様々な観点から推進するDX~八王子市CIO×都CIO座談会①~
東京都・区市町村CIOフォーラムにおける活動の一環として、都内各自治体CIO等へ「東京都・区市町村CIOフォーラムマガジン」を発行しており、マガジンに掲載した内容を一部公開します。
第8回は、「八王子市CIO×都CIO座談会」をお届けします!
※CIO(情報統括責任者):組織の情報戦略における最高責任者
※東京都・区市町村CIOフォーラム:都CIOと各区市町村のCIO(主に副首長)等が相互に密接な連携と協力を深め、電子自治体の構築や行政施策へのICT活用等の諸課題に関して、テクノロジー情報や導入ナレッジの共有化を通じて、都及び各区市町村のDX施策推進に寄与することを目的として設置
※この記事は全2回でお届けします。
令和3年10月18日に、「東京都・区市町村CIOフォーラム第8回座談会」として八王子市CIOと都CIOの対談を実施しました。
コロナ禍で思いがけず進んだデジタル化
実際にデジタル化のメリットを経験することの大事さ
都CIO宮坂(以下「宮坂」):
スマホによる電子申請やキャッシュレスに取り組まれているとのことですが、きっかけは何だったのでしょうか?
八王子市CIO木内(以下「木内」):
八王子市はもともとデジタル化に積極的でしたが、コロナ禍で思いがけず進みました。これまでデジタルサービスを導入しようとするとデジタルデバイドや、スマホを持っていない人をどうするかという論点がありましたが、コロナ禍により役所に出向かずとも手続きをスマホで済ませられることが、受け入れてもらいやすい状況になりました。
プレミアム商品券事業も、去年からデジタル版をはじめ、今年はすべてデジタルにしました。
宮坂:
おお!反応はどうだったのですか?
木内:
紙がないことで直前までなんとかしてくれないかという声はありました。しかし、去年は消費喚起など利用者に使っていただくことが主たる目的でしたが、今年は事業者支援が主たる目的であったこともあり、やるしかないと乗り越えました。
また、八王子市はワクチンの職域接種も一番に手をあげて行いました。スピーディにとりかかれたのは、プレミアム商品券でデジタルの仕組みを作った経験があったからでした。実際に経験してみるとメリットをご理解いただける環境になってくるのだと実感しました。デジタルを使うと結果の集約も早くできますし、そういうメリットを体験できたのは今後にいい影響があると思います。
宮坂:
案ずるより産むが易し、やってみてはじめて便利さを実感し、もっとやってみようとなったというわけですね。
今後、手続オンライン化に対し取り組んでいることや課題は何かありますか?
中嶋室長(以下中嶋):
オンライン申請にマイナンバーカードを使ってもらうため、カードの普及に力をいれています。国の制度を活用してマイナンバーカードの設定支援をし、多くの人に取得していただけました。
また八王子市独自の取組みとして、図書館カードとの一体化を行っています。
宮坂:
マイナンバーカードで本が借りられるのですか?
中嶋:
図書館のサービスをマイナンバーカードでご利用いただけます。
宮坂:
用途をつくっていくということが大事ですね!
研修のカリキュラムの共通化
宮坂:
八王子市さんはセキュリティやデジタル研修をしっかりやられている印象を受けました。都庁も人材育成に力をいれているところで、今後区市町村職員やICT人材のコミュニティを作りたいと考えているところです。なにか都に対する要望などはありますか?
木内:
自治体はどこもそうだと思いますが、人財の育成・確保には苦労をしています。例えば研修のカリキュラムを共通化し、多摩地域や23区とも共有し効率的なカリキュラムをe-learningで時間や場所の制約なく受けられると良いのではないでしょうか。そういうカリキュラムづくりを、ぜひ都にリーダーシップをもって進めていただきたいです。
宮坂:
まさに課題だと思っているところです。勇気づけられる後押しをもらってありがたいです!
デジタルデバイド対策は柔軟性と継続性
スマホ相談会の現場で感じたこと
宮坂:
デジタルデバイド対策はいかがでしょう。
中嶋:
国や都の事業を活用し、高齢者向けのスマホ教室・相談を今年度実施しています。10月分の受付初日に定数40名に対し約250名の問い合わせがあり、すごく求められていることなのだと実感しています。また、実際に見学にいったところ高齢者にもレベル感に差があると実感しました。通り一辺倒の説明ではなく、レベルにあわせた対応が重要なのと、あとは1回でなかなか覚えられないので継続性が重要だと思いました。
宮坂:
私もスマホ相談会に行き、実際に教える体験をしました。たしかに「スマホが使える」というのにもレベルがあり、それをちゃんと整理することが大事だと思いました。まずはニュースを見てみよう、次はアカウントをとってみよう、という感じでね。
執筆者:宮部 麻里子(デジタルサービス局戦略部戦略課)
編集:星野 惇(同上)
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