「広報のデザイン」を考える。|アートプロジェクトの運営をひらく、〇〇のことば。
アートプロジェクトの運営にまつわる「ことば」を取り上げ、現場の運営を支えるために必要な視点を紹介する動画シリーズ「アートプロジェクトの運営をひらく、○○のことば。」から「広報のデザイン」を公開しました!
この動画では、東京アートポイント計画で、アートプロジェクトの中間支援に携わる専門スタッフ(プログラムオフィサー)が、『東京アートポイント計画が、アートプロジェクトを運営する「事務局」と話すときのことば。の本 <増補版>』(略して「ことば本」)から「ことば」を選んで、紹介しています。
今回取り上げた「広報のデザイン」について、ことば本では以下のように書かかれています。
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広報のデザインーー活動を、広く伝えるために
どんなに素晴らしい活動でも、それについての情報が発信されなければ、存在が世に知られることはない。イベントの告知という狭い意味での広報ではなく、常態としてある自分たちの活動をどう人々に届けるのか。活動を続けるための広報を考えていくことが大切だ。
では広報に取り組む際、どのようなメディアを活用するべきだろうか。プレスリリースを発信するのか、ウェブサイトを構築するのか、チラシやパンフレット、活動記録集などの紙媒体を制作するのか。新聞や雑誌へのインタビューや、レビュー掲載依頼などはもちろん、シンポジウムや報告会、展覧会などのプログラムを行うことも広報のひとつとなりうるだろう。口コミが力を発揮することもある。伝えたい内容に合わせて、手段、タイミング、予算などを検討し、広報計画を立てる。
アートプロジェクトの活動は、一言では伝わりづらいものが多い。例えばまちなかで展開するアートプロジェクトでは、こどもからお年寄りまで、地域のさまざまな世代や背景の人々に情報を届ける必要がある。アートや アートプロジェクトに関わった経験や関心のない人々も多く、そんななかアートの専門用語を並べても関心を惹くのは難しいかもしれない。どんなことばを用いて、 どんな大きさの文字をレイアウトして、どんな写真を添えれば、興味を喚起し、参加したいと思ってもらえるだろうか。
対象に合った情報発信の方法を探り、戦略を立てることが自分たちの活動に光をあてることになる。その計画的な取り組みが、自身の活動に社会性をもたせ、存在価値を高めていく。
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これだけ多くの情報があふれている世の中。誰に対して、どんなアクションを期待するのか、という狙いを定めた情報発信が重要です。
漠然と「やってるよ!」と情報をオープンにするだけでは、たくさんの情報に埋もれてしまうことや、予想していたかたちで情報が届かないことも多いでしょう。(しばし、その偶然が良い結果を生むこともありますが…)
確実に誰かの元に情報を「届ける」ために、どんな視点をもち、どのように計画を立てると良いのか。「広報のデザイン」を考えるためのヒントが載った発行物をご紹介します。
『アートプロジェクトの現場で使える27の技術』では、広報計画を立てるのにつかえるワークシートや、計画時に考えるとよいポイントなどを紹介しています。
『アートプロジェクト運営ガイドライン—運用版』では、プレスリリースや印刷物の制作についての具体的なポイントもご紹介。情報の送り漏れが無いように、メディアリストをつくっておくことも有効です。
遠くの人か、近くの人か。世代は、興味関心は…。情報の行き先や受け手を考える
誰に情報を届けたいか、情報をキャッチした人にとってほしいアクションは何か。東京アートポイント計画でも、事業の歩みを紹介する「展覧会」を開催してみたり、地域(離島)密着型のローカルなかわら版をつくったり、子供に事業コンセプトを伝えるための絵本をつくったり、試行錯誤を重ねてきました。
また、2021年度には、「ウェブサイトをつくる」を軸に、プロジェクトの軸や伝えたいことを見直す企画を実施しました。そこでの気づきやもやもやを、オンラインで公開しています。
Tokyo Art Research Labのウェブサイトでは、上記のような東京アートポイント計画事業の実践だけではなく、さまざまな実践者の「アートプロジェクトの伝え方」を紹介する冊子も発行しています。
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それぞれのプロジェクトらしい発信に向けて、ぜひさまざまな前例を参考にしてみてください!
(岡野恵未子)
▼ Tokyo Art Research Lab「アートプロジェクトの運営をひらく、○○のことば」の再生リストは、以下のリンク先からご覧いただけます。