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旅するライター、ぽんずさんが語るキャリア「今いる場所がすべてじゃない」

学校を卒業して、入社して、働いて……。
瞬く間に日々が過ぎていく。

「この進路で、本当に良かったんだっけ?」
「自分のやりたいことって何だったっけ?」

社会人になって数年、仕事に慣れたと思ったら、いつのまにか周りは昇進、結婚…。
自分も同じ道を進むと思っていたけれど、何か違う気がする。
そんな悩みを持つ人は多いはず。

今回は旅するライター&フォトグラファーのぽんずさんにインタビューさせていただきました。

独立前は会社員として働きながら「毎日note更新」を続け、現在ではフリーランスのライターやフォトグラファーとして活躍されているぽんずさん。
今までの経歴を伺う中で、悩める20代の心を軽くしてくれる優しいメッセージをいただくことができました。

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現在の働き方

ーー現在のお仕事内容とご経歴について教えてください。

フリーランスのライター、フォトグラファーとして、写真とライティングを掛け合わせて旅をしながら成果物を上げていくというのが主な仕事です。
旅に関するエッセイやコラムだけでなく、カメラの撮り方やレタッチについて執筆することもあります。単発の仕事以外にもwebメディアでの連載も行っています。
フォトグラファーとしては、インタビューやイベントでの撮影を承ったり。会社員の頃からは考えられないような様々な経験をさせてもらっています。

ーーぽんずさんといえば、「旅ライター」「各国の美しいお写真」そして「毎日note更新の方」としてのイメージが強い印象があります。
会社員時代、noteを1年間毎日欠かさず更新されていましたよね。

続けようと思ったきっかけってどんなことだったんですか?


今だからこそ言えますが、お恥ずかしい話、「1年間続けてこうなるぞ!」という明確な目標はなかったんです。
きっかけとなる出来事があったのは会社員時代、働き方に迷っていた時期でした。フリーランスになれたらいいなと思いながらも、好奇心程度の気持ちで現役ライターの方が登壇するトークイベントに参加したんです。そこでお会いしたのが旅をしながらフリーランスで働かれている方々で、「会社員として働いている以外の大人って、本当に存在しているの?」と半信半疑だった私にとって、衝撃的な出会いでした。
その方に勢いのまま宣言しちゃったんです。「毎日note書きます!」と…。やる気に満ちたスタート、というわけではなく「口にしたからやらないと」という気持ちでした(笑)
今振り返ってみると、最初から「1年欠かさず続けるぞ!」と意気込んでいたわけではなかったからこそ、続いた気がします。
書き続けて半年ぐらい経ったころ、ライティングのお仕事をいただくことができました。
以前から、ツイッターを通してカメラ撮影を行っていたのですが、ライティングの初仕事と同時期にカメラマンとしてのお仕事をいただくようにもなって、仕事の幅が広がっていきましたね。

私は最所あさみさんのnoteがすごく好きで。そういった方たちが「どういう気持ちで書いているか」を考えたりしながら、自分でも書き続けて、手探りでライティングスキルを学んでいきました。
カメラのスキルは講義に通ったり、そこで出会った方々と一緒に勉強したり情報交換する中で身につけていきました。

「よくいる普通の会社員」に訪れた変化

ーー会社員として働きながらも、現在の仕事の基盤を作っていった時期だったんですね。

会社員との両立で忙しくはありましたが、決してネガティブな「大変さ」を感じることはありませんでした。
noteでのアウトプットを続けていくうちに、日頃ストレスを感じることがあっても「記事のネタになるかも」とポジティブに受け止められるようになるという良い変化も生まれてきました。「溜まったストレスや日々感じること」を自分の中にモヤモヤと溜め込んでしまうのではなく、言語化することでうまくバランスをとりながら昇華出来るようになった、というか。

今まで関わることのなかった方と出会って出来ることが増えていくうちに「会社員の私」に囚われなくなりました。一つの場所だけに属していると、そこがうまくいかないと全部がダメだと感じてしまうじゃないですか。視野が広がって、そんなことはないと思えるようになったんです。

ーー退職を決意したのはいつごろだったんでしょうか?

転職を考え出してから辞める気持ちを固めるまでに1年以上の時間がかかりました。具体的なタイムリミットがあったわけじゃないので、お金や気持ちの面で踏ん切りがつかなかったり、親になんて言おうか考えたり…。
でも「旅をしながら自分のやりたい仕事で生活をする」という理想は自分の中で消えることはなかったので、見つめ返しては悩んで、また見つめ返して…。そうしてやっと、「理想を叶える為には今の会社にいるわけにはいかない」と思えるようになって、徐々に覚悟を決めていった…という感じです。

ーー私、ぽんずさんのnoteの記事で忘れられない表現があるんです。

留学したかったのに出来ないままだった過去の自分や、就活したくなかったのに「なんとなく正解」であろう道を選んでしまった過去の自分が、いまだに成仏しないまま、皿屋敷のお菊よろしくずーーっと居座っていたのです。足りないものばかりをカウントしながら。
ーー「今日、社会のレールを降りました。」より

私の中にもお菊がカウントし続けているお皿がたくさんあったので、初めて拝読した時に泣きそうになったのを覚えています。
やりたくても一歩踏み出せなかったことって、いくつになっても自分の中から成仏してくれないんですよね。

そうなんです。もしかしたら、選択した道が結果的にうまくいかないこともあるかもしれない。それでも後悔を数え続けたり、なんとなく環境に流されていくよりも、自分が選んだ方がよっぽど楽しい。それが「自分の人生を生きる」ということの根幹だとも今となっては思うんです。

「今いる場所が全てじゃない」

ーー今後の目標を教えていただけますか?

写真とライティングを掛け合わせて仕事をしながら旅を続けていくというのは最初に抱いた野望なので、達成したいです。

それと、退職するまでは見えづらかった「会社の良いところ」が見えるようになったので、今後はフリーランスという立場にこだわらずに働くのも良いかなと思います。
税金周りを会社が担ってくれたり、隣の人にちょっとした業務の相談が気軽に出来たりというのは会社員ならではの良いところ。自分に会社の風土が合っていたり、やりたいことを受け入れてくれるところであればチームで働くという選択肢もあると考えています。

ーー確かにいろいろな選択肢がありますよね。
最後に、「自分の働き方をより良くしたい」と思っている方へのアドバイスをいただけますか。

昔私もそうだったように、「今いる場所にいなければいけない」という強迫観念のようなものを感じている方が多いと思うんです。
月曜日から金曜日まで朝から晩まで働かなければいけない。一生それを続けなければいけない。親が大企業に勤めなさいって言ったから、大学で選択した分野だから、結婚を控えているから、辞められない、今いる場所から動き出せない…。
変化を求める自分を「正しくない」と感じて、見えない柵に囚われている方もいると思うし、私もそう思っていました。「会社を辞めたら自分には居場所もないし、お金ももらえなくなるし、どうしたらいいんだろう」と。
でも、選択肢って見えていないだけでひとつではありません。無意識のうちに制限してる考えを取っ払って周りを見渡してみたら、見えていなかった選択肢に気づくかもしれない。一人でも多くの人がそう思えれば、それだけ皆の心や身体が軽くなって、自分が納得できる道を見つけられると思っています。

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編集後記

キャリアについてインタビューされるのは今回が初めてだったというぽんずさん。当時を振り返りながら丁寧にお言葉を紡がれていらっしゃるのが印象的でした。

心の中のお菊が成仏するのは決して容易いことではありません。けれど視点を変えるだけで、もしかしたら今まで持ち続けていたお皿を1枚でも減らせるかもしれません。

ここまでお読みくださり、ありがとうございました。
皆様の心が少しでも軽くなり、柵の外に一歩踏み出す勇気になれば幸いです。
(インタビュアー 小野寺)

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