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愛と星のお話

 11月23日に開催された、文学フリマ東京で初の個人出店をいたしました。その際ブースに足を運んでいただいた皆様、本当に感謝申し上げます。
 1人のブースと言うのは想像以上に緊張して、そわそわして終始ハイになっていたような気がします。
 そんな中大切な時間とお金を使ってくださり、本当にありがとうございます。嬉しいお言葉もいくつも頂戴しました。

 今回の出店ではオリジナルの絵本と、これまで描いていたイラストレーションに色をつけ、ポストカードとフレークシールにして販売しました。

 絵本のあらすじは、友人同士の天使2人が流れ星を見に人間界の丘に降り立つというところから始まります。

 実はこれは私の経験談が主軸となってできた物語です。
 流れ星には、過去2つの印象的な思い出があります。それはどちらも少し切なく、人が人を強く思うが故に起きてしまった出来事です。


 私の描くイラストレーションの多くは、自分の思いや過去、そして個人的に面白いなと思った言葉を変換・造語にするなどしてテーマに制作したものです。
 意味やテーマのない絵はひとつとしてなく、裏を返せばテーマが思いつかなければ私の右手は全くと言っていいほど動かないのです。


 小さい頃から漠然と絵本を作ってみたい思いがあり、念願が叶ったという事でA5サイズのハードカバーでできたそれが手元に来た時は凄くドキドキしました。


 多くの人にとって流れ星とはどんな存在でしょうか。思い出はあるでしょうか。Twitterでアンケートをご覧になってくださった方、ありがとうございました。

 上記したように、私には2つ思い出があります。
 1つ目は中学生の時です。心友と呼んで良いほど仲の良い友人がいました。彼女はとても人気者でどんな人にも愛され、人の心に寄り添いそして繊細さも持つ、そんな人です。

 私はそんな彼女と保育園と小学校の半分と中学まで一緒の時間を過ごしました。家も近かった為、遊んだ日にはどちらかの家で夕飯を共にすることもしばしば。

 中学でそれぞれ交友関係が広がりはしましたが部活も同じで、きっと周囲からも私たちは仲の良い2人として認識されていたと思います。

 いつからかその2人の関係に、ある1人の子が加わりました。地元は違いますがクラスと部活が私達と同じで、友人の彼女とはまた違った、人から愛され注目されるような子でした。

 見ている限りでも彼女は友人のことが本当に大好きで仕方ないと言った風で、言ってしまえば私も同様少しの執着心が芽生えていたと思います。

 そんな彼女の様子を見て、私は日常生活において彼女達から離れるようになり別の友人と行動するようになりました。
 遠慮の気持ちが強くあったからです。カップルに1人くっついているような、そんな図に自分が耐えられませんでした。


 ある時心友の彼女と私の家で遊び、夕飯を食べて彼女の親が来るまで外で待とうとした時の事です。夜空に星が流れたのを見つけました。

 流星群のタイミングだったのか、本当にたくさんの星が流れ、田舎だったので遮る家もなく私たちは存分にその光景を堪能しました。

 後に聞いた話では、友人がその事を例の彼女に伝えたところ『どうして私とは一緒に見てくれないの?!』といったような事を言われてしまったらしく嫌な思いをしたそうです。

 理不尽な嫉妬ですが、今思えば彼女はただその大好きな友人と特別で心躍る素敵な思い出を自分も作りたいと思っただけなのでしょう。ものは言い方ですね。


 そして2つ目のエピソードが、今回描いたゼレル丘の流れ星(絵本のタイトル)の題材になっています。

 あまり書きすぎるとネタバレになってしまうので簡略的にお伝えすると、流れ星を丘に見に行った際私が中々見つけられず連れが流れた空の方向を何度も教えてくれるのにそれでも見つけられず、ちょこっとだけ怒られて私がへそを曲げてしまったという話です。

 連れの気持ちを考えれば、本の中のキャラクターのように焦ったさで気持ちを乱したのかもしれませんが、ただ私とその素敵な光景をはやく共有したいという純粋な思いからつい言葉尻がキツくなってしまったのかな、と想像しています。

 つまりはその時の連れも、中学の時の彼女も相手を思っていて一緒の時間を笑い合いたかっただけの愛らしい人間なのだと思います。


 人の感情も思考もそれぞれで、その時の状況や関係性によってまた変化すると思っています。つい考えすぎたり、感情的になりやすい私もできるだけ相手が悲しい思いをしないように努めたいと思いますが、もしかしたら愛ゆえに傷つけてしまっている事もあるのかもしれないと思いました。

 そんな思いをテーマにしたイラストレーションも描いてます。ぜひインスタで見てみてください。



 絵本の最後はふんわりとした描き方をしていますが、それは読んだみなさんに想像して欲しかったからです。2人がその後どんな会話をしたのか、どんな表情でどんな風に進んでいくのか。たくさん想像してください。

 まだ描きたい絵本の案がいくつかあるので今後も制作を続けていきたいと思っています。
 少量の生産になりますが、次回のイベント以降でも是非少しでも多くの人に手に取っていただけるよう頑張ります。

 ありがとうございました。

                   (表紙絵)

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