見出し画像

「まゆみ」⑨「元カノ」

「まゆみ」とアパートで話している時に「「トクちゃん」の元カノのこと聞いても良い」と言われました。

「あんまり、聞かれたくなかなあ⋯」

「私の知ってる子?それとも知らない子?」

「正直に行ってもヤキモチやかないか?」

「うん、大丈夫」

「中学の時の同級生のEさんて覚えてる?」

「覚えてるよ。だってバレー部で一緒だったもん」

「もしかして、「トクちゃん」の元カノってEちゃんのこと?」

「うん、少しだけ付き合ったことがある」

「少しだけって?」

「3ヶ月くらいかな」

「Hもしたの?」

「それも正直に言わないとダメか?」

「うん、正直に言って」

「したことあるよ」

すると「まゆみ」が突然、私に向かって枕を投げてきました。
 
「なんだよ、ヤキモチやかないって言ったろ」

「やっぱ、ヤキモチやけちゃうんだよ」

「私の知らない子なら別だけど、中学の同級生だからね」

「もう!「トクちゃん」のバカ!」と言って、もう一度、枕を私の顔に向けて投げてきました。

「もう!なにすんだよ!」

「なんで、よりによってEちゃんなのよ」

「前に同級会やったことあったろ?」

「その時にさあ、別の女の子から「Eちゃんが「トクラ」に気があるみたいよ、誘ってあげなよ」って言われたんだよ」

「俺が、カッコ良く見えたんだってさ」

「それで、映画に誘ったんだよ」

「その同級会には、私もいたけど、全然気がつかなかった」

「だから、あの時「まゆみ」が俺に気があるって知ってれば、Eさんと付き合うことはなかったんだよ」
 
「悔しい⋯」

「私が「トクちゃん」のこと好きだったことEちゃんも知ってたのに⋯」

「えっ、そうなの?」

「俺、Eさんからそんな話、全然聞いてないけど」

「俺、ホントはさあ、その時は、好きな子いたんだよな」

「高校の同級生なんだけどさ」

「でも、Eさんも付き合ってみると以外に優しくて良い子だったから⋯」

「もう!トクちゃんってモテ過ぎだよ」

「このアパートでEちゃんとHしたの?」

「違うよ。その頃は、俺、まだ実家にいたから」

「じゃあEちゃんとラブホに行ったことあるの?」

「あるよ。それが悪いか?」

「そんなことで怒るんなら、もう「まゆみ」とは付き合えないな」

「俺の元カノってEさんだけじゃないからな」

「ハア⋯」

「そんな昔のことでケンカしてもしょうがないじゃん」

「でも悔しいの!」

「「トクちゃん」のバカ!バカ!バカ!」と言って私の頭を叩き始めました。

そのまま「まゆみ」を抱きしめて「今好きなのは「まゆみ」だけだからな」

「それじゃあダメか?」

「うゎあーん」と「まゆみ」が泣き始めました。

「なんだよ、泣くなよ」

「元カノのこと聞いてきたの「まゆみ」だろ?」

「元カノなんていないって言って欲しかったんだよ~」

「でも、「まゆみ」が正直に言えって言ったろ?」

「だから、正直に言ったんだよ」

「俺のことが嫌いなったらなったで良いよ」

「別れたいか?」

「別れたいはずないじゃん(涙)」

「俺は「まゆみ」の過去なんか気にしないから、「まゆみ」も俺の過去なんか気にしないで欲しいなあ」

「ダメか?」

「ううん⋯」

「ゴメンね。私が悪かった⋯」

「「トクちゃん」、今はEちゃんのことなんとも思ってないよね?」

「あったり前じゃん、今は「まゆみ」と付き合ってるんだから」

「「トクちゃん」がEちゃんを振ったの?それとも「トクちゃん」が振られたの?」

「俺が、振った」

「他に好きな子できたからって」

「ホントに好きな子ができたの?」

「うん、でも、その子には振られたんだ」

「へえ~。「トクちゃん」でも振られることあるんだあ」

「「まゆみ」は俺のことカッコ良いって言ってくれるけど、客観的に見ると俺ってブサイクだから」

「「トクちゃん」はブサイクじゃないよ、だからモテるんだよ」

「まあ、そんなことはどうでも良いや」

「「まゆみ」機嫌治せよ」

「うん⋯」

「「まゆみ」が悲しいと俺も悲しくなるからさ」

「ゴメンね、「トクちゃん」」 

「「トクちゃん」って、やっぱ優しいね」

                                                                      つづく











うつ病で苦しんでいる方達に希望を与える活動をしていきたいと考えています。よろしければサポートをお願いいたします。