インターネットが殺したのはマスメディアのビジネスモデル(ジェフジャービス)
去年1月に開催されたヤフーさんと日経さん主催のMediaxTech2017の基調講演は、個人的にもメチャ影響を受けてる ジェフ・ジャービスさんでした。
今更ですが、速記メモをこちらにもシェアしておきます。
残念ながらドクターストップで飛行機に乗れなかったそうで、壇上にPCがこちら向きに置いてあるという、少しシュールな写真のスカイプ講演でしたが、非常に示唆に富んだ前向きな講演でエネルギーを頂きました。
スライド無しで英語で喋り続けておられたので、英語力の足りないところを想像して補足しながらメモしてるので間違いが相当あるだろう点はご容赦下さい。
個人的には、追っかけ対象だったジェフ・ジャービスさんの講演をリアルタイムで聴けた上に、最後に頑張って英語で質問させて頂けました(正確には質問は日本語でしましたが)し、ツイッターの投稿をジェフ・ジャービスさんにリツイートまでして頂けて、LinkedIn でも繋がれたので、大変幸せな時間でした。
日本とアメリカは相当メディアを巡る環境が違うので、そのまま参考にはしにくいと思いますが、ヒントは見つかると思いますので、是非どうぞ。
【ジェフ・ジャービス氏 基調講演速記メモ】
■世界中の組織やメディアに対する信頼が低下している
■インターネットが殺したのはマスメディアのビジネスモデル
■マスという考え方自体が死んだ
■マスメディアはそれぞれ異なる私たちを「マス」として取り扱うが、そのモデルは終わった
■この時代にマスメディアはどう変化すべきか
■リレーションベースストラテジーにシフトすべきである
■ニュースやジャーナリズムは製品ではなくサービスである
■サービスを提供するためには読者やコミュニティを知らなければならない。
重要なのは「リスニング(傾聴)」である
■ジャーナリストの役割はレポートや記録から、教育やオーガナイザーに変わらなければならない
■GoogleやYahoo、Facebookはサービスカンパニーとして1人1人の個人にパーソナルサービスを提供している
■マスメディア リーチ、ボリューム、ヒュージナンバー
新興メディア 新技術
■マスメディアのビジネスは炎上している家のようなもので燃えながら直すことはできない。
■ゼロベースで対象とするコミュニティを決め、彼らから話を聞くことから始めて、全てを考え直さなければならない。
小さな組織横断型のチームを組成して、小さく考え、小さくはじめることが重要。
■新しいメディアを作る過程では、必ず失敗があるが、失敗しながら学んでいくべき。
■どうやってスケールさせるのか?これがメディアが必要とする新しい技術である
・バズフィードは、リーチではなくアイデアをバイラルさせると言っている
・VICEは、クールなものを重視している
■デジタルを軸に考えることが必須になってきている。
紙のビジネスを中心に考えてはいけない。まずデジタルやモバイルを軸にして紙をオプションと考えていくべき。
■収入モデル
・従来のマスメディアはリーチの量を重視したモデルだった
・今後はよりリピート読者を重視したモデルも重要
・ターゲットを絞ることにより価値を高めるモデルもある
・会員のメンバーシップによる収入も重要
・コマースに関連したモデルも大きく拡がっている
・イベントも重要になる。多くのメディアがイベント収入を重視しはじめている
■会員のメンバーシップのメリットを再考する必要がある
単純に記事を読めるだけでなく、イベントに参加できる権利などの付加価値をつけていくことを考えるべき
■データを活用したモデルも可能性がある
■広告に依存したモデルの問題点
・とにかく読者の数を何も考えずに増やせばよいと考えがち
・プログラマティック広告によって、どこのメディアに掲載されている広告かというメディアの質の価値が無視されはじめている
それにより偽ニュースサイトなどと同じ扱いを受けるリスクがある
・ネイティブアドも普及しはじめているが、広告と編集の倫理の境界が崩壊するリスクが見えている。コマースへの依存にも同様の問題がある。
■ソーシャルワールド
・大手メディア企業は、読者は自分のメディアに存在していると考えがちだが、もう読者はソーシャルワールドに存在しており、自分が好きなところに出入りしてしまう
・GoogleやFacebookなどのプラットフォームの影響力は無視できない。
・プラットフォームとパブリッシャーが協調してお互いによい方法を模索することが重要。
・ドイツのメディア大手二社はGoogleに激しい訴えを起こすことで、ついにGoogleに聞く耳を持たせた。
・新しい技術や製品開発は、GoogleやFacebookが優れている、彼らにメディア企業側の希望を聞いてもらうことができれば、新しい可能性が拓けてくる
■Facebook上のミームを民主党支持者が作成しシェアしたことで3億回のインプレッションを得た事例がある。
■我々メディアはこういう事例から学び、読者を感情的に刺激するのではなく、読者がお互いに助け合い応援し合うためのサポートをしなければならない。
■ジャーナリズムを再発明しなければならない
今の若い世代は我々の世代とは全く違う視点でメディアを捉えている
グーテンベルクの印刷技術の発明から新聞が生まれるまでには長い時間がかかった
インターネットの登場からインターネットならではのジャーナリズムが確立されるまで時間がかかるのは当然である
■米国の現状については非常に心配している
大統領自身がツイッターでいきなり情報発信する時代となり、もはや従来のメディア企業のルールは通用しなくなっている
明らかに怖い時代ではあるが、私は楽観的。
これからもっと新しい手法ややり方が発見されていくはず。
■Q.トランプ大統領のようにメディアで儲ける必要が無いアジテーター的な個人メディアと、収益をあげなければいけない大手メディアはどのように戦っていけばよいのか
だからこそ、小さな組織からはじめることが必要。
今回のトランプ大統領の選挙においては、大手メディアは不満を持っている層に正しい情報を届けることができていなかったことが明確になった。
ただ、大統領選挙はトランプが勝利したが、半数以上の米国人はヒラリーに投票していた。
正しい倫理観を持っている企業がちゃんとそういった不満を持っている層にも、正しいニュースや情報を届ける方法を確立していくことができれば、それによってそういった層もちゃんとした情報を選択してくれるように持っていくことができるはず。
それができればそのメディアはターゲットを絞った層に広告を届ける手段を持つわけでビジネス的にも成り立つはず。
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ちなみにジェフ・ジャービスさんが書かれた参考書籍はこちら
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