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別府もアイデアも掘るから面白い

仁晴(じんせい)君からfacebookでメッセージが来たのは2018年11月のことだ。彼と何人かが立ち上げた別府で行われるファッションショーのクラウドファンディングにいいねをつけた僕に是非会いたいという話しだった。

すぐに会う約束をして指定の店に行くと、首藤君と江口君もいて、色々と話を聞かせてもらった。お店の雰囲気も最高で、とにかく彼らがやろうとしていることが面白そうだったから、リターンのTシャツをギャラ代わりにファッションショーを撮影することになった。

ファッションショーの様子はオフィシャルサイトを見てもらうとして、彼らの行動力の速さや別府という多様性のある温泉地ならではのアプローチで普通ではないファッションショーをやろうとしていることなど、いい意味での変態臭がプンプンしていた。

クラウドファンディングでは温泉の匂いがするTシャツをリターンにしていた。そんなTシャツ誰が着るんだと思う反面、その発想をしっかりと形にしていることは見習わなければと思った。知識や経験ではない感覚的な部分、今の時代を生き、進化の最先端にいるという意味で若い世代に教わることは多い。そんな3人を撮影したいと思ったのは当然の流れで、七ツ石温泉という別府でもかなりディープな、情報を掘ってこそ出てくる温泉で撮影した。

今回の撮影のタイトルを決める時もインタビューで「別府は掘ると面白い」という話が出たこともあり、「ディグる」という言葉を使いたいと首藤君に提案した。「ディグる」とはそもそも音楽の分野で使われるスラングで「dig(=掘る)る」つまり「(音楽を)探す」という意味で使われる。別府は掘って、自分の足で探すことでより面白い場所や人に出逢えるという意味で使いたかった。すぐに首藤君から返信がきた。

「温泉も掘ると出てくるし、犬はここ掘れワンワンと鳴いて宝を見つけますし、ここ掘れ別府とかどうですか?」即採用。

興味を持って掘ることはもちろん大事だが、掘るスピードも大事だとまた一つ教わる。別府温泉ルートハチハチ。スピード感も持ちつつ、撮影を進めていこう。

2018.12.19 東京神父
七ツ石温泉「ここ掘れBeppu」

東京神父 写真家。1978年4月20日生まれ。 別府出身、自由が丘在住。