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いま災害が起きたらどうするか?~避難と感染症対策

こんにちは。弁護士の大城聡です。
災害からいのちと暮らしを守るために法律の専門家として少しでも役に立つことができればと思い、福島の子どもたちを守る法律家ネットワーク(SAFLAN 事務局長)、一般社団法人復興応援団(理事)、東日本大震災復興支援財団(監事)、全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD 監事)などの活動に携わっています。

いま災害が起きたら、避難所で新型コロナウイルスに感染するのではないか。そのような不安を持っている方も多いと思います。そこで、今回は、災害が起きた場合の避難と感染症対策について考えていきます。


1 避難先は「避難所」だけではない

新型コロナウイルス感染症が収束しない中でも、災害時には危険な場所にいる人は避難することが原則です。しかし、新型コロナウイルス感染症が収束しない中では、学校や公民館などのこれまでの避難所では新型コロナウイルス感染の危険もあります。そこで、どうすれば良いのか。内閣府が推奨する5つのポイントをもとに「避難の方法」について紹介します。

新型コロナウイルス感染症が収束しない中における災害時の避難について (内閣府 2020年5月15日)


<ポイント1>
避難とは、「難」を「避」けることです。安全な場所にいる人まで避難場所に行く必要はありません。例えば、自宅が安全であれば「在宅避難」という方法もあります。

<ポイント2>
避難先は、小中学校・公民館だけではありません。安全な親戚・知人宅に避難することも考えてみましょう。ポイント1と2に共通するのは、「少人数・個別空間」での避難です。
災害発生後に、水害による浸水や地震による津波、家屋倒壊の危険性がない場合は、感染リスクの低い自宅や親せき・知人宅など、「少人数・個別空間」での避難を優先させるという考え方が大切です。

<ポイント3>
マスク・消毒液・体温計を持って避難すること。自宅を出る形で避難する場合には、避難先でマスク・消毒液・体温計が不足することが予想されます。できるだけ自分で持って行くようにしましょう。

<ポイント4>
市町村が指定する避難場所、避難所が変更・増設されている可能性があります。災害時には必ず市町村ホームページ等で確認してみてください。内閣府は、避難所を設ける全国の自治体に対して、新型コロナウイルス感染防止の観点から可能な限り多くの避難所の開設を図るとともに、ホテルや旅館の活用等も検討するように連絡しています。あなたがお住まいの地域でも避難所が増える可能性があります。


<ポイント5>
6月以降は豪雨や台風など「水」の災害が多発する時期です。豪雨時の屋外の移動は車も含め危険です。また、やむをえず車中泊をする場合は、浸水しないよう周囲の状況等を十分確認することが大切です。


2 事前のイメージトレーニングが大切

(1)ハザードマップを活用する

「水」の災害に対しては、いまから自宅が安全かどうかハザードマップで確認することが薦められています。ハザードマップは浸水や土砂災害が発生するおそれの高い区域を着色した地図です。もっとも着色されていないところでも災害が起こる可能性があります。国土交通省の「ハザードマップポータルサイト」から調べることができます。


(2)生活必需品を備蓄する

これまでのように大型の避難所に大勢の人が集まる形での避難は感染防止の観点から難しくなります。自宅や知人・親せきの家での「少人数・個別空間」の避難では、食糧や水などの備蓄がより重要になります。在宅避難の場合も食糧や飲料水などは避難所で配布されることになると思われますが、備蓄で賄うことができれば、その分配布時の感染リスクを低減させることもできます。

では、どのくらいの備蓄が必要でしょうか。
水は飲料用と調理用合わせて大人1人あたり1日3リットル最低3日分の備蓄が必要と言われています。大人2人だと18リットル。2リットルのペットボトル9本です。

何を、どれくらい備蓄すればいいかわからない人も多いと思います。これだけは備えてほしいもの、無理なく備蓄するためのコツをまとめた「災害に遭う前に 生活のために備蓄しよう」(NHK2019年7月25日)はイメージが湧きやすくお薦めです。この機会に備えようと思った方は参考になると思いますので、ぜひご覧ください。


(3)避難と感染症対策の全体像を知る

いま、国や自治体、災害に関わるボランティア団体、NPOなどは急ピッチで新型コロナウイルス感染症に対応した避難について準備しています。

例えば、避難所で新型コロナウイルス感染者が発生した場合にどうするのか。避難所のレイアウトはどのように変わるのか。さまざまな検討と準備がなされています。

避難所を開設する自治体の職員だけではなく、避難するかもしれない私たちが全体像をイメージしておくことは不安を軽減するだけでなく、いざという時に助け合いながら避難生活ができることにもつながります。

最後にJVOAD避難生活改善に関する専門委員会が作成した「新型コロナウイルス 避難生活お役立ちサポートブック」を紹介します。このサポートブックは、イラストもたくさんあり、事前のイメージトレーニングに役立つと思いますので、参考にしていただければと思います。

                                以上

(本稿は2020年5月24日時点の情報に基づく記事です)

                        文責 弁護士 大城聡