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オール東京でのDX推進~国分寺市CIO×都CIO座談会②~

東京都・区市町村CIOフォーラムにおける活動の一環として、都内各自治体CIO等へ「東京都・区市町村CIOフォーラムマガジン」を発行しております。今回は、マガジンに掲載した内容を一部公開します。
第10回は、「国分寺市CIO×都CIO座談会」をお届けします!
※CIO(情報統括責任者):組織の情報戦略における最高責任者
※東京都・区市町村CIOフォーラム:都CIOと各区市町村のCIO(主に副首長)等が相互に密接な連携と協力を深め、電子自治体の構築や行政施策へのICT活用等の諸課題に関して、テクノロジー情報や導入ナレッジの共有化を通じて、都及び各区市町村のDX施策推進に寄与することを目的として設置

この記事は全2回でお届けします。前半はこちら

令和3年10月20日に、「東京都・区市町村CIOフォーラム第10回座談会」として国分寺市CIOと都CIOの対談を実施しました。

参加者(敬称略)
国分寺市副市長(CIO):内藤 達也
国分寺市政策部長:藤原 大
国分寺市政策部情報管理課長:山下 由朗
都副知事(CIO):宮坂 学
都デジタルサービス局戦略部長:深井 稔

モダンな働く環境への障壁

法整備の必要性

都副知事(CIO):宮坂(以下「宮坂」)
先ほど少し職員の話をされていましたが、都庁では職員に新しい世界を提供したいと思っています。電子メール・固定電話での仕事からチャット・スマートフォンでの仕事へ移行して、モダンな働く環境を作れないかと試行錯誤しているのですが、メッセンジャーやチャットの利用についてどのようなご状況でしょうか。

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国分寺市副市長(CIO):内藤(以下「内藤」)
現在は災害対策要員である三役、部長および特定の課長にスマホを持たせておりまして、その中ではLINEによる情報交換などが頻繁に行われていて、テレビ電話も可能にしています。これを職員レベルまで広げるのか、手持ちのスマホで使えるようにできるのかが課題としてあります。

宮坂
我々も幹部と防災チームだけがスマホを持っていて、自分も渡されているのですが、正直2台持ちはめんどくさいと(笑)。セキュリティの問題はありますが、コストの問題もありますのでやっぱりBYODを考えていて、セキュリティを担保しながらスマホで仕事したい人はやれるような実験をやろうと思っていますので、その際はフィードバックを送らせていただきます。

内藤
ぜひお願いします!スマートシティを東京都全体に広げることも考えると、東京都に音頭を取っていただき、国に働きかけていただき,そういう仕組みが出来るような条例や法改正をしていただけないかと期待しているところです。

宮坂
具体的にどんな条例があるといいですか?

内藤
例えば在宅勤務について、東京都は進んで取り組んでおりますが、当市の場合何の根拠を持って実施していくのかが障壁としてあります。勤務時間の管理、職務専念義務の履行確認、情報通信等の負担について様々な意見があります。現在テレワークは幹部による実証実験という形で行っています。ですからテレワーク一つにしてもオール東京でできるような仕組みがあると嬉しいです。

デジタルサービス局戦略部長:深井(以下「深井」)
テレワーク推進条例とかですかね(笑)

宮坂
それくらい大胆ではっきりした方がやりやすいですよね!その辺どうですか。

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深井
法律・条例でも個人情報の話はしていますが、適用範囲をどこまでにするのかは難しい話で議論が尽きないですよね。色々なご意見をいただいて東京都で何ができるのか、国に何を言わなければいけないのか、国分寺市さんや他の区市町村の状況を勉強していきたいと思っています。

内藤
個人情報保護に関してある程度法律に記載があるのは事実ですから、そこをどう標準化して活用できるのかは課題ですよね。官民で情報共有しながらスマートシティを進めるのは異存ありませんが、私どもは法律がないと動けないという部分があります。過去には市場化テスト法のような法律があった訳ですから、そういったところを拠り所にしてやれるようになるとスムーズにいくかと思います。

オール東京でのICT人材育成

職員が学べる東京ICT大学

宮坂
非常に本質的な示唆でインスパイアされました。システムの標準化、業務の標準化もしなければならないという議論はよくしますが、一種の働き方の標準化のような、テレワークのルールを区市町村でバラバラにやる必要はないですよね、標準化した方がいいですよねと思います。区市町村から教育研修を標準化できないか、と話がよくあがっています。ICT研修は職員のレベルにあったものを提供する必要がありますが、区市町村がバラバラなことを教える理由はないと思っています。システムだけじゃなくて色々なものを標準化していった方がパワフルにデジタルトランスフォームするかもしれないということですかね。

内藤
ICTを進めるためには、最終的には人だと思っています。職員のICT能力をオール東京で上げていく形になれば更に良い方向に行くと思います!

宮坂
デジタル化は行政にとって前人未踏の挑戦なので、単独で登るには過酷過ぎると思っています。だからこそノウハウを共有したり、弱音を吐けるようなラーニングコミュニティを作ったりというのはすごく効果があると思うので、今後検討していきたいです。
世界の他の都市のCIOやICTに詳しい人と意見交換をしていて、正直他の都市は結構進んでいるじゃないですか。そこで職員の研修はどうやっているか聞くと、ソウルもシンガポールも全職員年間約100時間やっているらしいです。シンガポールはリー・クアンユーさんが作った公共大学院に職員も行っていて、そこにはASEAN中から人が集まってくるらしいです。都市と都市のネットワークが出来て、一緒になって勉強していると聞いて良い仕組みだなと思いました。いきなりグローバルは無理でも、都内でそういうものが作れればとても良い財産になるかなと思いますので頑張ります。是非、職員が学べる東京ICT大学を作れるように頑張っていきます!(笑)

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―本日は貴重なお時間をいただき、色々な形で意見交換をさせていただきありがとうございました!

本取組については、今後も継続して実施する予定です。次回もお楽しみに!

執筆者:猪ノ口 渉(デジタルサービス局戦略部戦略課)
編集:星野 惇(同上)

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