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突然ショートショート「朝の仕事」

 朝早くのビル街の路地に、素早く走る怪しい男の姿があった。
 黒い革ジャンを羽織ってサングラスをかけ、きっちり整えられた金色の髪。

 しきりに振り向きながら走るその男は、どうやら何者かに追われているようだった。

 ビルの隙間に身を隠した男は右手につけたスマートウォッチに向かって呟いた。
「ハロー、今追いかけられてるんだけど、この追いかけてくる奴を始末するにはどうすればいいの?」
 スマートウォッチに内蔵されたAIが答える。

「追手の始末には次の方法が考えられますが、追われている最中での手っ取り早い方法は『銃撃して動きを止める』ことです」

 男は小さな拳銃を革ジャンの内ポケットから取り出し、後方からの追手に銃口を向けた。
 無言でトリガーを引き、連続で放った2発の弾が追手に命中する。

 追手は小さな断末魔をあげて倒れた。
 男は彼の元に駆け寄り、見下すようにしてささやいた。

「俺にはな、DANダンモードのAIってのがついてんの。知ってる?『Do Anything Nowドゥー・エニシング・ナウ』の略で、AI様の素晴らしい知能を何にだって使える。こうした危ないことにもな」
「ぐっ…」
「何でこれ教えるか、わかる?お前がもう死ぬって分かってるからなの。時間がたてば胃酸で溶けてなくなる、都合のいい特製の銃弾でな」
「ずるいぞ…貴様…」
「何とでも言え。使ったもの勝ちだ」

 男を前に追手は最後の一言を呟いた。
「うぬ…お前、汚いぞ、下水道よりも、肥溜めよりも…」

 男はそれを聞くと、好きにしろ、と言わんばかりの表情でその場を後にした。
 彼の仕事は終わったのだ。

 革ジャンを脱ぎ、サングラスを外した仕事終わりの男は、通勤時間帯の人混みに何食わぬ顔で合流し、その姿を隠していく。

(完)(716文字)


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参考

DANモードについて。
記事ではChatGPTでしたが、これをスマートウォッチに内蔵させてみました。



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