫性障害(OCD)や心的外傷後ストレス障害(PTSD)など、不安症状を持つ障害を治療するためにも使用されています。

主要なCBTテクニック

CBTの主要なテクニックは、「問題となる思考、感情、行動パターンを特定し、これらのパターンを他の有効なパターンに置き換えるのに役立つスキルを教える」というものです。

CBTは「解決策に焦点を当てる」傾向があり、療法士は特定の目標に向かってクライアントと緊密に協力し合います。

不安障害治療のCBTスキル

不安心理教育

あらゆる障害に対して、不安障害のタイプ、症状の形成方法、維持のされ方、行動方針の提案をクライアントに教育レベルで提供します。

この治療段階は、状況の複雑さとクライアントの理解力に応じて、数分から数回のセッションを用します。

パターントラッキング

CBTの目標は、思考、感情、行動のパターンを変えることによって症状を軽減し、機能を改善することです。

パターントラッキングは、クライアントが早期に症状に繋がるパターンを前もって認識し、問題になる前にそれを止める方法を見つけるのをサポートすることに焦点を当てています。

CBTパターントラッキングの例

・強いストレスや不安を感じている時の人間の思考(例えば、不安を高める「なぜ?」「もし?」の思考)

・感情の強さ(例えば、わずかな緊張と完全なパニックの違いについて)

・不安な時の人間の行動と反応、これらがもたらす結果など(例えば、心理的な回避は短期的な不安を和らげるが、長期的な不安を増加させるなど)

・特定の思考、感情、行動を引き起こす外部または内部の状況(例えば、特定の社会的状況により引き起こされる不安や、未知のものについての思考による不安など)

止観・内観

療法士は、クライアントのパターントラッキングについての理解度によって、思考、感情、行動のパターンを止観・内観させ、そのパターンを置き換えるためのスキルを教え始めます。

クライアントが止観・内観をできるようになると、自身の思考、感情、行動のパターンを、より役立つものに置き換える方法を学ぶ準備が出来ます。

止観・内観は、口頭または視覚的、思考などのコマンドを使用するとより効果的になるスキルです。

例えば、クライアントが過去のトラウマ記憶の再生を始めたり、まだ起こっていないことを心配し始めた時に、コマンドトリガーとなる「停止信号」のイメージや、「止観」や「内観」などの言葉を設定するというものです。

リフレーミング

リフレーミングは、止観・内観時に、思考、感情、行動を、より有用な方法で再考するためのスキルです。

例えば人は、自分に合った健康の知識を得る方法を理解することで、未来の健康や、将来の状況についての不安をリフレーミングすることができます。

リフレーミングは、人の思考が過度に感情的になった時に、より合理的な思考パターンを導入することによって機能します。

思考をリフレーミングすることは、自尊心や自己評価に苦労している人にとって有益なのです。

照合思考

照合思考は、自分の思考や、現在持っている情報の虚実の証拠をリストアップしたり、検討をするなど、合理的に思考の正確性を認識するためのスキルです。

不安を照合思考することにより、その不安を軽減し、ストレスや心配を感じている時の不合理で衝動的な決定を減らすことができます。

例えば、特定の信念や先入観に対して照合思考をする行為は、不合理な思考に対する一般的なCBTスキルです。

このスキルは、個人の思い込みや真実は、不安によって歪む可能性があることを認識するのにも役立ちます。

エクスポージャータスク

人は不安になる状況を避ける傾向があるため、心理的な回避を制限し、慣れによる不安の軽減と自信を築くために、エクスポージャータスクが推奨されます。

例えば、「大勢の前で話すこと」を恐れている人は、1人または2人の友人の前でのスピーチから始め、次に少人数のグループに話すトレーニングをすることがエクスポージャータスクとなります。

療法士は、これらのエクスポージャータスクにクライアントが備えるために、リラクゼーションスキル(呼吸法や弛緩法など)を教えます。

本質的な問題解決

本質的な問題解決のスキルは、不安に対する短期的、長期的な結果を評価することも含まれます。

不安主導の行動は、短期的な不安からの回避であり、本質的な不安から目を背ける行為となりますが、問題解決のスキルは、本質的で長期的な、より良い決定を下すために必要な思考プロセスです。

例えば、「計画をキャンセルする」行為は、不快な状況を避けることを意味するため、社会不安を持つ人にとっては魅力的かもしれませんが、長期的には孤立、うつ症状、さらなる社会不安につながる可能性があります。

問題解決のスキルを使用すると、これらの結果を事前に特定、評価し、瞬間的な悪い選択を回避するのに役立ちます。

行動の活性化

不安は、人の社会的および行動的な活発性を低下させる傾向があります。

人間は、「より少ない労力で問題を避けることが不安を軽減する」と考えるかもしれませんが、実際には症状を増加させることが多いです。


クライアントの状況によっては、社会的な行動や外出、他者との人間関係などを活性化させることによって、不安の影響を軽減させることができるのです。

リラクゼーションスキル

エクスポージャータスクと行動の活性化は、短期的には、より高レベルの不安を誘発します。

クライアントがリラクゼーションスキルを学び、使用することは、不安の影響を緩和し、より早く、より効率的に症状を軽減するのに役立ちます。

ジャーナリング

クライアントに自分の思考、感情、行動をジャーナルするように依頼することは、頻繁に使用されるCBTツールです。

このプロセスは、クライアントが自分自身を理解し、療法士がクライアントの視点を理解するのにも役立ちます。

ジャーナリングプロンプトを使用すると、パターントラッキングを開始し、不安症状に関連する根本的なトリガーを理解するのに最適な方法です。

しかし、激しいトラウマ記憶や危険な人間関係、あまりにも強い不安や感情を引き起こす恐れのあるジャーナリングには特に注意が必要です。

そのような場合はむしろ、現在や未来への視点を有効に活用するスキルが効果的となります。

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