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If からはじまる心配事

私のパートナーは、ちょっと変わって面白い。
世の中に関する心配事を生み出すプロなのだ。先日、グリーンカレーを作ろうという話になり、一緒にスーパーに行った時のこと。お肉のコーナーに差し掛かると、彼はずっと右から左に、左から右に集中的にお肉を眺めていた。
「どのお肉にしようか迷ってるの?私は鶏もも肉がいいな」
そう問いかけると
『こんなにたくさんお肉用意して残ったお肉はどうなるんだろうね、大丈夫かな』
と彼が一言。お肉の種類で迷っていたわけではなく、売れ残った場合のお肉の行方を心配していたのだ。
「まだ昼の3時だもん、そこのタワマンの人たちが夕方一斉に買いに来たら速攻でなくなるよ」
そう伝えても、目に前にぎっしりと並べられているお肉の行方が気になって仕方ない彼。フードロス問題について興味があっただなんて、と彼の着眼点に感心していたのも束の間で、そんなことは特に気にしていない様子だった。

別日、バーカウンターでお酒を飲んでいた時のこと。私たちの目の前には大量のアルコール瓶が、ひな壇のように並べられていた。またもやじっくり眺めている彼。もう彼が何を言おうとしているのか薄々気づく私。
『こんなにたくさんお酒置いてあるけど、もし地震が来たらこれ全部落ちてきて割れちゃうよね、大丈夫かな』
と彼が呟いた。今回は売れ残りではなく、地震が来た時のことを心配していたようだ。
「なんかいつも変なところ心配するよね」
そう私が返答すると、
『○○ちゃんだってこの前山下公園散歩してた時、今ここで海に落ちたらどうしようって心配してたじゃん、落ちるわけないのに』
い、一本とられた!!!・・・(私の心の声)
『それと吊り橋渡ってる時も、もしこの橋が落ちちゃったらどうしようって心配してたよね、落ちるわけないのに』
一本どころか二本取られてしまった。あーそんなこと言ってたかも・・・とビール片手についヘラヘラしてしまった。似たもの同士が生み出す、ifから始まる余計な心配事。そしてそんな会話のオチはいつも平和。

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