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視点の転換を促し、複数の視点をもつ。港千尋「前に走ってうしろに蹴る」、とは

「応答するアートプロジェクト|アートプロジェクトと社会を紐解く5つの視点」では、独自の視点から時代を見つめ、活動を展開している5名の実践者を招き、2011年からいまへと続くこの時代をどのように捉えているのか、これから必要となるものや心得るべきことについて、芹沢高志さんのナビゲートで伺っていきます。

第一回のゲストは写真家・著述家の港千尋さん。タイトルは「前に走ってうしろに蹴る」。前に走ってるのに後ろに蹴る・・どういうことでしょう?

80年代から世界各地を巡り、レンズを通して世界を見続けてきた港さん。その視点は、南半球から北半球まで、アマゾン河を下り、ゴビ砂漠を超え、南太平洋からカリブ海、沖縄から北海道、果ては宇宙へと、とどまることなく広がっています。

今回港さんが取り上げたのは、アイウトン・クレナッキによる著作『世界の終わりを先延ばしするためのアイディア 人新世という大惨事の中で』。
ブラジルの先住民の視点からすると、白人が現れてからの500年間は毎日が災害。港さんは、いつかくる世界の終わりをどう先延ばしするのか、という考え方を紹介するとともに、直線的な時間の考え方を疑う必要があるのではないかと言います。

プロジェクトは前に向かうもの(projectという言葉には、「計画」「事業」のほか、「投影する」「(前に)投げる」などの意味があります)だけど、こういう時だからこそ、ひたすら前に向かって走るのではなく、立ち止まったり、後ずさってみたり、後ろや横や時には上空を同時に見るような、別の視点をもつことの大切さがある。課題の解決を目指すのではなく、視点の転換を促すことが大事なのではないか。それは、前へ向かって後ろに蹴るようなことかもしれないと、これからを考えるうえでの視点を提示されました。

スペイン風邪によるパンデミックから100年。ふたたびパンデミックがおこっている今、必要なものとは何なのでしょうか。
お二人の対話の中で、これからの時代を考えるためのたくさんのヒントをいただきました。

映像は前編(29分)・後編(30分)合わせて約60分です!
ぜひご覧ください。


<関連リンク>
「応答するアートプロジェクト|アートプロジェクトと社会を紐解く5つの視点」
視点1 港千尋:前に走ってうしろに蹴る
視点2 佐藤李青:3.11からの眺め
視点3 松田法子:生環境構築史という視点
視点4 若林朋子:企業・行政・NPOとの応答
視点5 相馬千秋:フェスティバルの変容

「新たな航路を切り開く」
来るべきアートプロジェクトの姿を探し求める、旅としてのプロジェクト