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複雑なことを回避する本能〜受験勉強

みなさんは、難しい文章を読むのが好きですか?

おそらく、そういう人は少数派かもしれませんね。

人間の本能として、複雑なことを避ける傾向があります。また、新しいことにチャレンジすることも、本能的に危険と判断してしまうので、未知の世界に対して消極的になるのは、仕方のないことです。

特に子供であればなおさら、すぐに理解できないことや、経験したことがないものに対して、極端に嫌がるのはごく普通の行動です。

さらに知っておいてほしいことがあります。それは、私たち日本人の多くが失敗を極端に恐れているということです。

これは学校教育が大きく影響しており、私たちは常に失敗が許されない状況(つまり、常に評価され、良い成績を取らなければならない状況)に置かれていたため、「失敗してもいいから新しいことにチャレンジしよう」という気持ちが芽生えにくいのです。

これだけの悪条件が揃っていると、未知のものにチャレンジしようとすること自体が珍しいわけです。

そのため、子供たちを見ていると、チャレンジ精神が育っていないことが多く、みんながやっていることを自分もやっていれば大丈夫だと思い込み、自分の知っていることばかりに固執して、失敗を回避する行動を取ります。

ここで受験勉強の話になりますが、私は生徒たちに「何を勉強すればいいのか自分で決めて」と言うと、ほとんどの生徒が簡単な問題を選んで勉強しようとします。

つまり、答えを既に知っているか、答えを導き出せる見込みのある問題をわざわざ選んで、安心して正解しようとするのです。

では、受験勉強の目的は何でしょうか?それは、受験に合格することですよね?

ですから、すぐに答えがわかる問題を解いても、何の役にも立たないわけです。

そこで私は子供たちに、「全国高校入試の過去問を全部やれば、受験勉強は終了。偏差値も60は余裕で超える」と言っています。

それでも、やろうとしません。

見た目が難しい問題を解きたくない、複雑そうなものに触れたくない、簡単に解けそうにないからやりたくない、そう考えてしまうのです。

さらに、勉強は基礎からやるべきだという思い込みがあるため、入試に出ない簡単な問題をひたすら解くことで安心したいのです。

みんなが使っているテキストを自分もやることで、自分も合格できると信じたいのでしょう。

しかし、残念ながらこれでは一生成績は上がりません。

入試は戦いですから、他の人と同じことをしていては勝てません。

同じテキスト、同じ授業(塾の一斉授業も含めて)、同じ勉強方法で、なぜ入試で他の子よりも勝てると考えるのでしょうか?

同じ戦略で勝てるわけがありません。

根本から考え方が間違っているのです。

つまり、普段から難しい問題に慣れることが大切で(つまり入試問題に触れること)、前述した人間の本能(回避したいという本能)を理性で抑えて、難しい問題に対して最初はできなくても(チャレンジして失敗しても)時間をかけてしっかり学び取る習慣を身につけることが、子供たちには必要です。

勉強には「できる!」という成功体験が必要だと言われていますが、私はそれには否定的です。むしろ、テストの結果よりも、勉強するプロセスを大切にして、「難しいことにチャレンジしている自分はすごい!」と自分を褒められるようになってほしいのです。

それができる子は、本当に強くなりますし、どんどん成長します。

まずは、大人が子供のチャレンジを成功や失敗の結果に囚われず、しっかり評価してあげたいですね。

4o

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