見出し画像

築コレ〜オツな若ぇの生け捕ってきやした97 笑福亭竹三

雨上がりの新宿末広亭楽屋口、やって来たのは笑福亭竹三さん。
 ここで入門をお願いした日は大雨で、傘をさしながら師匠が出てくるのを待ってました。でも弟子入りすんのに傘持ってんのは絶対失礼や、って持ってた傘ばっと捨ててね。雨に打たれながら「師匠弟子入りさしてください!」って来たら誰だって怖いと思うんですけど、「ああ、いいよ」って、こんなにあっさりとってもらえるもんなんだってびっくりしながらも少し拍子抜けしました。でもその後鶴光一門は弟子面接というのがありまして、私もひとりずつ会ってお話をするという儀式はありました。

 もともとアニメーション業界で働いていたのですが、自分がやるはずだった番組が編成の都合でとんでやることが無い状態が続いてしまい、インターネットで漫才なんかをみてたんですよね。関西出身なのでどちらかといえば漫才のほうが好きだったんですが、時間だけはあったので落語も試しにって一回見てみたらすごく面白くて。末広亭が一番近かったんで観に行ってみると師匠も出てて、他の人と違って関西弁でやってるって。関西弁の落語もあるんだって、そこで興味が湧いて、もっとオモロイのあるかもなあって、時間ができると通ってました。師匠の「木津の勘助」を観て、こんな面白のに、面白い中に感動するところもある、これが演ってみたい、いつか師匠のところに入門して教えてほしい、思い切るなら今や! って。24時間ほとんど拘束されていたことから考えると心は解放された感じです。 師匠はホテル住まいなので、だから身の回りのお世話っていうような前座修業の思い出は全然ないんですよね。噺の稽古は浅草演芸ホールの稽古部屋をお借りして、師匠が出てる時を狙ってお願いしています。師匠のやり方だけでなく、昔の人はこうやってたよって、いろいろなパターンも教えてくださいます。二ツ目に上がる時、大阪って階級制度がなくて基本的に襲名がなければ名前変わる人ってほとんどいないと思うんですが、せっかく東京で修行させてもらってるんで名前を変えたい、師匠が〝竹我〟という名前を六代目からの遺言で預かってるので、その竹我の〝竹〟を貰いたいんですってお願いしたら、実際に13個くらい考えてくださって、好きなん選べって。これがいいですって言ったら「いや、それはあかん。竹三にしろ」って(笑)。師匠の中では決まってたんやと思います。
 お笑い芸人のサミットクラブ・静さん主宰の即興舞台を観に行った時に、面白いな、これやってたら三題噺や即興でやるときの勉強になるかもしれんと思ってやってみたいですわ~って言ってたら欠員が出てやらしてもらえることになったんです。アイドル、芸人、役者の15人をいく人かのグループに分けて、お客さんが出したお題を引いて、順に即興で芝居を組み立てていくです。落語の三題噺みたいな感じです。
上方落語は鳴物入りで賑やかなのが特徴だと思うし、僕自身もすごく好きで鳴り物入りの噺を中心に自分自身も覚えて、聴いてもらえる機会も増やしたいなとおもってるんです。是非お客様にも聴いていただきたいですね。

<はみだし情報>前座名の由来はアニメ業界で働いてたやつは暗いだろうって、名前だけでも明るくしといたるって、明るい光で〝明光〟になったんだそう。「ほんまかどうか知らないんですけど」とのこと。
笑福亭竹三  本名=高橋誠。1986年3月2日生まれ。滋賀県守山市出身。2009年8月、笑福亭鶴光に入門。10年3月に「明光」で前座。14年4月二ツ目に昇進し「竹三」。出囃子=ラバウル小唄。血液型A型。両親は共に奄美大島出身、竹三さんも関東宇検村会役員。


いいなと思ったら応援しよう!