見出し画像

オープンデータの有効活用~大田区×都CIO②~

東京都・区市町村CIOフォーラムにおける活動の一環として、都内各自治体CIO等へ「東京都・区市町村CIOフォーラムマガジン」を発行しております。今回は、マガジンに掲載した内容を一部公開します。
第12回は、「大田区×都CIO座談会」をお届けします!
※CIO(情報統括責任者):組織の情報戦略における最高責任者
※東京都・区市町村CIOフォーラム:都CIOと各区市町村のCIO(主に副首長)等が相互に密接な連携と協力を深め、電子自治体の構築や行政施策へのICT活用等の諸課題に関して、テクノロジー情報や導入ナレッジの共有化を通じて、都及び各区市町村のDX施策推進に寄与することを目的として設置

この記事は全2回でお届けします。前半はこちら

令和3年11月9日に、「東京都・区市町村CIOフォーラム第12回座談会」として大田区と都CIOの対談を実施しました。
参加者(敬称略)
大田区副区長:川野 正博
大田区企画経営部情報システム課長:片平 篤男
大田区企画経営部企画課(情報政策)副参事:相川 正行
都CIO:東京都副知事 宮坂 学
都デジタルサービス局戦略部長:深井 稔
都デジタルサービス局戦略部戦略課長:小澤 洋之

職員のデジタルリテラシーを向上させるためには

外部からの新規採用と内部の人材育成

大田区副区長:川野(以下「川野」)
DXを進めていく中で一つの大きな課題は、我々職員のデジタルリテラシーを上げていくことだと思っています。大田区の場合は教職員も抱えていますので、子供たちがひとり1台PCを持っている状況下では、教員のレベルアップも必要になっています。専門学校に支援していただきながら、職員のレベルアップを課題に取り組んでおります。
また、大田区は外部から管理職を専門職として採用し、職員のリテラシーの向上を図っていますが、区もデジタルサービス局のような政策的な部分を担える組織を作りたいなと思っています。その理由の一つに、今回のコロナで分かったのですが、デジタル人材の育成というのは非常に大事で、例えば給付金を配るときもシステムを改良すれば少しは楽になることがありますので、簡単なプログラム設計が出来るような人材を育成できればよいと思っています。しかし専門的な講師もいないので難しい部分があり、東京都さんではどのように人材育成を行っているのかをご教示いただければありがたいです。

宮坂
ありがとうございます。DXを行うためにはデジタルに強い人材を増やしていくことが第一歩だと思っています。増やし方は新規に外から採用する方法と、中の職員を育てる方法と二つあると思います。新規に外から採用する方法として、局やICT職という新しい職種を作り、デジタルに強い人材を増やす方法があります。デジタルで採用された人達には他のことはさせません。一般職で入ると色んなことをしなければならないのでデジタル1本でやれる技術系区分を新たに作りました。週1回だけ副業型で勤務できる形態も用意し、民間から人を集めやすくしています。この方法で、プログラミングが出来る高校生も来てくれて、HPを作ってくれたりしています。あとは任期付きの公務員という形で2年、最長5年というような任期型でも募集して、外からの人を取りやすい柔軟な体制づくりを人事と一緒に試行錯誤しながら進めているところです。ただ一番大事なのは職員ひとりひとりが今よりも1割でも2割でもデジタルに詳しくなるということです。レベルの高い人も苦手な人も含めて2割くらいだったらちょっと頑張れば出来ると思います。そのようなことを学べる研修のようなものを作るべきだと思っていて、これは今研修チームとプランを一生懸命作っているところです。実は同じような話がこういう場で区市町村の方と話しをしているとでてきていて、研修の共通化はできないのかと話をいただきます。たしかに東京都の職員が覚えることと大田区の職員の方が覚えることはそんなに違いがあるとは思えないです。特に基礎になればなるほど同じになると思いますので、例えばオンラインで集まるような研修の共通化とかかなり可能性があるのかなと皆さんからの話を伺いながら思っています。今まさに研修体系を設計しているところです。

川野
ありがとうございます。非常に参考になりますし、オンラインの研修は上手くやれば多くの方が受講できるので良いと思います。

宮坂
自分のイメージなのですが、ビデオで一通りのことは勉強出来るようになっていて、それに加え、オンラインで時々集まって車座になれるチャットボットを作ってみようかと思っています。プログラミングをするにあたって、区市町村の垣根を越えて同じ仕事をしている同士が繋がっていると気軽にやりとりが出来るようになると思います。知識を得るにも仲間を作るにも研修ってすごく大事かと思って来年度以降もやろうと思っています。

川野
参考にしてうちもやってみたいと思います。

宮坂
是非ご招待するのでみなさん参加してください!

データの公開と活用推進

デジタルテクノロジーを使った拠点づくり

川野
データ活用の関係で、大田区も都のオープンデータカタログサイトに載せていただいております。しかしより多く載せていただけるよう努力していこうと思うのですが、デジタル化によって様々なデータが行政内部に蓄積されていて、それを行政内部で有効活用することと、公開したデータを民間でも上手く活用してもらうことを行政としては目指していくべきだと思っています。全国の自治体もやっていますが、大田区は国保のデータベースを使って、地域でどのような罹患者が多いか、年齢との相関などを、大学と連携して分析を進めています。それにより地域別の健康政策や街づくりの視点も見えてきます。
また、様々な主体と連携して、オープンデータを上手く活用できないかという取組を試行的に行っています。ロボティクスや自動走行などの実証実験を重ねていく中で出てきたデータを、外に出すという形で色々なところで役立ててもらう仕掛けを作っています。ぜひ副知事にもご視察いただけるとありがたいと思います。

宮坂
自動走行には興味があり行きたいと思いながらなかなか予定が合わなかったのですが、是非行きたいと思います!

川野
ぜひお越しいただければご案内いたします。5Gに関して、羽田空港は国際的にアピールできる場所であり、国内の多くの方が利用する場所なので、羽田空港から羽田跡地~蒲田くらいまで5Gを使った拠点に出来ないかと思っています。色々な仕掛けを行い、体験して広げていく、データを活用していく、そんな拠点になればいいと思っています。

宮坂
似たような取り組みで、西新宿とか南大沢とか島が先行エリアで、デジタルテクノロジーを使った新しい取り組みを行っています。一番進みが良いのは西新宿で、地元で協議会も作っています。エリア団体や、地域住民、商売されている人など、色々な人がいらっしゃるのでみんなで団体を作ってどんな街にして欲しいかをデジタルツールを使って聞いています。課題解決に使えそうなテクノロジーがあればどんどん使っていこうと回し始めていて、活発な活動になってきているので、良かったらすぐに紹介させていただきます。また、スマートポールを中心に面展開で、西新宿エリアだけでも5Gを面で使えるようにしておこうとしています。具体的に何をやるのか、環境が先かサービスが先かなど色々あるのですが、環境を作ってみないと分からないだろうと思い切ってやっています。来年には西新宿の5Gエリアもさらに拡大するので、自動運転や配送ロボットなど、5Gを活用したサービスの実装に向けた取組を色々やってみようと思っています。そういった情報提供も出来ると思います。

川野
ありがとうございます。
これは大田区特有の状況なのですが、大田区はモノ作り産業がとても多く、多くの企業さんはすごい技術を持っています。しかし9000あった工場が今4000くらいまで減っています。こういった企業さんは色んな場面で色んな企業と交流することによって新しい技術も開発出来ます。今までリアルな形で交流していたのですが、今回新しいプロジェクトとしてオープンプラットフォームを活用して交流していこうという取り組みを、”OTAデジタル×PiO”という形で開始しています。これによってスタートアップ企業や区内外の企業さんが抱えている課題を、ネットを使って繋げることにより、新しい技術や交流、製品を生み出していこうとしています。こちらも参考にしていただければありがたいのと、ぜひ見ていただければ面白いかなと思います。

宮坂
ありがとうございます!

ー本日は貴重なお話をありがとうございました!

本取組については、今後も継続して実施する予定です。次回もお楽しみに!

執筆者:飛松 涼太(デジタルサービス局戦略部戦略課)
編集:星野 惇(同上)

バックナンバー


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?