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標準化に向けた様々な動き~府中市×昭島市CIO×都CIO座談会②~

東京都・区市町村CIOフォーラムにおける活動の一環として、都内各自治体CIO等へ「東京都・区市町村CIOフォーラムマガジン」を発行しております。今回は、マガジンに掲載した内容を一部公開します。
第9回は、「府中市×昭島市CIO×都CIO座談会」をお届けします!
※CIO(情報統括責任者):組織の情報戦略における最高責任者
※東京都・区市町村CIOフォーラム:都CIOと各区市町村のCIO(主に副首長)等が相互に密接な連携と協力を深め、電子自治体の構築や行政施策へのICT活用等の諸課題に関して、テクノロジー情報や導入ナレッジの共有化を通じて、都及び各区市町村のDX施策推進に寄与することを目的として設置

※この記事は全2回の後半です。前半はこちら。

令和3年10月20日に、「東京都・区市町村CIOフォーラム第9回座談会」として府中市、昭島市CIO及び都CIOの対談を実施しました。

参加者(敬称略)
府中市副市長:古森 寬樹
昭島市CIO:早川 修
昭島市デジタル化担当部長:小林 大介
都CIO:宮坂 学
都デジタルサービス局戦略部長:深井 稔

ガバメントクラウドに向けた標準化

職員の意識改革

昭島市:早川(以下「早川」)
先ほど人材の確保で申し上げたことに関連して、ラインの職員ついては、なかなか変革っていうことには抵抗感・負担感が大きかったものの、デジタル庁のガバメントクラウド実証実験に応募するにあたって庁内一丸となったところ、だいぶ職員の意識も変わってまいりました。令和7年度までには標準化を行わなければならないので、そういった観点も踏まえて進めていきたいなと思っています。ぜひこういった面でもどういった形でデジタル化が進んでいくのかご指導もいただければありがたいなと思っています。

都CIO:宮坂(以下「宮坂」)
基幹業務にある17業務をガバメントクラウドへ期日までに移行するというのは本当に皆さん大変苦労されると思います。テーマから逸れてしまいますが、デジタル庁公募の17の基幹業務実証実験に応募されるときに、そのプロセスを通じて職員の気持ちが変わったのではないのかという非常に興味深い示唆がありましたが、もう少し具体的に教えてもらってもよろしいでしょうか?

昭島市デジタル担当部長:小林(以下「小林」)
庁内の調整を担当していましたデジタル担当部長の小林です。よろしくお願いします。応募するにあたって、国から示されている各システムの仕様書を各原課の職員に確認させることと合わせて、どう変わっていくのかを強く説明をしてきました。今までカスタマイズをしてきた機能が今後は標準化されることによって、それがそのまま使えるものではなく全国統一になっていくのだと口酸っぱく職員へ伝えることで、これからの国の流れをラインの職員に意識してもらうとともに、昭島市は先行的にそういうことやるのだという意識をもってもらうことができました。残念ながら選ばれなかったですが、ここで種をまいたことが今後進んでいく中での大きな成果だと思っています。

宮坂(都)
自分でシステムを作ると注文住宅のように自由なものが作れてしまいますが、クラウドサービスを使う以上はシステムに仕事を合わせる必要が出てきますので、そこがすごく大きな変化になって、現場の人からすると困惑するところがどうしてもあるのではと推察しています。今の仕事の仕方とガバメントクラウドから要求されている仕事の仕方のずれは、ある意味受け入れるしかないという感じになってきたということですかね。

小林(昭島市)
おっしゃる通りで、そこを受け入れることよって、最終的に市民の皆さんの利便性も含めてサービスの向上に繋がります。そういう確固たる信念を持って職員にもそういう意識で取り組んでいただきたいということで説明を尽くして、職員にも理解をいただいて、一丸になってこれからやっていきましょうとなりました。

宮坂(都)
いくつかの区市町村の方とお話をさせてもらっても、ノンカスタマイズはキーワードになっています。そういったときにパッケージソフトの中でも業務用のSaaSを月額定額型で使えるサービスがたくさん出ているのですが、検討はされたりしていますか?

小林(昭島市)
チャットツールに関しては26 市の実証実験で使っていて、これがもし良ければ皆で導入していこうという話も出ています。LGWAN上に乗っているサービスで、ある程度セキュリティが確保されていて、自治体向けに作られているもので実験しているので、そのまま使えるというのが利点だと思っています。ただ、一般的なSaaSで出ているものとなると、インターネット環境の関係で程度が限られてしまうので、業務もすごく縛りがある感じがします。

宮坂(都)
都庁では今、一般的なSaaSを使えるようなネットワークを現在のセキュリティ方針の中でつくれないかと研究とかしているところで、これがもしうまくいけば色々な区市町村の方が、グローバルな開発でつくられたものを使えるようになるかと思います。研究成果ができてきたら、ぜひご報告をしたいと思います。

行政手続のオンライン化

工夫・悩みには共通項

府中市副市長:古森(以下「古森」)
府中市の方の取組としては、マイナンバーカードの取得促進、ぴったりサービスの推進ということが挙げられます。コロナのワクチンの接種証明等の関係でマイナンバーカードの取得が伸びていくということも予想されますので、それを前提にぴったりサービスのオンライン手続きを促進していくということを掲げております。
加えて現在RPAについては、現在6課11業務、AI・OCRについては2課2業務で実施しておりますが、こちらにつきましても利用拡大に努めていきたいというふうに考えております。

早川(昭島市)
当市は26市の中でマイナンバーカード普及率が低いのでそこはやらねばならないのですが、並行して、高齢者を中心にデジタルデバイド対策へも注力をしていく必要があると考えております。こうした中、地域コミュニティの一つである老人クラブ連合会を通じて高齢者の方3600人にアンケート調査を実施いたしました。すると「インターネットを使ったことがありますか」という設問について、60代の方は80%を大きく超えましたが、70代になると5割程度、80代になると2割程度しかいらっしゃらないという状況でした。さらには、デジタルデバイド対策を施されてもスマホ等は使わないという人も存在するということがわかりました。そういった状況も踏まえ、デバイド対策に力を注いでいかないと、オンライン化が進まないのではないかと思っております。

宮坂(都)
やはりマイナンバーの普及が鍵なのですね。それぞれ普及促進に向けて何か工夫されていることとか、都がサポートできることは何かあったりしますか?

古森(府中市)
府中市はマイナンバーの受け取りに来る方で市役所が混雑するのが常態化していて、今後進むことになると更に別室を設けて受付をしていかなければならず、この時期をなんとか乗り切ろうと取り組んでいるところです。

早川(昭島市)
市民の皆さんへのアナウンス、無料での写真撮影などは行っておりますが、国が示す内容で今進めており、市の独自の取り組みには至っていない状況です。そういう中で、広域となっている東京都さんに都心部の状況などもどんどん情報発信をしていただけると助かります。

宮坂(都)
なるほど、各自治体の工夫の様子を共有するのは都が果たすべき役割だと思いますので、マイナンバーに限らず人材育成、システム標準化についての皆様の工夫・悩みには共通項があると思いますので、そういったものを気軽に相談できるようなコミュニティを作れないかこれから試行錯誤してやってみたいと思います。

―ありがとうございました。活発な意見交換をしていただきまして感謝申し上げます。お忙しい中、貴重なお時間を頂戴しまして、ありがとうございました!

本取組については、今後も継続して実施する予定です。次回もお楽しみに!

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